えんとつ町のプペルMOMO5号機の飛行
インターステラテクノロジズ株式会社(以下IST社)は日本時間2020年6月14日早朝、北海道十勝地方大樹町、多目的航空公園横のロケット射場・実験場から『えんとつ町のプペルMOMO5号機(以下MOMO5)』を打ち上げました。
MOMO5は通常どおり離床、約37秒後にロケットエンジンのノズルが欠けたために推力と姿勢制御力が低下。動圧最大領域の約67秒には姿勢制御力の限界を超えてほぼ横転状態となり、約68秒にエンジンが停止。完全に推力と姿勢制御力を失った後、約70秒に手動緊急停止措置が執られ、少なくとも227秒間飛行し、着水しました。
いかがでしたか?お疲れさまでした。
以下では、幾つかのソースを元にMOMO5の飛行を概ね時系列に掘り返します。難しい事は書いていませんのでMOMO5について興味のある方はご覧ください。有料部分は記事本文の根拠とした主要イベントの一覧表1枚のみです。OpenMOMOを読めばわかる内容ですので、投げ銭的なものとお考え下さい。
公式発表
http://www.istellartech.com/archives/3079
>ロケットは打上げ約 70 秒後にエンジンを手動で緊急停止し、警戒区域内の海面へ安全に落下しました。
提示された文を素直に読むだけなら、政治部と芸能部の記者以外は誰でもできますので、さっさと次に行きましょう。
Youtube公式動画
>エンジンノズルの破損により、エンジンを緊急停止。
記者会見動画
打上げ当日の速報的な記者会見。姿勢の変化量とIIPを根拠に手動での緊急停止コマンドを送出し、エンジンを停止した為に目標高度に到達しなかった。T+36.3秒に火花が出た事をカメラ映像で確認し、65秒程度から姿勢が不安定となった。上空風が強かったこともあり、姿勢を乱した。
別の公式発表
https://github.com/istellartech/OpenMOMO/
IST社はgithubのOpenMOMOにて様々な情報を公開しており、機体構造、座標系、配管系統図、テレメトリ(無線による機上データ送信)が含まれます。飛行中のテレメトリは飛行そのもののみならず、システムを読み解くうえでも助けになり、本記事では特に重視します。
またIST社はクラウドファンディングの返礼として報告書を限定公開していますが、本記事では参照しません。
出版物
CQ出版社の月刊誌『トランジスタ技術』2019年1月号および2019年3月号から9月号にてMOMOロケットのシステムをかなり詳しく解説する記事が掲載されました。本記事では参照しません。電子書籍化されていないので、興味のある方は最も詳しい雑学書として、高性能なロケットシステムを作りたい方は参考書として、在庫があるうちにどうぞ。
https://toragi.cqpub.co.jp/
その他
本記事では測定値を観るためにOpenMOMOを頻繁に参照する事になります。下記の記事でOpenMOMOの触り方を紹介しています。
https://note.com/ynakajima/n/n4484bdd50b1a
第三者の視点
打上試行日には2社がweb放送を行いました。
独立系メディアのネコビデオソリューションズ(以降NVS)およびweb放送を行いました。NVSは射点カメラおよび追跡カメラを運用し、2020年8月現在Youtubeにて公開しています。
地元メディアの十勝毎日新聞社もまたweb放送を行いました。射点カメラ、打上管制室2階カメラ、および追跡カメラを運用し、2020年8月現在Youtubeにて公開しています。
基礎知識として
観測ロケットMOMOの一般的な運用に関してはこちらの記事をご覧ください。ただし古い記事ですので今のMOMOとは仕様の異なる部分があります。
本題-映像の観察
本記事では主にNVSの映像を軸とし、OpenMOMOの情報で肉付けする形で『えんとつ町のプペルMOMO5号機』の飛行を時系列で検証します。
OpenMOMOの"gyro_5f_quaternion.csv"および"gps_a_csv"からMOMOの測定姿勢を読み解くことが出来ます。以下の動画は以上2つの要素から製作したCGとNVS映像から引用した映像を並べたものです。
T+37 火花と加速度変化
映像上大きな異常がみられる点は約T+37秒。機体後部から比較的大きな火花のようなものが出ています。これをOpenMOMOに照合するには"MOMO5 Flight (JUNE C-band All Antenna)_gyro_acc_5f.png"が良いでしょう。
normについては根拠が不明なので、この元データである"gyro_5f_ax.csv"、"gyro_5f_ay.csv"、"gyro_5f_az.csv"を参照します。MOMO座標系図によるとz軸が前後方向であり、x,yは縦横を示します。
余談ながら(ma10)系列は移動平均値を示していると推定されます。
下図は3つの項の値をそれぞれ1251(az初期値)で割り、ぞれぞれ二乗し、全て足したものの平方根である。3軸加速度の合成ベクトルを意味し、即ち機体の加速度運動にほぼ一致する値を示します。
この系列は概ね"MOMO5 Flight (JUNE C-band All Antenna)_gyro_acc_5f.png"の"norm"と一致します。この顕著な機体加速度の低下はT+36.881606秒以降に起こっています。
当該時間帯のエンジン燃焼室圧力を"MOMO5 Flight (JUNE C-band All Antenna)_pressures_mcc.png"および"p8.csv"で確認しても有意な変化が起こっていない点を状況証拠として、エンジン燃焼室やそれより上流の問題ではなく、エンジンノズルの欠損により推力が低下したと考えられます。
エンジンのジンバル位置を示す"MOMO5 Flight (JUNE C-band All Antenna)_gimbal_posiotion.png"が、当該異常を境に有意に大きく振れている事が観察でき、エンジンノズルの欠損の可能性を補強します。
姿勢の乱れとジンバル
T+37秒あたりに動揺の後、T+50あたりから再び姿勢の振幅運動が大きくなり、応じてジンバル制御が大きくなる様は"MOMO5 Flight (JUNE C-band All Antenna)_gimbal_posiotion.png"から見て取れます。"gimbal_a_target.csv"および"gimbal_b_target.csv"は、MOMOに搭載された2軸それそれのジンバルサーボに対する位置指令と推定されます。aはT+65.967934、bはT+66.98777以降、連続して極端に大きな/小さな、同じ値が記録されている点、最大値と最小値の差がa/bともに4305である点から、aの2125/-2180およびbの2135/-2170は制御の上限値/下限値を示していると推定できます。即ち、機体の角運動量が制御の限界に達し、ジンバル指令がハードオーバー(アクチュエーターの最大作動量に至る)したものと考えられます。
緊急停止措置に関連する機上コマンドと弁の動き
"command.csv"の第2列にはcontrol_emergencyという如何にもな列名が充てられています。この値は開始時点からT+69.999676までFalse、T+70.099674からTrueとなっています。緊急停止モードに入った際にTrueとなる値のようです。この仕様は公開されていませんが、遅くともT+70.099674秒には機体が緊急停止モードに切り替わったらしい事を読み取れます。この値は、管制室で緊急停止ボタンが押されたタイミングとは一致しない可能性がある事を留意してください。信号処理、信号制御、シーケンスサイクルといった条件が関わります。
ちなみに、ここで動いているigniter系列がTrue値の間に限り、ガスジェネレーター(以下GGG)、メインエンジン(以下MCC)それぞれを点火するハイブリッド点火器に刺された点火玉(極少量の火薬)に電圧を印加するものと考えられます。lox_ggg、lox_main、ea_main、ea_gggはそれぞれGGGのLOXプレバルブ、MCCのLOXプレバルブ、MCCエタノールプレバルブ、GGGエタノールプレバルブの開指令と考えられます。打上時の光学カメラ映像と対照すると理解しやすいでしょう。これらの弁はノーマルクローズであり、駆動空圧または駆動電圧が無くなれば機械的(バネ駆動)に閉塞されます。
上記"command.csv"と"valves_mv2.csv"を比較します。
"command.csv"のMCC LOXプレバルブは143行T-6.000322からTrueとなっています。
一方"valves_mv2.csv"は144行T-5.897426からstate_closeがTrueからFalseに、149行T-5.467558からstate_openはFalseからTrueに変わっています。双方の値がFalseにある部分はバルブ状態の遷移中と考えられます。
"valves_mv2.csv"の895行T+70.103072にstate_openがTrueからFalseに変わり、900行T+70.632933にstate_closeがTrueに変わった事で、メインエンジンLOXプレバルブが閉じ、燃焼室への液体酸素の供給が読み取れます。
"command.csv"側ではcontrol_lox_gggがT+70.099674にFalseとなっていますので、関連性を理解しやすい系列と言えるでしょう。
"command.csv"control_ea_gggはT-3.500311にFalseからTrueに変わっています。この関係性を読み解くために"valves_v67.csv"を参照します。MOMOはヘリウムタンクに蓄えられた高圧ヘリウムを減圧し、推進剤タンクに送ることで推進剤を加圧し、MCCやGGGに推進剤を送り込みます。よって推進剤の流れとしては下流側となると考えられるv6/v7の動作に応じて上流側の圧力も変化すると推測できます。
"MOMO5 Flight (JUNE C-band All Antenna)_pressures_mcc.png"を参照するとv7開に応じたP4の低下と、v6開に応じたP4の更なる落ち込みを観察できます。これらの相関および外部カメラ映像等から、v7はGGGの燃料プレバルブ、v6はMCCの燃料プレバルブと推定されます。
v7_state_closeはT-3.198664にTrueからFalseに変わっています。commandから弁動作まで約0.3秒の遅延がありますが、液体酸素系統がモーターバルブであるのに対し、エタノール系統はエアバルブであり、バルブサーボに圧力を提供する窒素系の電磁弁を解放することで制御配管が減圧され、その結果ノーマルクローズ側に倒れるという動作をすることが、機械的な理由として考えられます。
"command.csv"のcontrol_ea_mainがFalseからTrueに変わった時刻がT-0.000257。一方"valves_v67.csv"のv6_state_closeはT+0.300737にTrueからFalceに変わっています。こちらも約0.3秒の遅延があることが解ります。
これらの事から、燃料プレバルブの動作を想像してみましょう。約70秒に緊急停止モードとなったので、約0.3秒間遅延し、70.3秒にバルブが閉じ始めるだろう。そう考えるのが自然ですが、実際どのように動いたか確認します。
"valves_v67.csv"のv6_state_openがFalseに変わっているのは874行T+68.201254です。GGG側のv7_state_openはT+67.901259にFalseとなっています。メインエンジン、GGG共に約2秒先だっており"command.csv"と"valves_v67.csv"の相関性に疑問が生まれました。この時点で発生した別の現象からとらえなおします。
"MOMO5 Flight (JUNE C-band All Antenna)_pressures_tank.png"で示されるP1は、初期圧力と、GGGおよびMCCの予冷開始に応じて減じていることから、ヘリウムタンクの1次圧であると推定されます。P16は空圧弁のアクチュエータに駆動圧を提供する窒素ガスの1次圧であり、P17は同2次側と考えられます。
P17初期値は約6.3気圧ですが、T-3.47からT-3.33(GGGプレバルブ動作?)や+0.03から+0.54(アンビリカル解結およびMCCプレバルブ動作?)といったイベントに応じて低下する動きが読み取れます。T+67.489312にもまた顕著に低下し、それに遅れてGGGおよびMCCのプレバルブが閉塞し、T+70.179346に回復するという動作をしています。MOMOの空圧弁アクチュエータの定位化操作は駆動圧断ですので、緊急停止操作に応じて電磁弁が2次側(弁側)を大気開放すると考えられます。
T+67.5秒付近の機体加速度はT+66.381664秒の約1.77GからT+67.181793の約7.32Gへと漸増し、T+67.581823には最大値の26.73Gを測定しています。この際の機体姿勢は進行方向に対してほぼ横倒しとなり、動圧の増大による激しい横加速度がかかっていたと推定できます。このGによる直接的または間接的な要因(単独破壊/変形/他部品の衝突など)によりP16側チューブ、および電磁弁と空圧弁アクチュエータを結ぶチューブが解放された為にP17が低下、プレバルブが閉塞、その後緊急停止操作により電磁弁が閉塞されることでP17は弁非動作圧に回復、P16はアクチュエータ側の解放部との接続が無くなった為に圧力低下速度はやや下がったが、上流側の解放部からの窒素漏出が継続、約T+122には下流側と同じ圧まで低下、T+145には窒素タンク圧が大気圧とほぼ等しくなったと考えられます。
またT+122以降、P17はP16の低下に沿うように低下していることから、上流解放部はP17と電磁弁の間、P16-P17間レギュレータとP17の間、P16-P17間レギュレータ、またはP16-P17間レギュレータよりも上流である可能性が考えられます。解放部がP16-P17間レギュレータよりも上流である場合、このレギュレータは逆流機能付きであると考えられます。
エンジン燃焼室
以上、一連の現象によりMCCは緊急停止指令を待たずして燃料の供給を断たれたと考えられますが、MCC自体の動きも含めて観察します。"p8.csv"および"p9.csv"にMCCの圧力が示されています。
先述のとおり燃料弁閉指令に先だってv6燃料プレバルブが閉じているほかに、バルブ閉動作開始のT+68.201254秒よりも前、T+67.912769秒にp8MCC圧が低下していることがわかります。p6MCC燃料インレットでもバルブ閉動作開始より前に圧力低下がみられます。これに関連すると考えられる現象はGGG側で起きており、MCC燃料プレバルブよりも0.3秒間閉塞が早く発生しています。
GGG側はMCC側と燃焼室圧力低下のタイミングこそほぼ同じですが、バルブ閉塞に伴って燃焼室圧が低下しており、通常通りの動きと考えられます。
『MOMO2号機』のフライトではMCC燃料プレバルブ駆動アクチュエータへの窒素ガスの気密破壊によりT+4.40339に弁位置が閉位置となり、T+4.549062秒以降顕著にMCC圧力が低下しています。弁動作よりも先にMCC圧が低下した今回の現象とは符合しません。
p8およびp9は正常な運転であれは約11気圧(ゲージ圧)を示しますが、p8はT+67.912769で顕著に低下しています。p9は同時刻に約28気圧という値を示しています。MCCの片側の圧力計付近のみで異常が起こりうる現象として横~前方向きGによる推進剤の偏流が考えられます。
非常に短時間で起こった複合的イベントであり、センサー、トランスデューサー、計測システムのタイムラグを無視できないため、それぞれの要素がどのように関係したのかを厳密に何が起こったか読み解く事は困難ですが、通常の運転では起こらない過度な加速度によりMCCへの推進剤供給が正常に行われず、異常燃焼および/または混合比の異常による消火が発生したと考えられます。
その他の事象
衛星測位システムのfirefly_bがT+23.53からT+58.66の間、捕捉衛星数が0となり、測位できない状態となりました。
firefly_bはT+98.38以降、捕捉衛星数が0となり、測位できない状態となった。
firefly_aはT+100.99以降、捕捉衛星数が0となり、測位できない状態となった。
これら事象と関連すると思われる事象を発見できませんでした。よく探したらあるのかもしれません。
因みに『ペイターズドリームMOMO4号機』では飛行中を通してfirefly_a、firefly_b双方とも衛星捕捉数は常に11以上であり、着水直前までecefデータを取得でました。
P1ヘリウム1次圧が異常値を示しました。P1はT+67.829858以降、極端に低い値および極端に高い値を示しています。この系統の測定に使用されている圧力計GP-M400の測定範囲は0から+40 MPaであり、-8.6298186およびT+68.69862の1408.307009は異常値と言えます(別系統の小さな負数は計測装置側で行う校正の結果と考えられます)。これらは当該圧力計の故障による誤った測定値、圧力計が発するエラーメッセージ、圧力計と計測装置を結ぶ電気的接続の損傷による異常値、または計測装置そのものの故障による出力値等が考えられます。
P4燃料タンク圧力は推力運転中はなだらかなカーブを描いていますが、燃料プレバルブの閉塞後のT+68.459326を境に上昇に転じ、緊急停止後は漸減するという動作をしています。推力運転停止後の漸減は『宇宙品質にシフトMOMO3号機』のP4、『ペイターズドリームMOMO4号機』のP4でもみられた現象なので、MOMOの仕様と言えるでしょう。
P5液体酸素タンク圧は概ねT+67.6以降、P3液体酸素タンク加圧ガスの急激な圧力低下を伴って低下し、緊急停止後は漸減しています。液体酸素タンクのベント弁はノーマルオープン電磁弁であり、緊急停止によりこれが解放されたためであると考えられます。一方P3は圧力を保っており、これは『ペイターズドリームMOMO4号機』の動きと類似しているため、調圧部のレギュレータと空圧弁の間は健全であったと推定できます。P3の急減の原因を調べる為には、上流側であるP1の動きが必要ですが、P1は前述のとおり正常な値をとれていないため、他の要素をあたるほかありません。
P5は67.83222からT+70.00222の間で2.70322718 MPaから2.35887998 MPaへ低下しています。MOMOの液体酸素タンク容積は461L、MCC予冷開始時のアレッジを7%とした場合、T+0時点のLOX量は395.7LでありT+67.829858時点でのLOX量は172L、アレッジは289Lである。P7の当該期間の平均値と直前の平均値の平方根の比は0.85:1であり、当該期間終了時のLOX量は166L、アレッジは295Lです。2.70322718*289=781.232655、2.35887998*295=695.8695941と減少しています。
仮にT+67.829858時点でヘリウムタンク側の気密が大規模に破壊され、調圧部に対するヘリウムの供給圧が無くなったとしても計算上は成り立ちます。とはいえこれを裏付ける別の計測を発見できなかったので、仮説の域を超えません。
P3は圧力を保っており、これは『ペイターズドリームMOMO4号機』の動きと類似しているため、調圧部のレギュレータと空圧弁の間は健全であったと推定できます。P3の急減の原因を調べる為には、上流側であるP1の動きが必要ですが、P1は前述のとおり正常な値をとれていないため、他の要素をあたるほかありません。
まとめ
『えんとつ町のプペルMOMO5号機(以下MOMO5)』は通常どおり離床、約T+37に推進加速度が低下、姿勢の角速度が上昇、約T+66に制御上限に達した。約T+67には機体がほぼ横倒しとなり、約26.7Gの非推進加速度を観測。約68秒にメインエンジンの推力を喪失した。その後約70秒に手動緊急停止措置が執られ、少なくとも227秒間飛行した後に着水した。
メインエンジンの推力喪失原因として、押しガスのヘリウム系供給統異常、弁制御ガスの窒素系統異常が関連していると考えられるが、収集したデータのみでは直接原因の特定に至らなかった。
付録
有料部分。OpenMOMOから読み取った主要なイベントの一覧です。表1枚だけですので投げ銭としてお考え下さい。
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