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「曲線小日記」
★ 3月14日 日曜日
南の海で取れた貝殻です。
見るからに、痛々しいとげとげ
なぜこういう形になったのか。
これには
こざかしい人智も及ばぬ
深い理由があるのだろう。
★ 3月15日 月曜日
これは、近くの海で拾った貝殻です。
見事な曲線。
この曲線を数理的に解析し
再現できるのも、大したものだが、
所詮、なぞるに過ぎない。
それより、この曲線を自然の造化として
創り上げることの方が、さらにすごい。
どういう生命の設計から造られるのか
その機構は、まだ解明されていないのではないか。
★ 3月16日 火曜日
世の中には様々な曲線がある。
重力によって垂れ下がった曲線
溶岩が流れ、冷えて固まった山の稜線、
例えば富士山の、
あのなだらかな曲線、つい見惚れてしまう。
まだ他にも、地上のものだけに限らず、
天体の周りを周回する物体の描く
円や楕円や放物線、双曲線といった二次曲線など、
限りないが、
すべて神秘的な宇宙の営みを垣間見させてくれる。
そして、それを美しいと感じる
この心のさらなる神秘さを想う。
★ 3月17日 水曜日
毎朝5時半過ぎに散歩に出る。
この間まで、星座がはっきり見えるほど
真っ暗だったのが、
急に白み始め、
今朝は、星が東に一つ見えるだけ。
周りの景色も見分けがつくようになった。
この時間帯の、
これからの半年は、明るい早朝散歩となる。
★ 3月18日 木曜日
曲線は、微小な直線の
連続的な集まりからできている。
その直線は、俯瞰すれば
意志を持っているかのように
やがて様々な曲線となって発展していく。
人間も同様に、
平行な直線であったものが、
いずれ、別れ別れになり、
それぞれの人生行路を描きながら
独自の軌跡としての曲線を仕上げていく。
今や卒業式シーズン。
すぐ傍にあった並行だった直線が、
これから互いに分離していく時。
★ 3月19日 金曜日
あの頃の君だった、君には会えるかもしれないが、
あの頃の君には、もう絶対会えない。
しかし、それでもなお
想うことで逢えるという不思議な心のタイムマシンがある。
高校時代、最初で最後の、フォークダンスの手を取った時
ぼーっとなって、立ち止まってしまったが、
その君のことを想うことで、
あの頃の君と逢っている。
★ 3月20日 土曜日
静止衛星は、地球と同じ角速度で
地球半径の約6倍の距離の所を周回しているが、
それよりさらに遠くの所から
長いワイヤーを垂らして地球に結び付ければ
宇宙エレベーターが設置できる。
ジャックと豆の木の、
あの豆の木より、さらに壮大なものが
いつの日か実現できるかもしれない。
重力によって、そのエレベーターが押しつぶされないか?!って、
御心配御無用。
重力、もしくは引力は、遠心力によって相殺されますから。