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絵を描く体験をした

絵を描いたのは、おそらく高校生以来だった。
画材は主としてパステルで、一部にポスターカラー(だったはず)。
普段やらないこと、とくに義務的に必要に迫られないことをすることは作業環境の設定から何からかなり億劫で気が重くなってしまうので、
今回の機会には大感謝しかない。

画材もたくさんの選択肢があった。
それも、絵を描くことに馴染みがない人であっても対応できるように注意深く選定されていたように感じられたし、個々の画材についても説明がとても詳しかった。
新しく聞いた話が多すぎて、一度に全部覚えて質問するまでは至らなかった。
独習の場合、世の中の入門書は、多くが技法別になっているらしいので、各種技法を組み合わせるのはけっこうハードルが高い。うまく扱えるのか、自分に合っているのかわからない道具を一式揃えるのは金銭的にもかなり辛い。

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絵を描く紙にも種類がたくさんあることを知った。
マーメイドという種類のものもあるらしい。
画用紙の他に水彩紙というものもあるのね。
このワトソンブックは、ページの切り離しのときも、リングに紙屑が汚く残ることがなくて驚いた。特許があるらしい。
紙の裏と表との見分け方も聞いた。スケッチブックでは、表紙にタイトルが付いている側が一般に表側。一枚紙の場合は、紙を切断する機械が上の表側から下の裏側に刃を下ろして切るから、端が機械に押されて裏側に少し出っ張るから見分けることができるそう。これまで紙の裏表を気にしたことがなかったが、和紙は表がツルツルのことが多いが洋紙は逆が多いとかいろいろあるのですね。

https://gwasendo.com/archive/008aqyla/
アキーラというのも話が出ていた気がする。これのことかな。
その場ではドラクエのスライムしか頭に浮かばなかった。
顔料や染料の話もあったな。

高校生になっても、小学生の頃の絵具のチューブが残っていてそれをずっと使っていた。
絵筆も、筆先が傷んでいたけれども、あまり気に掛けなかった。筆先がまとまらず、筆先で細い線や点を描くことは不可能になっていたけれども、そううものだと思っていた。
画用紙の上で水彩絵具で描くといつも画用紙が湿って紙面に凹凸ができて、凹部分に絵具が集まってムラになってイライラしたけれどもだからと言ってどうしたらいいかもわからず、そういうものだと思っていた。
学校の美術では、単語も文法もまったく知らない状態で自由に話しなさいと言われているような状態で、最初から最後まで意味不明で終わった。独自に仮説を立ててそれを検証して、文法を独力で発見するほどの気概が無かったのだった。
一方で、とくに根拠のない観念には強く規定されていたように思う。
画用紙に黒鉛筆で下書きをして水彩絵具で描くという点に囚われていたし、鉛筆も手で擦って拡げることはしなかった。水彩画ならば水彩絵具単独で描かなければ反則であり、細かい部分に色鉛筆を使うことはできないと思い込んでいた。
赤い太陽を描いてはいけないとか、金銀の絵具は使ってはいけないとか、クレヨンは幼児専用といった話はいったいどこで内面化したのだろう。題材選択も、手を描くのはありがちでダメだとか、ドラクエのスライムは毎年やる奴がいて見飽きているとか、禁則が大量にあった。
人間の皮膚に肌色を使うのは馬鹿だとは聞いた。画面いっぱいに人間の顔なんかを描くときはパーツ毎にそれらしく感じた色を混ぜ合わせ塗り分けるが、べつに人物が主体ではないが小さく登場して、塗り分けるようなスペースがないと感じられたときはどうしたらいいかわからなかった。だから、自分は馬鹿だと思いながらそういうときは肌色を使っていた。
絵具を混ぜて色を作るという話は聞いた。そのためか、原色をそのまま画用紙に載せることは憚られるようになったし、厚く画面に載せて表情をつくる?というのも一生のうち一度も試すことなく現在に至っている(自主規制なのか他者から注意されたためなのかはもはや覚えていない)。おそらく気が利いた子どもは独自にやっていたのだろうが、それを見て盗むみたいな機敏さがあれば最初から苦労はしない。

今回、1枚の絵を描くときも、描き手の中に乗り越える必要のある複数の壁が生じるという話を聞いた。壁というのは、うまく描けなくてしばらく手が止まり、やり方を工夫して突破する必要がある局面のことと理解した。
絵を描く人が描くときに何を考えどんな気持ちでいるのかという話は初めて聞いた気がする。そんなことを尋ねてもいいのか、というくらいに新鮮だった。
この話が出たのは、上の写真のカツオのたたき(直前に会場近くのファミレスでランチに注文していた)を描いていたときだった。カツオ本体が平たくなってしまった点に対して、周囲の陰を描くことで立体感を付ける。
スライスしたタマネギも、真っ白ではなくて、鼠色や白っぽいグリーンやオレンジやライトブルーで陰を付ける。
立体感以外にも
・もっとカツオは暗い赤なんじゃないか?
・最初描く予定なかった青い醤油皿を後で描き足したから位置関係が変になった
・醤油の水っぽさ、油っぽさはどうするのか?
・右上のネギのワサワサ感はどうしたら描けるのだろう?
・そもそもそんな写実的に描いてどうするのだ?
・写真を見て描くことと実物を見て描くことの差
とか同時にいろいろ思ったけれど、いろいろ同時に思ったことが多すぎてその場で頭を整理して口にするまではできなかった。

パステルは、そのままでは粉が剥がれ落ちてしまうので、持ち帰るときには、表面に紙を当てた上で、OPP袋(おそらく)に入れていただいた。
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こちらを注文してみたので、ベランダで吹き付けてみようと思う(臭いがキツいらしいので室内では回避)。

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