母親の不調⑳ ~抗がん剤治療のため入院しました
一昨日、抗がん剤治療のため母親は入院をしました。
病棟のナースが一斉に退職したとかで人手が足らないらしく、
(大丈夫なのだろうか?)、
入院前にもろもろの検査をしてから、入院手続きをしました。
手続き中に、検温や血圧を測ったときに、
酸素飽和度が低かったらしく、
「酸素マスクをつけましょうね」
と看護師さんに言われました。
酸素マスクをつけながら抗がん剤治療って、
かなり重篤なイメージで、一瞬で不安になってしまいましたが、
看護師さん曰く、珍しいことではないので大丈夫だそうです。
母親を笑顔で励ましながら見送るつもりだったのですが、
全然できなくて、結局は今生の別れのような半泣き状態で、
病室に送り出してしまいました。
転移の告知をされた時にも、母親が一番つらかったはずなのに、
私は理性を保つために、万が一の時の諸手続き(お葬式や相続)を
考えることで現実逃避をしてしまいました。
その後も、私のほうがめそめそしていて、ほんとに辛い母親を
置き去りにしてしまいました。
自分の悲しさを優先してしまい、私ってずるいなあと今になって思います。
もっと安心して、治療に向かえるような寄り添い方をすればよかった。
病院では、担当のN先生にお会いできなかったのですが、
後から電話をいただきました。
「質問はないですか」
と聞いていただいたので、
周りに抗がん剤治療について話したところ、
数人の友人から「緩和ケアは考えなかったのか?」
と尋ねられたことを伝え、
この年齢から抗がん剤治療をするという選択が良かったのか
不安になったことを話しました。
するとN先生は、
今の薬は、以前ほどには副作用がひどくはないこと。
使用する予定の抗がん剤は75歳以上でも多数の使用者がいること。
十分に治療を見込めると思って、抗がん剤治療を決定したこと。
を説明してくれ、「その方たちがどのような意図でそういわれたのかわかりませんが、私はやる価値はあると思います」
と言ってくださいました。
先生にそう言っていただけて、かなり安心することができました。
先生は、「こればかりはやってみないと本当にわからないんです。
もちろん抗がん剤も調整します。酸素飽和度も低いようですし、
あまり辛いようであれば胸水を抜くことも考えています。
それでも効果がなければ、また相談しましょう」
と話してくださいました。
「それでも効果がなければ相談」、というフレーズが、
どういう状態なのか考えるとかなり怖い・・と
思いつつ、先生の親身な対応により少し落ち着くことができました。
先生にも話しましたが、正直なところ、
友人が緩和ケアに言及したことにより、
一気に私の不安定さが加速したような気がします・・。
それまでももちろん心配でしたが、恐ろしい予後ばかりを
想像するところまで至っていなかったので・・。
自分自身や身内に病気を抱える人には、話を聞いてあげたり、
そばにいることが大切で、
聞かれてもいない病気に関する情報はいらないのだと
今回身をもって知りました。
欲しければ自分で調べたり、尋ねたりすると思います。
友人は、よかれと思ってあれこれ教えてくれたのだと思いますが、
逆に不安を増大させるだけで、今思うと、本当に余計なおせっかいでした。
ひどい言い方ですみません。
でも、相手が欲していない情報を一方的に与えるのは、
結局自己満足にしかならないと思うので、
今後、不安になっている人と接するときには、
細心の注意を払おうと心に誓いました。