私が講演プレゼンの時間管理でやっていることを書いてみます
おはようございます。
おかげさまで、月2,3回程度、麹のことや経営のことなどについて、セミナーやプレゼンをさせていただく機会がでています。
プレゼンは、依頼者によって、45分とか、60分とか、90分とか、様々な依頼をいただきます。
また、テーマも、麹の作り方など、かなり技術・テクニックよりであったり、伝統とか歴史のテーマをいただいたり、あるいは事業承継や経営者としての話を、など、様々です。
などなど、いろいろな演題をいただいております。
演題×時間で、色々組み合わせがあるわけですが、その対応について書いてみます。
1:基本となるスライドを用意する
まずは、基本となるスライドの用意です。
例えば、
とか、
また、受講者のレベル感やテーマによっては
このように、概略図ではなく、より詳細図をスライド提示することもあります。こういったものも入れると、技術的なモノや歴史的なモノ、経営に関すること、全部合わせると、スライド数百枚の資料は持っています。
まずは、スライドを用意しましょう。話はそれからです。
2.1枚のスライドに対して早い、標準、遅いをつくる
さて、スライドが終わりました。
次は、それぞれのスライドごとに、概ね、10秒しか触れないパターン、30秒でざっと読み上げるパターンと、ゆっくりめに1分のパターン、余談も入れて3分程度に話を引き延ばすパターンなど、早め、標準、遅めのそれぞれのパターンを準備します。
例えば、このスライドであれば
事前に資料が配られているパターンの場合は、「種麹の誕生以前の種付けとしては、自然種付法と友麹法があります、詳しくはお手元の資料を見てください」
ぐらいで10秒で終わらせます。
30秒モードの場合は、スライドの文章をそのまま読み上げると、このくらいの文章だと30秒ぐらいです。
1分モードの場合は、聴き手の方がメモをするスピードや表情リアクションを見ながら緩急を付けたり、スライドに載っていない補足情報として、具体的な情景描写をいれます。
例えば、「ご飯を放っておくと、ご飯にカビが生えてくるじゃないですか、それと同じこと、偶然に任せるのが自然種付けですね」という形で理解を促します。この部分の膨らまし感の調整で、1分~3分ぐらいまで刻みます。
なお、体感としては、スライドをプリントした事前配付資料がない場合は、概ね1分モードでいかないと、私のスライドの平均的な情報量だと、ちょっと聴き手の方のメモや理解が追いつかない感じがあります。
このように、各スライドに対し、車のギアチェンジするように、分量調整したパターンを用意しておきます。
日頃から、このパターンを用意しておくと、急な依頼にも対応できます。
3.プレゼン全体の時間配分を考え、スライドを選抜する
さて、実際に具体的な依頼が入ってきました。45分とか60分とか提示されます。
そこで、テーマにしたがって全体の時間配分を考えます。まず、テーマにしたがって目次を作ります。
国際発酵・醸造食品展では「麹菌の特性と麹化による食品原料の高機能化」で、質疑応答抜きで45分いただき、このような目次を作りました。
なお、目次のページはスライドで話が切り替わるごとに提示した方が良いです。そうすると、聴いている人が「今、全体の中の、何の話をしているのか」を掴みやすくなり、迷子にならず安心感を持って聴いてもらうことが出来ます。
こうやって、プレゼンの途中途中で、目次の中から、これから話すパートをハイライトしたスライドを挟むと、分かりやすくて良いですし、「これから、この話を聞くのか」と、聴き手の方に聞く姿勢が出来ます。
さて、テーマに従い、目次を以下のように作りました。
そして、45分で7項目なので、一旦45÷7で、1項目6分+余分3分とします。
なお、この余分は最後まで持っておいた方が良いです。概ね、与えられたテーマ時間の5%程度は調整用の余分として持っておく方が良いです。当日、調整用余分時間が余ったままになってしまった場合の処理については後述します。
と、仮決めします。
そして、今回の場合は、依頼された演題タイトルにもなっているので「麹菌の生物的特性」や「麹菌による物質変換」は重めにしたいところ。具体例もあった方が良いでしょう。
逆に、これだけ専門的なテーマなので、基本知識はさらっと流せば良いな、と判断します。そのため、軽めで良いところの分数を削って、重く行きたいところに付け替えます。
と、少し設定を弄りました。
そうすると、『麹とは』については、30秒モードで行くならスライド4枚分、1分モードで行くならスライド2枚、あるいは2分であればスライド1枚だけでも良いかな、と言う目安がつきます。
逆に「麹菌の生物的特性(9分) 」なので、さらっと行くスライド、30秒モードを2枚、じっくり話すメインスライド5分を1枚、ややゆっくりめの補足スライド1分を3枚、これで締めて6枚で9分、というような目安を立てます。
このように各パートの分量とスライドの枚数目安が決まったら、それに応じて用意したスライドを選抜しセットします。
ここまでが事前準備です。
もちろん、慣れないうちは、実際に話してみて分数通りに収まるかのチェックと練習は重ねた方が良いでしょう。
そこまで含めても準備です。
4:当日、プレゼン途中で時間管理しながら進める
さて、当日の時間管理です。私は、必ずスライド資料を印刷して持ち込みます。1ページに9スライド、ないし、16スライドぐらいがよいです。
PowerPointの発表者ツールのnoteに書き込めることでもあるのですが、全体像が見えた方が視覚的に自分でもペースが掴めるので、紙をオススメします。
そして、手元資料に、「このスライドまでに何分経過しているはず」という目安の分数を入れておきます。実例(を少し変えたもの)を見てみてください。
「麹菌による物質変換」に到達するまでは、”・麹とは (2分)・種麹とは (3分)・麹菌の生物的特性(9分)”ですから、14分使うはずです。
この時点でプレゼン開始から14分前後で通過していれば、概ね想定通りのペース。12分だと、ちょっと想定より速いペースになっている、16分だと少し予断を挟みすぎたから後半を気持ち巻いていく、と言う判断が出来ます。
なお、コツとしては、会場の時計や腕時計で、直観で分かるように、「14:44分」など、実際の時間を書くことです。公演開始が14:30だったとすると、14分後は「14:44」となります。
これを、目次スライドごとに記入しておくと、全体のペースが乱れません。
そして、ちょっと進行が早かったり遅かったりしたときの対応ですが、
これは、3分モードで喋るスライドを2分に削る、あるいは1分モードで喋る予定のスライドを3分喋るスライドに昇格させる、などで調整します。
何回かやっていると、補足や余談が引き出しやすく、時間調整がやりやすいい「自分の中で得意なスライド」というのがでると思います。その「得意なスライド」を分散して入れておくと、時間のコントロールは楽になりますね。
そういうスライドにはマークを付けておくのも、当日、「このスライドで速度調整すれば良い」というのが用意されてるのが視覚的に分かると、気持ちが楽になります。
このスライドは、パッと見せるだけでも良いですし、焼酎、清酒、味噌、醤油など、それぞれの具体例を細かく喋ればそれだけで4分になりますし、私は重宝しています。
なお、基本的には早めペースが良いです。時間が余った場合の取り返し方を最後にご説明します。
5:最後の調整はラストスライド
さて、順調であれば、5%程度は余分として残すと書いたとおり、おそらく、45分のプレゼンであれば42分ぐらいで、最後のスライドに辿り着くと思います。
ここで、最後のスライドの効果的な使い方です。よく、最後のスライドを「ご清聴ありがとうございました」を一文だけ出して締めたり、会社のロゴマークを投影するだけの人
あるいは、本題に関係の薄い補足情報、例えば、新商品のプレゼンで、些末なオプション機能の説明を最後の補足でしちゃう人などを見かけますが、ちょっと勿体ないです。
最後のスライドは、そのあと、ずっと投影されている可能性が高く、一番印象に残りやすい、一番美味しいスライドです。
これを効果的に使わない手はありません。
私は、最後のスライドでは「今日のまとめ」を投影します。今日のプレゼンを振り返ります。
これまで例に挙げてきたプレゼントは異なりますが、公開可能なモノとして、別箇所でのプレゼン資料です。
このプレゼンでは、概ね4パートに分かれていたので、それぞれのパートのキーとなるメッセージをスライドとして投影し、最後にダイジェストで振り返り、聴き手の方にお届けします。
そうすると、『結局、一番最後の方に聞いた話しか覚えていない』『最初の頃話した内容がなんだっけ?』になることはなく、自分の思ったとおりの構成、伝えたいポイントを、そのまま漏らすことなく、最後に聴き手の方の整理の補助としてお届けすることが出来ます。
また、このスライドを出しておけば、キーメッセージの補足として、良い足りなかったことや、ここはまとめのスライドなので、同一プレゼンで、同じ話を2回しても不自然ではありません。むしろ、聴き手の方にとっても、.その方が理解が深まり復習できるということもあるでしょう。
このスライドで最後、余った時間の調整をしておきましょう。
逆に、時間が押し気味になったときは、最後のこのスライドは、投影されっぱなしになることを前提にすれば、10秒でも良いわけですし、1分ぐらいの誤差であれば、読み上げれば良いでしょう。3分から5分余ったら、1つ1つのトピックを振り返ると、ちょうど時間に収まります。
また、質疑応答の場合も、質疑応答中、このスライドが投影されていれば、プレゼン全体を振り返りながらの質疑応答に自然に誘導できるので、質疑応答が細かくなりすぎることを防ぐ効果もあります。(質疑応答のコントロールについては別のツールがあります)
まとめ
と、ここまで書いてきましたが、最後にまとめておきます。
1:基本となるスライドを用意する
2.1枚のスライドに対して早い、標準、遅いをつくる
3.プレゼン全体の時間配分を考え、スライドを選抜する
4:当日、プレゼン途中で時間管理しながら進める
5:最後の調整はラストスライド
これで、時間管理が上手くいく可能性が高くなると思います。やっている人も多いことだと思いますが、是非、講演、セミナー、プレゼンなどに活用してみてください。
補足
ちなみに、スライドのビジュアル的な作り方、全体の運び方などとしては
の2冊が参考になると思います。
講演やセミナー、学会など固めのプレゼンと、商業・ビジネス的なプレゼンでは、それぞれに作法が違うので、状況に合わせて使っていけば良いと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。 私のプロフィールについては、詳しくはこちらをご覧ください。 https://note.com/ymurai_koji/n/nc5a926632683