いったん、リセットしたい
何もない、誰もいない無人島で、1から社会を作ってみたい。
こんなことを、ふと考えたことがある。
数十人で、ルール作りから始める。何が必要で、どんな社会が理想か。自分はどんな役回りで、どんな人たちで成り立っているか。
楽しそうな空想がフワフワと浮かぶが、ふと、現実に立ち戻る。
無人島といえば、電気はない。電波もない。ガスもなければ暖をとる家もない。恐らくその過酷さに3日持たないだろうなぁ。。と思い、空想をやめる。
そもそも、なんでこんな空想で物思いにふけっていたのか。それが、現代社会に対する小さな疑問だった。
資本主義経済
満員電車に乗って会社に向かっていると、我先にとギュウギュウに身体を押し込んでくるサラリーマンがいる。恐らく、その電車に乗らないと仕事に間に合わないのだろう。あなたが無理やり乗り込んだ電車で苦しそうにしている人のことなんて、特に何も思わないのだろう。どうせ知らない人だし。
あなたの通う会社は、なんのために存在しているのだろう?
世の中をよくするため。世の中を便利にするため。目の前の人を幸せにするため。
大体の会社はそういう理念を掲げている。だけど、そこで働く1人の社員。今日、電車に無理やり乗り込んで、人を不幸にしてましたよ?
だけどそれは、本当にその人のせいなのだろうか。
余裕をもって家を出れば良い、と言われればそうなのだが、なんか全てを自己責任にするのもどうかと思う。なぜなら、そうせざるを得ない状況を作り出したのは、紛れもなく会社の仕組みだからだ。遅刻してはいけないという刷り込み。売り上げを上げなければならないという圧力。そして、そういう会社を生み出したのは、社会の仕組みだ。資本主義という仕組み。
「資本主義」をgoogle検索すると、このような検索結果が返ってくる。
資本主義
生産手段を資本家・企業者の階級が所有し、自分たちの利益追求のために労働者を働かせて生産を行う経済体制。
一言でいうと「利潤の追求」こそ資本主義である。
会社は誰のものか。
社長のもの。
最初はそう思っていたけど、どうやら違うらしい。
会社は「株主」のもの。
株主は、会社にお金を払って株を買う。そのお金を使って会社は事業を展開する。だから会社は利益を出さなければいけない。株主がくれたお金で経営をしているのだから。じゃあ、なんで人はお金を払って株を買うのか。それは、お金を得るため。その会社がプラスのリターンをくれると期待するから。会社が利益をあげると、株主は配当金が貰える。だから株主は株を買う。その会社が利益をあげてくれると見越して。
会社は、利益を出し続けなければならない。株主のために。去年より今年。今年より来年。そうやって利潤を追求し続ける。それが資本主義の仕組み。
みんなが自由に競走すれば、より良いサービスを出そうと切磋琢磨するし、価格もどんどんやすくなる。結果的に、世の中は良くなるよね。
その前提のもと、資本主義は成り立っているらしい。
確かに、世の中は便利になったし、豊かになった。
医療は需実しているし、安く手軽に外食できる。世の中の色んなサービスが、世の中をより良くしてくれている。だけど、ふと感じることがある。
資本主義は、確実に世の中を発展させてきた。
そして、世界有数の経済大国となった日本。
だけど、なんだかモヤモヤする。
だって、今の人たちって、昔より幸せなんだろうか。
恐らく、Yesと即答できる人は多くないと思う。それは、自分がそれほど幸せを感じていない証拠だろう。
精神的豊かさは、どうやら物質的豊かさと相関関係にないらしい。これは研究結果が出ている事実。だから世の中がどれだけ便利になったとしても、それが僕たちを幸せにしてくれる訳ではない。
「無人島で暮らす」という空想は、そのモヤモヤからきていた。
新しい経済
じゃあ、僕たちが今より心を満たして生きるためには、どうすれば良いのだろうか。便利な世の中になった現代では、それなしではなかなか生きていけない。便利さの恩恵を受けながら、これからも生きていくことになる。だけど、「世の中が便利になれば、人々は幸せになれる」訳ではないのだとしたら、日々を楽しむには、また別ベクトルで考える必要がある。
それこそ、新しい経済の台頭だと僕は感じている。資本主義がなくなるのではなく、資本主義と並列して、別の経済がある状態。完全資本主義一本で生きる人もいれば、別の経済に移り変わる人もいる。どちらもハイブリッドに暮らす人もいる。じゃあ、具体的に資本主義と台頭する経済って何か?
そこで比較とされるのが「社会主義」だ。
社会主義
社会主義と聞いたら、僕は「独裁政権」のイメージしかない。社会主義の国がうまくいかなかったことが、資本主義が推し進められた1つの要因であるとも言われている。あんまり良いイメージがない。ていうかほぼない。
google先生で検索してみると、社会主義はこう出てくる。
富を平等に分配するためにその生産手段を社会のものにする制度
ん?富を平等に分配?それを社会が?なんか良さそうじゃないか?
平等と聞くと、なんか良いイメージがありそうだが、平等にも様々ある。平等に分配するということは、頑張ろうが適当にやろうが平等ってこと。
平等は、何をもって平等と見なすか、によって、平等にもなるし不平等にもなる。これまでの社会主義がうまくいかなかったのは、全ての権限を政府がもったこと。平等の分配によって、人々の頑張るモチベーションが削がれたことが大きな要因だろう。
だけど、僕はこの「分配」の在り方は、ひとつの形としてありなんじゃないかなって思った。完全競争社会で闘うだけでなく、みんなで頑張っている人もそうでない人も、平等に労われる社会もあったって良い気がした。
物事は何でも、極端にいき過ぎると歪みが生じる。2つの要素を、良い塩梅で作ることはできないだろうか。
そこで僕が思い立ったのが、「空間シェア」の小さな経済だ。
空間シェア
これを簡単に説明すると、まず、みんなで同じ値段のお金を払う。
例えば、5000円としよう。
30人でそれをシェアすれば、30 × 5000 = 15万円になる。これが、みんなの共有資産となる。そしてその使い道を、みんなで決める。
ここは、民主制を採用。意見が対立する場合、決定権をもつ1人が決める。これは投票で選ばれた何人かが、ランダムで回っていく。
そして、何かビジネスを立ち上げたい場合も、このお金を使うことができる。みんながそれに賛同すれば、そのお金を投資金としてビジネスを行うことができる。もちろん、プラスになったら返してもらう。
別にビジネスじゃなくても良い。旅行に行きたいけど、お金が今手元にない場合。カードローンを組むと2ヶ月遅らすことはできるが、その利率はなかなか痛い。リボ払いも15%が基本なため、10万の買い物で11万5000円かかる。
こんな勿体無いことをするなら、みんなでカンパして、そのお金で旅行に行けば良いと僕は思う。あとで返してもらえるなら、ちょっとの間誰かが使ってたって良いだろう。そして返してもらう時は、ちょっとだけ色をつけて返してもらう。カードローンが15%に対して、3%くらいか。期限も返せる範囲内で。
経済が循環する。それは、みんなで共有した資産をもととして。そしてそれはただのオンライン上での関係性ではなく、顔の知ったオフラインの関係。
だから、必要になるのが「集いの場」。シェアしている空間だ。そして、そこがみんなの集いの場となるよう、デザインし、みんなで盛り上げていく。
空間の魅力が高まれば、人がどんどん集まってくる。人が集まれば、共有資産も増え、できることはさらに多くなる。
だけど、一番気をつけなければならないのは、誰とやるか。いわゆる「共有する人の基準」だ。ここがあまりにハードルを下げると、居心地の良さはなくなる。
世の中のオンラインサロン、ビジネスコミュニティを色々見てきたが、ここを「人間性」で切り分けしているところは皆無だった。基本、お金を払えば誰でも入れたり、知ってさえいれば入れるものばかり。
そこにどんな人たちが集っているのか、が曖昧だと、関係性を構築することは難しい。そして、関係性が曖昧だと、シェアに不信が生じる。
このビジネスモデルは、お互いが信頼し合っていて始めて成り立つ。だからこそ、人選びは慎重にしたい。
だけど、僕は人がたくさん集まるほどの人間ではない。だからこそ、友人繋がりを少しずつ広げ、少しずつ大きくしていきたい。
分かち合いと、与えあいの精神をもった人たちで、少しずつ。
BARをやっているのは、BARがその入り口としての役割を果たしてくれると思っているから。フラッと立ち寄った人をどんどん仲間にしながら、楽しい空間、関係を作っていく。
優しい人、気さくな人がフラッと立ち寄る場を作れるように、毎週運営していきたい。