仲間に魅せるタックル
僕は中学生の時からラグビーをしています。
大学生になった今でもラグビーを続けています。
昨年、日本で大いに盛り上がりを見せたラグビーW杯も横浜にスコットランド戦を応援に行くほど楽しませて貰いました。
個人的にラグビーを見る上でもプレーする上でも好きなところが"タックル"です。
ラグビーはボールを持った選手がインゴールに向かってトライを目指して走りますが、それを止める手段はタックルしかありません。
試合に勝つためには誰かがタックルをしなければいけません。
身体が小さくても大きくても、タックルが苦手でも得意でも、ボールを持った選手が自分に突っ込んでくるならば自分がタックルをしなければいけないのです。
ラグビーをやってた自分から言わせてもらうとタックルは結構怖いです。
気持ちが乗ってきてアドレナリンが出ると恐怖心も薄れてガンガンタックルに行けるのですが、試合の1発目のタックルっていうのは、大半の人が怖さを感じるのではないでしょうか。
その1発目のタックルで相手を仰向けに倒すような激しい良いタックルをすると自分だけでなく、周りのチームメイトも士気が上がります。
高校3年の夏。
僕の高校は進学校だったので多くの高校生が目指す花園予選には二年生以下で出るという風潮がありましたので、高校三年生の夏の県総体が引退試合になります。
3日間開催されるのですが、2日目にベスト8が決定し、トーナメントを行い、ベスト4に残ったチームだけ3日目に試合を行う事ができます。
僕たちは目標を「3日目に残る」と設定しました。
なんとかベスト8には残る事ができて3日目に残るための大一番の試合。
相手は花園にも度々出場している強豪校でした。
さらに相手は午前中に予選プールを経て、午後のトーナメントまで休息をしていて体力は万全。
かたや僕たちは午後に予選プールを通過して休む時間も1時間ほどでした。
1時間しか休めないためチームみんなでストレッチをしていたとき
「これで負けたら引退なのに、疲れ過ぎてなんも考えれん」
とチームメイトの誰かが言いました。
みんな共感していて、僕も共感しました。
負けそうだな。とみんな諦めかけてました。
そして、引退が今日になるか明日になるかの試合が始まりました。
キックオフで相手チームにボールを蹴り試合スタートです。
自分達より大柄なFWの選手がボールを持って突っ込んできました。
すると、今までタックルが苦手で練習でも何度もやり直しを喰らっていたチームで一番背の小さいスクラムハーフの同級生が相手を仰向けに倒すとても激しいタックルをしてくれました。
その時後ろから見ていた僕は、少し涙が出てきました。
勇気を振り絞ったタックルにただただ魅せられました。
プレー中の味方からも応援席からも「ナイスタックル!」の声。疲れも吹き飛び、絶対に勝ってやるという気持ちがそのタックル1つで、チームみんなの心に浮かんだと思います。
結果はやはり力負けをしてしまい目標の3日目に残ることは出来ませんでしたが、6年ほど経った今でもあのタックルだけは頭に鮮明に浮かびます。
正月などでラグビー部で集まった時も、あの時のタックルやばかったなぁ。と毎年盛り上がります。
ラグビーの見方が分からない。という人を多く見かけますが、タックルに焦点を当てて見てみるのも面白いです!
僕自身も、魅せるタックルをこれからも出来るように気合い入れて行こうと思います。