Ctrl stats talk
2023/09/17にIngressの大規模戦闘イベント、XM Anomaly CtrlのPhase3が開催され、Ctrlシリーズが終了しました。
ということで、(前シリーズEchoについてはサボって書いてませんが)スコア結果を振り返るいつものやつです。
ルール
正式なルールについては公式サイトのCtrlアノマリールールのページをご参照ください。ここでは以下の記事を読むために必要な最低限の知識を抜粋してルールを紹介していきます。
CtrlアノマリーはPhase1-3の3日間に渡って開催され、各日は1箇所のメイン会場、2箇所のサテライト会場で構成されます。主に実施されるゲームは以下の2つ:
バトルビーコン(BB)戦[300/100]
シャード戦[300/100]
[]内は各ゲームの(最大)配点で、300はメイン都市、100はサテライト都市での配点となります。
BB戦は14:00から25分間隔でwave1-7の7回行われます。運営によって開催ゾーン内にレアバトルビーコンが設置され、その3回の計測時点における支配陣営に2/3/4点の素点がそれぞれ与えられます。対象ポータル内にはボラタイルと呼ばれる高価値対象も含まれ、これには3倍の素点が与えられます。各waveでの各陣営の素点合計に、Goruck Urban Opsの勝利陣営に与えられる特定waveへの+20%もしくは-20%の補正を加えた後の、最大の素点がその陣営のスコアとして採用されます。
それぞれの陣営の採用スコアの比に応じて配点(300/100点)が分配され、最終的なBB戦のアノマリースコアになります。
シャード戦は全部で50/20個発生するシャード(破片)を、陣営ごとに10/4個出現するゴール(ターゲット)に移送するという球技を模したゲームです。ただし、/ 前後の数字はその都市のXM強度(*)に応じてどちらかが選ばれます。
(*) おおむね開催規模のことだと思って良いです
シャードは50個出現する都市の場合は1個あたり6/2点、20個出現する都市の場合は15/5点の価値を持ちます。
シャードは所定のレベル(4)以上のポータル同士を結ぶリンクに沿って10分間隔のターン毎に移動します。
ターゲットは13:59にすべて一斉に出現します。シャードは14:06から15分間隔で10回に分けて出現していきます。ターゲットに到達したシャードはゴールとなり、以後移動しません。あるゴールへの有効ゴール数は5個が上限となり、に6個目以降のゴールは0点となります。
ゴールにより得られた得点はそのまま陣営のアノマリースコアになります。
スコア分析表
公開された結果から、スコア数値をまとめたGoogle spreat sheetが以下になります。
以後の内容を元に話をしていきます。
各都市戦評
バンドン
バンドンでのアノマリーは、ポータル支配率だけ見ればENLの大勝が予感されるものでしたが、RESはシャード戦で大いに粘りました。
ゴール数比の実測値は期待値のおおよそ半分と、かなりRESがスコアを取り戻したと見るべき戦いだったのではないかと思います。期待値的にはENLはRESのゴールをもう6〜7個ほど奪って自分のゴールにしているべきで、逆に言うとRESは支配率なりに進めればENLのものになっていたであろう6〜7個を奪い取って自分たちのゴールにしていた、ということになります。
ポータル支配率はトータル 61:39 、もっとも差がついたwaveでは 77:23 と、かなりの差がついていますが、そこで失ったより多くの点数をRESはシャード戦で稼ぎ返していると見るべきでしょう。
最終スコアこそENLの勝利で終わっていますが、内容としてはRESの賢い戦いが光る、そういう内容のゲームでした。
ローテンブルク・アン・デア・フルダ
「Nianticが別のローテンブルクと間違えてるんじゃないの?」と開催の報を聞いたドイツ人がそのように言ったとか伝え聞くドイツの真ん中あたりに位置する人口13500人ほどの小都市ローテンブルク・アン・デア・フルダ。
アノマリーをやるにはポータル数が全く不足していたため、道に沿うように大量の仮設ポータルを設置して開催されたアノマリーとなりました。
戦いの内容は「いつものドイツのやつ」
数で勝るRESが大勝ちを目指さず、固くゲームを閉じにいった、という感じの横綱相撲でした。開幕こそENLの開幕前免疫戦に押されたか、45:55ぐらいのポータル支配率で始まりましたが、その数字はどんどんRES有利の方向に傾いていき、最大では33:67、通算でも40:60という圧倒が可能な数字となっていきます。人数比1.5倍というのは、ログ数ともそう乖離がなさそうなところのようです。
シャード戦のゴール数比もほうも、その数字におおむね沿うような数字に収束しています。RESの採った、大雑把にエリア全体をリンクで結んだ回廊を作り、シャードのゴール経路は積極的には制御せず「そのうちどこかのターゲットに入るだろう」とばかりにただただシャードが回廊中を移動さえしていればいい、という方針としてはゆるくも手堅い制御はちょっとした観物だったと思います。必ずしも得点に向かう最適な方針ではないですが「複雑なことをしない」「負けないことを優先」という方針が前提だとすれば、実に見事な策でした。
サンタ・クルス・デ・ラ・シエラ
ボリビアはサンタ・クルス・デ・ラ・シエラ、南米でのアノマリーということは人数が少なくて、代わりに1人あたりにかかってくるゲーム密度がぐっと濃くなる、観戦としては非常に見応えのあるやつです。
その開幕の支配率はほぼ互角。ですがwave2で今回の新ルール・Urban Ops勝者報酬をボーナス得点としてENLが使用。ここに大幅なスコア更新を重ねて原素点134 / 補正後素点161で最大素点を更新します。RESは続くwave3、それからwave6と素点を更新していきますが、ENLの最大素点には届かず。BB戦はE169-131R、ボーナスはだいたい差を15点ほど拡げるように作用
したようです。
シャード戦もほぼ互角と言って良いE11-9Rという双方のゴール数。支配率から期待されるゴール数比よりわずかにRESが良い数字を取っており、ややRESがシャード寄り、ENLがBB寄りという戦略だった可能性が見えるように思います。
最終スコアはE334-266R、70点弱ENLがリードを広げましたが、シリーズを決定付けるような大差ではなく、双方の奮戦が光る1戦だったと言えるでしょう。
ソンパ
Phase2の開幕戦となったのは、ソウルオリンピックの主会場だったことで知られるソンパ(松坡)区。舞台はまさしくそのオリンピック公園でした。
BB戦結果から想定される戦力比は1.5倍。かなりの一方的展開が予想される比率です。この苦戦に対抗するためか、RESはゾーンを横断するようなスターバースト状のリンクを構築して、ゾーンの分断=シャード戦の妨害を図りました。しかし結果として待っていたのは、シャード戦における戦力比以上のENLの一方的勝利でした。
BB戦ではRESが開幕時の免疫がちょうど切れる(約1時間後の)タイミングであるwave4に反撃を見せます。また、ゾーン分断リンクが破壊された後もゾーン内外で積極的に妨害リンクを構築して、ENLにシャードのコントロールこそ渡しますが、行き場なくやむなく無得点ゴールを重ねさせることには成功します。
とはいえ元々の戦力比、あるいはその中から更にゾーン分断に戦力を割くという戦略的決定の代償は大きく、ENLがRESの3倍以上のスコアを獲得するという大差の決着となりました。
オスロ
Phase2のメイン開催となったのはノルウェーはオスロ。ヨーロッパの中でもかなり物価の高い都市として知られるところで、そのため欧州内からの遠征勢もあまり多くないという条件だったと伝え聞きます。
ログ数から算出される戦力比はおよそ1.2倍、BB戦結果からの推定戦力比もやはり1.2倍でほぼ一致と、そこだけ見れば単純なゲームだったようにも思えます。しかし実際のゲームはより複雑な様相で推移する、たいへん見応えのある内容となりました。
数に劣るENLは、しかし開幕1時間前の全面一斉免疫戦で全面を緑→青へと反転します。敵色への反転アイテムの使用は「敵には壊せないポータルを作る」という副次的な効果があり、これによってENLはBB戦開幕の優位を固めることに成功します。しかしRESはそれを見越していたのか、青一色に染まるゾーン内でローテンブルクで見せたよりも更に進んだ形の回廊を構築し、シャード戦中心に戦う構えを取りました。
BB戦wave1はこの双方の動きが噛み合って、ENLが最大BB素点を獲得。ここにUrban Ops報酬も乗せて758点という最大素点を確保。
対するRESは事前構築しておいた回廊を自陣営ターゲットにつなぐという実に楽な形でそのままシャード戦に突入。この事前回廊も直上困難ポータル、ゾーン内非点灯ポータル、ゾーン外ポータル、事前情報シャード発生ポータルなどを織り交ぜており、巧妙に(敵陣営の)ターゲットになりそうなポータルを外すという構成。この回廊の免疫時刻を開幕とはずらしておくことで、免疫切れに伴う張替えのタイミングもずらしておき、張替え・再構築が徐々に行われるようにするという見事な工夫。その構造も少しずつ自軍ターゲット主体に置き換えていくことで回遊からのゴール率を高めていくという見事な戦略でした。またwave2にはBB戦で(おそらく本来の地力にあたる)66.53%の支配でBB戦スコアを更新していきます。
だた実際のフィールドでの動きはENLがやや優れた動きを見せ、劣勢の中から機敏な動きでところどころ回廊を破壊してはシャードを動かせる領域を作り、少しずつゴールを重ねていきました。
このままBB戦は五分、シャード戦ではRES優位でゲームが終わるかと思われましたが、RESはwave6にそれまでシャード主体で回していた戦略をいきなり転換、一斉反転も交えたBB戦への急展開で90%近い支配率をもぎ取って、
最終スコアを40点以上改善させました。
最終結果は E 233-367 R で決着。お互いの狙いがよく噛み合った、大変おもしろいゲームでしたが、シリーズ全体への影響としては「人数比に比してENLがよく善戦してグローバルスコアへの損害を食い止めた」という内容だったのではないかと思います。
チャールストン (ウェストバージニア州)
アメリカのウェストバージニア州は同州の州都ですが人口は5万人ほどの決して大きくはない都市。東海岸寄りですが、青がめっぽう強いシカゴからも車で行けそうな距離ということで、個人的には結果がどうなるかは正直よくわからないな…という目線で見ておりました。
さてその結果はというと、北米でENL優位のときのいつものアレでした。
BB戦からの想定戦力比は1.25倍ほど。しかしRESは工夫すれども粘ることができず、どんどんENLに押し込まれていく展開に。シャード戦でもENLが有利にゲームを展開し、おおむねワンサイドゲームと言っていい展開となりました。
ただ終盤RESはBB戦のスコアをかなり改善しており、wave5、6、7と連続でスコアを更新。ENLは終盤に緩まず戦いを継続していればもう少し圧倒を続けられたのかな、という様子も伺えました。
神戸
Phase3の開幕戦にしてメイン開催となったのは神戸。
まずはログ数から推定の人数比はENLが1.2倍ほどだったという数字が出ているということを申し上げておきましょう。その上でスコアからの戦力数推定をしてみると、どういうことかENLが1.6倍という、かなり乖離した数字が出てきます。
合わせてゴール数比まで見てみると、こちらは期待値に比べRESがかなり押していたことを示すような小さい(=RES有利に見える)数字が出てきます。
この(計算上は)不思議な傾向の組み合わせからは、RESがかなりシャード戦に戦力を偏らせた戦いをしていた可能性を読み取れます。
実際RESは開幕からしばらくは有利にシャード戦を進めており、序盤はリードを保っていました。しかし中盤(おそらくは開幕+1時間のターゲットの免疫張替え)以降、徐々にRESターゲットから伸びるリンクによる支配領域は狭まり、逆にENLのターゲットの勢いが増していくという流れに。これはENLがBB戦で優位に立ち続けることでターゲットからのリンク先に困らない一方で、平面支配率を(結果的に)捨てたRES側の選択肢は徐々に奪われていったことが反映されているのではないかと考えています。
とにもかくにもRESはBB戦を捨てすぎでした。開幕から1時間だけのゲームであったならRESはかなりの善戦をしたと言えるでしょう。しかし後ろ2時間はまるで別物になってしまったようにすべての活性を失っていった、そんな不可思議なゲーム展開でした(陣営の中ではもう少し細かいデータを使って勝因/敗因を分析されているかもしれませんが、発表スコア + 現地参戦の感覚で言えるのはこのぐらいまでだと思います)。
端的に言ってしまえば、RESは戦略のレベルで大きく選択を間違えていたのではないかと思います。結果としてメイン開催都市で大きなスコア差が生じるに至り、この結果をもってCtrlアノマリーのシリーズ勝敗は実質的には決着しました。
ランス
フランスはランスでのアノマリーは、(最近の欧州アノマリーではお馴染みの)ENLによる全面一斉免疫の状態からスタート。このへん、RESも予測はした上で(特に不利とも思っていないので)ENLにやりたいようにやらせている、という気配も感じます。
当然青一色になった盤面を使って青はいくつかのノヴァを展開した状態で開幕。再びの一斉反転でゾーン内が緑に染まる中、ENLはエリア中心部からゾーン北半分を使ったノヴァを展開。
これはおよそシャード戦をまともに進める気がないという形で、それを裏付けるかのようにENLは前半はBB戦に集中。wave4まで連続でスコアを更新していきます。当然RESは支配率をどんどん落としていきますが、その中でもノヴァが覆い切れていないゾーン端を使ってなんとかシャードを動かしゴールを重ねて対抗。
ゾーン中心からのノヴァが反転破壊された中盤以降は、ENLは打って変わってシャード戦を中心に戦いを展開。このわかりやすい切り替えは現場・あるいはオペ組織のやりやすさを考えると実は悪くない進め方なのかもしれません。ただRESも呼応するようにBB戦でスコアを伸ばしていき、wave7にスコア更新に成功。
「負けない」ようにゲームを進めるENLの狙いは見事に果たされましたが、RESも数的劣勢の中、人数に比すれば十分なスコアをもぎ取ったという内容となったように思います。終わってみればだいたい戦力比通りのゲーム決着で、ENLが少々点差を積み増し、シリーズ勝利を確定させました。
タコマ
Ctrlシリーズの最終戦は北米西海岸、ワシントン州はタコマでの開催。
内容的にはENLが数で圧倒した、という戦いでした。戦力数予測値はENL
1.4倍。だいたいその内容をなぞるようにENLが終始BB戦を優位に進めますが、wave3だけはRESが最大瞬間素点にUrban Ops報酬を重ね234+20%=280.8という素点を獲得したのがほぼ唯一のみどころでしょうか。
シャード戦はおおむねBB戦支配率通りのゲーム展開となり、戦力比通りのゲームとして決着。ENLがシリーズ勝利に1つ花を添えた形となりました。