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五十歩百歩小日記


★ 1月6日 水曜日
どういうわけか、
記憶に残っていること、
思い出すことと言えば、

十代頃までに聞いた
懐かしい歌、
そして故郷の
人々の思い出。

その後は、どういうわけか、
記憶に残っているとは言え、

年齢とともに加速していく
走馬灯のような印象であり、
十代の頃までのような鮮烈さはない。


★ 1月7日 木曜日
幼い頃、近所の子ども大勢が
近くの海に行って、泳いでいた。

もちろんプールのようなものはなく、
大自然の海に直接、その身を浸していた。

石垣の上から飛び込む者
沖の筏や船まで泳いで渡る者などそれぞれで、
泳げない者は、
岸近くに浸かり、
夏空の下
喚声がどよめいていた。

密集した、濃密な、
夏の日の想い出だが、

今や、益々、少子化になり、
密なるものから遠ざかる時代へと
進んでいるように思われる。


★ 1月8日 金曜日
いろいろの形はあれど
むつかしき我の心に
似る雲はなし

石川啄木の歌です。

キラキラ輝いているツイート、ブログ
多種にわたるけれど

心に合致するものは
そう多くはない。

ということは
つまり、変わっているのか。

しかし、五十歩百歩。
変わっているといっても、
そう振幅の振れ幅が、極端ではないはず。

顔がみな違って、
他人から簡単に識別できるように、
それぞれの個性があるということだけでも
健全なしるしだと思う。

★ 1月9日 土曜日
忘れた頃に、天災がやって来て、
壊滅的な被害をもたらし、
ゼロに帰した。

が、
七回転んでも八起き。
人間は、どのように鬱屈し、傷ついても
とにかく、最後は、
立ち上がって来た。

戦争という人災も
それまで営々と築き上げたものを
リセットするかのように
焼け野原と化したが、

人間は、どのようにしてまでも
そこから這い上がって来た。


★ 1月10日 日曜日
冬の星空は、くっきり見える。
昼間も、遠くの景色がはっきりしている。

夏になると、そうはいかない。
空気中に含まれる水蒸気量が、
気温に比例するから。

ウィルスの増殖も、
この気温と湿度に関係しているのだろうか。

冬の季節とともに、
急激にそれが増えていったのも、
こういう一因があるのかも。

とにかく、個人でできる
予防策を徹底したい。


★ 1月11日 月曜日
こう寒いと、夏が恋しくなる。
が、猛暑の夏は、冬が待ち遠しい。

ずいぶん勝手なものだ。

ところで
一年のうち、いちばんいいのは、
5月と11月。
緑の季節に、紅葉の季節。
暑くも寒くもない。
それに湿度も適度で、
空気がさわやかである。

半年ごとに、暑さ寒さが巡ってくる
けれど、
この規則性も、近年は少々狂いがち。


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