楽しむ小日記
★ 12月14日 月曜日
楽しむという「楽」の字を
じっと見ていると
木の上に、白い花が
笑って咲いているように見える。
人生、ある程度楽に、
楽しみながら続けられるものが
一つでもあると
第一、楽しいし
充実した、幸せで
楽な暮らしができるような気がする。
★ 12月15日 火曜日
午前5時半過ぎ、
今朝は、とても寒い。
空は半分、雲が覆い、
もう半分は、くっきりとした星空。
暁闇の中、歩いて、ふと見上げた時、
流れ星を見た。
速足の、このわずかな散歩の時間、
他に、誰か、見た人はいるのであろうか。
この一瞬の光芒。
何かしら、人生そのもののような気がした。
美しく咲く野の花みたいに
誰にも知られずに咲いて散る
ような、潔さ。
誰かが見ていようが、いまいが、
なるがまま、あるがまま、
それでいいと思う。
大自然が教えてくれる深い知恵。
★ 12月16日 水曜日
猫が、夜中に布団に潜り込んで来て
脇の下に縮こまり
両方の前足を上腕に乗せ
喉をゴロゴロ鳴らしている。
身動きもできず
安眠の妨害と思うが、
闇の中、
柔らかい毛並みと暖かさに
いつしか夢の中。
動画では伝えきれない猫の魅力がここにもある。
★ 12月17日 木曜日
昨晩7時半過ぎ、
今度は、西ではなく
東の空の、黒くなった山の端に
オリオン座が見えた。
いよいよ冬本番。
昨日は、特に寒かった。
時は、着々と、しかも早く
移ろいでゆく。
かつて名を馳せた人も星になっていった。
いずれみな
星の元素に生まれ変わっていく。
★ 12月18日 金曜日
体温以上の耐え難い猛暑日が続いた
あの夏の日も、とっくに過ぎ去り、
今や6℃以下の冬日。
今が盛りか、猛威を振るうコロナは
終息前の最後のあがきであることを願いつつ
古人の残したあの言葉、
待てば海路の日和あり
を、かみしめながら
寒さを乗り切っていこう。
★ 12月19日 土曜日
動けば、世界が違って見えてくる。
例えば
風がないのに、歩けば
雨脚が斜めに降ってくる。
フェリーから見たモータボートの動きが
奇妙に見える。
動けば、自分以外のものすべてが
同じ速度で向こうからやってくるから。
静止している時とは違って見えるのは
何も物理現象だけではないかも。
★ 12月20日 日曜日
誰だって、人生の生傷は絶えないし
無傷のまま過ごすことはできないだろう。
だから誰にでも、人には言えない貴重な経験が秘されている。
しかし、それは、どんなサクセスストーリーよりも
ためになるような気もする。
拍手喝采する稀有な成功譚もいいが、
それ以上に、
語れない失敗談、挫折譚こそが
有益な情報、ためになる話ではなかろうか。