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スターリンクの謎の穴【宇宙一発ネタ】
バーチャルYoutuber宇推くりあさんの番組、SpaceX Falcon9 Starlink 4-27ミッション実況放送での一コマ。Starlinkのサービスエリアの穴を発見してしまいます。
SpaceX社の公式サービスエリアページがソースです。
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電波天文台への電波的な干渉を防ぐためにマーチソン電波天文台周辺を約半径90kmに渡って明示的にサービス対象外としているようです。
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Starlink衛星は世界中を飛んでいるので、電波天文台付近では電波の発信を止めているのでしょう。
いかがでしたか?
余談1
マーチソン電波天文台のSKA-Mid電波望遠鏡の観測周波数(350MHz-15GHz)とStarlinkの使用周波数(8-15G)が衝突すると主張されている。他にも国際的に通信衛星によく用いられる周波数であるとも主張されている。
実際のところ電波望遠鏡が電離層や航空機による反射電波をとらえてしまう事象は日常的に起こっており、観測データの2ケタ%がこういったノイズで、これを除去しないとマトモな天文データにならない。
オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)としてはノイズ源として高頻度で上空通過するStarlinkの電波が加わるのはとても困るため、SpaceX社と交渉し、上空通過衛星の通信電波の発信を止めて貰っているのだろう。
余談2
2022年夏現在、オーストラリア南部および東部はStarlinkのサービスエリアとなっている。ベータテストを通した実態としてダウンタイムの発生や、契約順番待ちといった課題はあったものの、オーストラリアの高温や強風に耐えるハードウェアであることはある程度実証されたようだ。
オーストラリア政府から電波使用に関する大幅な減税措置を受けているという記事はあったが、裏を取ることが出来なかった。
現在のサービス価格は以下のように報じられている。個人用で$599の初期費用と$110の利用料/月、50-250Mbps。ビジネス用で$2500の初期費用と$500の利用料/月、150-500Mbps。流れ者(Boondocker)向けのRVプランは$599の初期費用と$135の利用料/月、50-250Mbsが提供される。価格は値上げ方向に改定された過去がある。船舶用のStarlink Maritimeプランもサービスが開始され、順次サービスエリアを広げるとしている。いずれも日本及びその周辺領域はサービス範囲外だ。
Starlink on your yacht, so hot | TechCrunch
余談3
日本国内では、国中に光回線が張り巡らされている日本の通信市場にStarlinkは入り込めないのではないかという言説が散見される。それは都市部では正しい見解と言える。
一方でStarlinkは低軌道人工衛星を使ったサービスという性質上、単位面積当たりに提供できる単位時間当たりの通信容量やノード数に厳しい制限がある。
山岳地の拠点設備や離島など光ケーブルが到達していない地域では非常に有益なサービスであり、回線未到達地域の開拓にも役立つだろう。国土が狭いということは提供可能なサービスノード数が少数に限られる事を意味し、この有効性に気づかれれば回線の奪い合いになる事もありうる。有用性に気づく人や組織がどれほど居るのかはさておき。
こういう性質のものであるから、日本の都市部に居ながらStarlinkのサービスを受けるのは現実的な価格でありながら、同時に贅沢な予備回線の確保手段と評せるだろう。
参考サイト
finder.com Starlink Australia: Price, launch date, features and more
https://www.finder.com.au/starlink