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古いWebサイトをお掃除して約4000ページ削除した話

こんにちは、ゆうこやです。サイボウズでWebサイトの制作・運用支援を行っています。

皆さんの会社では、古いWebサイトのお掃除ってどうしてますか?

長く運用しているとだんだんページが増えていきますが、ページが増えれば維持コストも増えるので、どこかでお掃除しないといけないタイミングがきます。

お掃除プロジェクト…手が挙がりにくい仕事の筆頭です(多くの人は、古い家の掃除より、新しい家の設計の方が楽しいですよね)。

しかし今回私が担当しているサイトで約4000ページのお掃除を行うことになってしまいました。せっかくなので、プロジェクトの流れや気づきをまとめておきます。


なぜページの削除が必要だったのか

今回対象となったのは、サービスのメンテナンス情報や、障害情報を掲載する「サイボウズのお知らせ」というサイトです。

15年以上運用してきた結果、5000ページ以上を抱える巨大サイトになっていて、このまま増やし続けると、現在のCMSでは運用できなくなることがわかっていました。

より大量のコンテンツを運用できるCMSへの移行も考えましたが、ざっと眺めたところ不要なページが大半。アクセス解析ツールを見てもほとんどのページがほぼ閲覧数0です。

見られないページのためにCMS移行するのはコストが見あわないため、CMSは変えずに不要なページを削除することにしました。

どのように進めたのか

大まかにいうと次の段取りで進めました

  • 削除基準を作る

  • kintoneアプリで削除リストを作る

  • 削除リストを関係者に確認してもらう

  • 削除実施

削除基準を作る

対象ページが5000を超えており、1ページずつ確認するのは不可能。まず削除基準を作って、機械的に判断していく必要がありました。

このサイトをよく利用している社員にもヒアリングし、現実的な基準に落とし込んでいきました。最終的には次の項目で削除基準を作りました。

  • ページの最終更新年

  • ページに付与されているカテゴリー

  • ページタイトルに含まれている文言

まずは削除基準の作成から手をつけ始めました


kintoneアプリで削除リストを作る

削除基準ができたら、それに沿って残すページと削除するページのリストを作ります。

作ってみると削除候補が4000ページ、残すのが1000ページとなりました。1000ページ前後なら現在のCMSでも問題なく運用できます。

削除ページリストは、CMSから書き出したCSVを加工して作りましたが、最終的にはkintoneアプリに入れ直しました。

サイボウズではエクセルよりもkintoneの方が使い慣れてる人が多いこと、レコードごとにコメントできて「このページ残して」などのやり取りがしやすいこと、などが背景にあり、一手間かかりますがアプリにしました。

削除ページリストはCSVをkintoneアプリに読み込んで作成しました
アプリのイメージはこんな感じ。
ページごとの相談をレコードコメントでやり取りできるようにしました
(※実際の画面とは異なります)

削除リストを関係者に確認してもらう

削除リストができたら、関係者に本当に削除して良いか?確認してもらいます。

とはいえ…です。4000ページ分のリストをいきなり渡されても、正直、確認しようがないんですよね。

1つ1つ見るのは不可能ですし、消したあとどんな問題が起きるかなんて、実際消してみないとわからないんです。

そこで今回は、関係者が次のような状態になることを目指しました。

  • ページの削除基準や背景に納得できている

  • 起こりうるリスクと、対策が認識できている

  • 気になるページは個別に確認できている

一言で言うと

「そこまで考えてるなら任せるよ。あ、これだけは大事だから取っといて」

というようなコミュニケーションができればOKとしました。

大切なのは共感と納得、となると鍵になるのは情報の出し方です。

確認作業が進んでいる間は、常に最新の情報がオープンになっているようにし、「ここを見ればプロジェクトの状況が全てわかる」ような場所を作るよう意識しました。

やり取りはkintoneの公開スペースで行い、プロジェクトの背景や、削除基準などを記載しました。気になった人が誰でもコメントできるようにして、個別の質疑はFAQとして追記していきました。

kintoneの公開スペースに削除基準やFAQを記載し、
いつでも誰でも見られるように
(※キャプチャはの画面とは異なります)

それが功を奏した…かはわかりませんが、想定外のストップや遅延はなく、ほぼスケジュール通りに進めることができました。

削除実施

関係者確認が終わり、削除リストができたのであとは消すだけ。CMSの管理を委託している会社の方に協力いただき、削除を実施いただきました。

当初の目標通り、約4000ページを削除し、1000ページ前後まで公開ページを減らすことができました。

実施後、リスト通りにページが消されているかどうかを、リンクチェックツールで確認し、削除漏れの対応をいくつか行いました。

やってみた気づき

15年運用したサイトのお掃除をやってみて、気づいたことは次の3つです。

早めに削除基準と判定フラグを作っておけばよかった

今回、削除基準を作ったものの、それを判別するためのフラグがCMS側になく、削除リストの作成にかなり手間がかかりました。

サイトを1〜2年くらい運用した時点で、どんな情報をいつまで掲載するか?基準を作り、それを判別しやすいフラグをCMS側に作れればよかったと思います。

1年に1回のペースでお掃除しておけばよかった

今回15年分を一気にお掃除したのでリストの数が膨大になりましたが、年1回ペースでこまめに掃除しておけば、ここまで大変じゃなかったと思います。

社内の協力に助けられた

これは感謝しかないのですが、社内の協力には本当に助けられました。

今回のサイトは、私一人で判断できないことも多くあり、社内のあちこちに相談に行きましたが、みんな前向きに話を聞いて、確認作業を進めてくれたことで、無事に完了することができました。

大事なのは「早めのルール決め」「こまめに掃除」

例えば家を建てた時、どこに何を収納するか、何をいつまで取っておくか先に決めておけばきれいな家を保ちやすいもの。

Webサイトも同じで、ページの掲載/削除のルールを早めに決めて、こまめに掃除することが大事だなと思いました。

サイト制作では、デザインやコンテンツに頭を使いがちですが、今後は「運用ルール」についても事前にしっかり検討しておこう…と学びました。次の制作に活かしていきたいと思います。

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ゆうこや
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