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SPY×FAMILY 23話 大倉啓右さんパートについて

『SPY×FAMILY』 23話、滅茶苦茶面白かったけど特に大倉さんのパートが素晴らしかったのでnoteにまとめる。
Xに投稿しようともしたけど文字制限があまりにもキツかったのでこちらに投稿。

23話 #SPY_FAMILY
原画:大倉啓右さん

サイズの都合上Xから引用

アイレベル

舞台が「テニスコート」である以上、真正面からテニスを描くとキャラクターの立ち位置やパースなどある程度正確な空間描写が必要になる。
しかしこのカットはアイレベルを低く設定してコートを見切れさせることで正確な空間描写を不要としてる。
空間は3Dレイアウト(?)とカメラの回り込みで上手く出しつつフルショットでキャラクターを捉える大倉さん特有の大胆なポージングやケレン味の効いたアクションを両立させてる。

コートが見切れることにより"空間"にキャラクターを立たせる必要がなくなり、フルショットでもケレン味が効いたアクションが成立している。

視線誘導

1カット内の情報量のコントロールについて。
カット頭でフィオナがoutして視線をロイドに。

ロイドがoutするタイミングでカメラ手前にボールが迫りそれをinしてきたフィオナが返し視線はフィオナに。

キャラクターをスムーズにフレームインさせるだけでなく、「カメラにボールが迫る」、「カメラの前でラケットを振る」ことで臨場感と迫力も生まれてる。
入れ替わりでロイドがフレームアウト。中央にはフィオナの目に残るポージング。
ロイドがフレームアウトすることで視線はフィオナに移る。

そして今度はカメラ手前のボールをロイドがすかさず返して視線ロイド。
フィオナはinするロイドの動線を意識しつつ同時にゴム弾を回避しout。

フレーム中央にフィオナが滞空しているタイミングで交差するようにロイドin。
視線は自然とロイドに移る。

終盤

序盤の視線誘導に対して終盤は圧倒的な動きの密度で畳み掛ける二人をフレームに収めた濃厚な回り込みアクション。
カット全体の流れを収束させるかのようにカメラは加速しながら被写体に寄ってキメのアップで締め。

カメラの加速に伴いエフェクトも激しくなり更に勢いを感じれる。

回り込みながらの二人同時アクションと激しい立ち位置の入れ替わり。
更に左回りのカメラに対して右回転するロイドとラケット、縦回転のフィオナ。
カメラワークに対し、別ベクトルの動きを加えることで画面と動きの密度が上がり見応えも凄いことになってる。

確認用 

絵について

とにかく大倉さんのカットはコマ送りが楽しい。
躍動感と迫力のある大胆なポージングが最高に良い。
それと同時にアクション描かれる方ではあまり見ない柔らかいフォルムが特徴的で、目に残るポーズをさせつつ動きでもしっかり見せてくる、凄い。

等倍再生だと気づきにくいが、避けきれないゴム弾もしっかり弾いている。

終盤ロイドのラケット回し。
コマ送りで気づいたけどしっかりボールを返しつつゴム弾も弾く異次元の技を見せている。
フィオナのバク宙や回転も全てゴム弾回避と並行してボールを返しているのがコマ送りで分かる。

最後に

1カットとは思えない非常に見応えのあるカットで視聴中はテンション爆上がりと共にロイド・フィオナの異次元ぶりに笑ってしまった。
『SPY×FAMILY』はこういった描写にしっかり振り切ってるし、それを描き切れるスタッフが「WIT STUDIO」と「CloverWorks」に揃っているので本当に強い。
作品の面白さ、特にこういったキャラクターのポテンシャルを左右するカットは担当されるアニメーター次第によって大きく変わることを強く実感する。

今後も大倉啓右さんの活躍に注目したい。


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