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2ヶ月半のMCUマラソン全記録(ツイートまとめ)

これは『アベンジャーズ/エンドゲーム』が公開された当時の自分のツイートである。

自分はTwitterでスター・ウォーズファンや特撮ファンを中心にフォローしているのだが、これらのジャンルを嗜んでいる人はアメコミ映画のファンを兼任している確率が非常に高かった。だからアメコミ映画シリーズ最大手の一つであるMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)が『エンドゲーム』にて1つの大きな節目を迎えた際には、その感想で大盛り上がりをしていたのだ。

しかし一方の自分はというと、上のツイートでもわかる通り、完全にその波に乗ることができずにいた。そして同時にMCUファンのみんなを羨んでもいた。

スーパーヒーローは昔から大好きだった。日本産の特撮ヒーロー番組は子供の頃からずっと見続けてきたし、サム・ライミ版『スパイダーマン』なども何度も繰り返し見ていた。

だからたくさんのヒーローが登場するMCUも面白くないはずがない。ずっと「面白そうだ」「見てみたい」と思い続けてきた。

だが何せ見るべき作品数が多すぎた。第一作である『アイアンマン』から当時最新だった『エンドゲーム』まで、トータルで22作品もあるのだ。リアルタイムで間を空けて見るぶんには問題はないのだろうが、後追いで一気に見ようと思ったらお金も時間もかかってしまう。

だからMCU作品を見ることを半ば諦めていたのだが、2019年の冬にある転機が訪れた。

多くのディズニー映画が見放題になるサービスである「ディズニーDX(現・ディズニープラス)」に入会することにしたのだ。

これによりほとんど全てのMCU映画が定額で見放題になり、お金の問題は解決した。また自分はこれから春休みを迎える大学生だ。時間なんていくらでもある。

そこで今までの遅れを取り戻すがごとく、MCU映画を見続ける日々が始まった。

フェーズ1

自分には映画を見たらその都度1ツイートで感想を書くという習慣があるので、ここから先は基本的にその感想ツイートをまとめ、必要に応じて補足を書くスタイルで進めていく。

全てはここから始まったといっても過言ではない作品。僕のMCU一気見の旅もここから始まった。2020年が始まって間もない日である。

全身を機械と武器で覆うパワードスーツは、誰もが一度は憧れるロマンの塊だ。また、主人公のトニーが自分の行いを鑑みてその責任を取ろうとするストーリーも面白かった。

この作品は、大人の都合で主演俳優が続投しなかったことなどから、人によっては「見なくてもいい」なんていう人もいる。

しかし、自分の内面に怪物を飼っている男の物語として非常に面白く、また「ハルクとはなんぞや」というそもそもの話や、「ブルース・バナーはなぜ苦しんでいるのか」という後の作品にも繋がるテーマを理解するには必須な作品なので、これを見ないのはもったいないのではないか。

このあたりから一気に『アベンジャーズ』に向けて作品間の横の繋がりが見えてくる頃になった。

MCUの様な大規模なユニバースを経験するのは初めてだったから、こういうクロスオーバー描写はいちいち新鮮で興奮して見ていた。

中学生くらいの頃に少しだけ色々な神話をかじっていた時代があったので、北欧神話をモチーフにしたこの作品は非常に楽しみにしていた。

だから下界に落とされた神が主人公のこの物語は非常に親しみやすく、そこに登場するキャラクターたち全員に夢中になってしまった。

ここでアイアンマン、ソー、キャプテン・アメリカと後にアベンジャーズの中心メンバーになる3人が出揃った。

片や全身を科学技術の産物で覆い尽くした発明家の物語。片や地に堕とされた神が主人公の現代版神話。そして片や戦時中を舞台にしたミリタリー映画。そんな三者三様の雰囲気の映画が並び、普通の作品なら決して交わることのない3人が遂に次作で相対するという。

初めての体験に待ちきれなかった僕は、後日に回す予定だった『アベンジャーズ』をついそのまま再生してしまっていた。

実はこの映画だけは公開当時に劇場で見たことがある。

しかし当時はその前作品を見ていなかったためか「豪華な映画だ」以上の感想を持つことはなく、シリーズの他の作品を見るということもしなかった。

今になって思えばここが運命の分かれ道だったのだろう。もったいないことをした。

フェーズ2

アイアンマン自体はこの後の作品にも出続けるが「アイアンマン」の名を冠した作品はこれで最後ということで、何が描かれるのかには特に注目して見ていた。そしたら、第1作のラストのセリフである “I am Iron Man” という言葉を改めて定義してきたのには痺れた。

アイアンマンとは、すなわちヒーローとは、その見た目や能力によって定義される存在などではなく、その内面/精神のことをいうのだ。

以前は前者の意味合いで口にした言葉だが、様々な経験を経た後だと、全く同じ言葉でも意味ががらりと変わってくる。たった一言の台詞でここまで主人公の成長を表現できるのは凄い。

この映画はとにかく初めから終わりまでロキの映画だったといっても過言ではない。

彼はまだ敵なのか、それとも改心して仲間になってくれたのか。彼の言葉は嘘か真か。とにかく最後までロキに引っ掻き回され騙されてのロキフィーバーで、ロキというキャラクターが好きな自分は大満足だった。

あとジェーンら地球人キャラたちも大好きなので、彼らも大活躍していたのはよかった。この作品を最後に現在に至るまでほとんど登場しなくなったのは結構ショックだったが、今後公開予定の続編に期待するしかないか。

世界を陰ながら救ってきた組織が、実は世界征服を目指す組織の隠れ蓑だったという衝撃の展開。

組織内に裏切り者が現れる展開は他の作品でも何度も見たが、「組織そのものが組織の宿敵だった」という設定は斬新すぎて、最後まで予測不能の展開だった。後にも先にもこんなものはないのではないか。

文字通り時代から取り残されたスティーブが、かつての親友が敵の手で洗脳され、さらに組織からも裏切られたことでますます孤独感を強めていく姿を見るのは辛かった。この本質的な孤独感が後々のシビル・ウォーに繋がったのだろうな…

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは、MCUに内包されているシリーズの中でも特にお気に入りのものになった。

理由は上に書いてある通り。全体的におバカなノリの中で繰り広げられる、真っ正面から心を揺さぶってくる王道のストーリーだ。

特に“あの日握れなかった手”に手を伸ばすシーンは、ベタもベタな展開ながら全身の血が沸き立ったのを覚えている。

あと、何といっても曲がいい。音楽を聴く習慣の全くなかった自分がSpotifyをダウンロードして洋楽を聴くようになったのは、完全にこの映画の影響だ。

この映画はとにかく情報量が多かった。

ホークアイの背景の掘り下げ、ナターシャとハルクのロマンス、『アイアンマン3』を経たトニー・スタークのさらなる物語、後のシビル・ウォーに繋がるトニーとスティーブの意見の相違、そして新たなヒーローの誕生。

それがごちゃつきもせず、語り足りないこともなく、きっちり一本の映画に収まっているのは凄まじかった。

アベンジャーズにはそれぞれの背景を持つ多くのメンバーが在籍しているが、『アントマン』より前で家族を持っていたのはクリント/ホークアイのみ。それも『エイジ・オブ・ウルトロン』で少し登場するのみだった。

だから意外なことに、一本丸ごと「家族のための戦い」をテーマにした作品はこれが初めてで、全体にコメディがちりばめられている作風も相まって新鮮な作品だった。

フェーズ3

自分は今まで日本産のヒーローに慣れ親しんできたので、「ヒーロー同士の争い」と謳われていても、結局最終的には和解して共闘するという展開を何度も見てきた。

ところがこの「シビル・ウォー(内戦)」はそれらとは全く異なり、最後まで両者が和解することもなく喧嘩別れのまま映画が終わってしまった。

しかも始末の悪いことに、この対立において間違った側というのが存在しない。感情の持って行き場がないのだ。

確かに、今まで自分勝手に振る舞ってきたツケを払っている最中のトニーからすれば、社会のためにルールは守らなくてはいけない。だから個人的な感情で動くスティーブを許容するわけにはいかない。

だが、当事者であるスティーブからすれば、たとえ社会を敵に回そうが大切な親友は守らなくてはいけないのは当然のことだ。それに、『ウィンター・ソルジャー』での一件を経験したのだから国家のような組織を信用できなくても仕方がない。

そして最後に告げられた真実も残酷だ。バッキーに怒りを覚えるトニーを責めることもできないし、バッキーを庇うスティーブも間違っているとはいえない。

ヒーロー映画を見ていて、これほどまでに徹底的に仲間割れする展開は生まれて初めてなので、忘れることのない衝撃が残された。

この映画で一番印象に残ったのは、なんといっても壮大な魔法を表現する映像効果だ。

予告編でビルがパタパタとめくれ上がる映像を見たときも「何だこれは」と飛び上がったものだが、本編ではそのレベルの凄まじい映像が次から次へと繰り広げられる。

ストーリーの根幹となる世界観も負けず劣らず壮大で、下手をすればソーにも匹敵するスケール感だったのも良かった。

非常にベタなものだが、成り行きで集まった寄せ集めのチームがどんどん絆を強くし、最終的に「自分たちは家族だ」と言い出す展開に本当に弱い。だからこの映画は好みをドンピシャで突いてくれた。

あと、やっぱり曲がいい。ヨンドゥが音楽に合わせて裏切り者を皆殺しにするシーンなんかは気持ちが良すぎて笑ってしまったくらいだ。

サム・ライミ版の『スパイダーマン』や『アメージング・スパイダーマン』などは昔に見たことがあったが、そのどちらとも異なった作り。

なんといっても、アイアンマンがメンターとして登場するというのがMCUならではだ。

世界を滅ぼす組織と対峙するわけでもなく、得体の知れない怪物を退治するわけでもない。

あくまでも「親愛なる隣人」として身近で起きた事件に向き合い、敵を殺すこともせずに事件を解決する姿がMCUの中では新鮮だった。

今まで神話の世界と地球を舞台にシリアスな空気で進んでいたのが、いきなり宇宙に飛び出しキャラクターが全員はっちゃけ始めたのには正直言って少々面食らった。

でもソーが本当はアホの子なのは初登場時から散々見せつけられてきたから、本当はこれが正解なのかもしれない。

でも今までの雰囲気もとても好きだったから少し悩ましいな。

先日、この映画で主演を演じられていたチャドウィック・ボーズマン氏が亡くなられたのは記憶に新しい。

「黒人をメインテーマに据える」ということの意味から目を背けず、その上でアクションエンタメとしての完成度も高いこの作品は、現代の社会にとって必要不可欠ではないかと思っている。

だからなんとかして、なんらかの形でブラックパンサーの物語を続けて欲しいものだ。

公開して2年が経とうとしていた作品だから、流石にあの衝撃的なバッドエンドも人伝いに聞いて知ってしまってはいた。

だが見ると聞くとは大違いで、実際に各キャラクターの登場する作品を全て追い愛着を持った上で、実際にその光景を目の当たりにしたときのショックはとても言葉では言い表せなかった。

インフィニティ・ウォーを見た当日の僕のツイートを見てほしい。あの展開を受けてかなり支離滅裂になってしまっているのがわかるだろう。

『インフィニティ・ウォー』で完全に心が沈み込んだ僕にとって、終始明るく騒がしく進むこの映画は何とも言えない救いだった。

だからこの映画が終わる頃にはすっかり『インフィニティ・ウォー』のことを忘れていた。

最後の最後のあのシーンまでは…

サノスめ…

『エンドゲーム』の前に一旦時系列を大きく過去に巻き戻して描かれる、「最初のアベンジャーズ」の物語。

希望を求めるファンの不安を吹き飛ばすべく披露された強さは非常に心強かった。

また、スクラル人が登場するコミックを以前一冊だけ読んだことがあり、他の作品での扱いも知識として知っていたので、敵味方が入れ替わるミスリードには普通に引っかかってしまった。

「GotGのあいつも登場してたし」という人もいるかもしれないけど、あいつ過激派扱いされてたしな…

そしてこの日、記事冒頭のツイートをしてから一年経たないうちに憧れだった『エンドゲーム』を鑑賞した。

いつもだったら今まで通り1ツイート感想を呟くところだったのだが、『エンドゲーム』はご存じの通り、マーベル・シネマティック・ユニバースの1つの“最終回“として、3時間みっちり神シーンを映し続ける映画であり、見終わったあと完全に放心して上手く言葉をまとめることができなかった。

まとめることを一切考えないでとりとめもなく書き殴った感想があるので見ていってほしい。

また機会があれば『エンドゲーム』の感想だけでまとめ直したりもしたいけどできるかな…

『エンドゲーム』でのトニー・スターク死亡という衝撃の結末を受けて描かれたのが、「トニー・スタークの弟子」といってもよい関係性を気付いてきたピーター・パーカーの物語だ。

この中でピーターは度々トニーの死と向き合うのだが、そこで必要以上に湿っぽくなるのではなく、あくまでも陽性の若々しい青春ストーリーの一部として展開してくれたのには新世代としての明るい光を見せつけられたような気がした。

あとがき

こうして2020年3月19日、第一作の『アイアンマン』を見てから2ヶ月と13日で、現在公開済みのMCU映画を全て見終わることができた。

これほどまでに大量に作品があるシリーズを、こんな短期間で一気にコンプリートするのは初めての貴重な体験だったので、終わった頃にはかなりの満足してしまった。

だが、MCUを見る旅はまだ終わりではない。

来年の5月には映画『ブラック・ウィドウ』が公開予定だし、その前にはドラマ『ワンダヴィジョン』も配信開始される。そしてその後もまだまだ新しい作品が公開される予定だ。

この不安定な情勢の中でどれほど予定通りに進むのか不明な状況だが、この先、世界中にいる大勢のファン仲間と共に、「マーベル・シネマティック・ユニバース」という大きなムーブメントの波にのまれる楽しい日々を送ることができるのが待ち遠しい。

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