『学び効率が最大化する インプット大全』-アウトプット前提のインプット-
目についたから/役に立ちそうだから/すすめられたから/人気だから/なんとなく/時間があるから 読書をしたり、セミナーや研修会に参加したり、インターネットで情報を集めたりしている人はいるだろうか。
何を隠そう、まさに私のことである。
ベストセラーだから、役に立ちそうだから、目についたからといった理由でなんとなく読書をしたり、インターネットで情報を閲覧したりしている。
こうした無目的な学習(インプット)を行った結果、実生活に役立った試しはあるのだろうか。
ふと思いを巡らせてみると、これがまたほとんど(胸を張って言えることが)ないことに気づかされる。
悲しいことに、結果として残っているのは書棚に整然と並べられた本とブラウザの閲覧履歴だけである。
このことに気づかされたのは、本書(インプット大全)を読んだ時のことであった。心のどこかで、自分のインプットが全くもって記憶に定着しないことをうすうす感じていたのだが、改めて現実を突きつけられた。
もし、私と同じように無目的にインプットをしており、それが定着しないことに悩んでいる人がいれば、迷わず本書を手に取ってみると良いかもしれない。
【本書の概要】
○精神科医であり作家でもある樺沢紫苑先生が著者。
・代表的な著書『アウトプット大全』、『読んだら忘れない読書術』など
○インターネット上でのデジタル情報増加が爆発的に進む中で、目についた情報を片っ端から取り入れるようなインプットをしていては、情報を取り入れるだけでヘロヘロになってしまう。
○良質なアウトプット行うためには、良質なインプットが必要である(インプットとアウトプットは表裏一体)。
○学び効率を最大化し、良質なアウトプットを行うために脳科学に裏付けられた学習(インプット)法が紹介されている(以下の7つのチャプター<80項目>から成り立っている)。
①インプットの基本法則
②科学的に記憶に脳に残る本の読み方
③学びの理解が深まる話の聞き方
④すべてを自己成長に変えるものの見方
⑤最短で最大のインターネット活用術
⑥あらゆる能力を引き出す最強の学び方
⑦<応用編>インプット力を飛躍させる方法
○「仕事での成功」を後押しするだけではなく「コミュニケーション」「遊び」「健康」といった幸せに暮らすために必要な観点からも、インプットのエッセンスが盛り込まれており、まさに「人生100年時代の教科書」となっている。
【目的を持ったインプットの重要性】
とても深い学びになったのは、①インプットの基本法則 および ②科学的に記憶に脳に残る本の読み方 である。
冒頭に記載した“読書でのインプットが定着しない”という悩みを抱えている方がいれば、ぜひこの2つのチャプターだけでも読む意義があると考えている。
また、著者である樺沢先生も、本書内で以下の通り述べている。
読書は、「本の1ページ目から順番に読んでいくのが当たり前」と思っている人が多いかもしれません。それは「小説」を読む場合はいいのですが、ビジネス書や実用書の場合は、ものすごく効率の悪い読書方法です。
私は本を買ってきたら、まず目次を見て、自分が知りたいこと、自分の興味のあるテーマをピックアップし、それに相当する部分を読みます。
樺沢紫苑(2019),『学び効率が最大化する インプット大全』,サンクチュアリ出版,p60
自分にとって「本当に必要な情報・知識」に狙いを定めて、ピンポイントで集めることで、時間を短縮でき、アウトプットも効率的に行えるようになります。情報を選択し、仕分けしましょう。
そもそも「必要のない情報」は、「見ない」、「接触しない」、つまり情報を「捨てる」努力が必須なのです。
上記同書,p23
人間の脳は自分に必要な情報のみを効率的に取り入れるようにできているのだろう。
さらに、樺沢先生は以下の通り解説をしている。
●2週間に3回以上のアウトプットを行うことで、記憶に定着しやすい。
●読書でのインプットにあたっては「問題解決のために読む」ことも重要。
自分に不要な情報はアウトプットも行わないし、そもそも(自分の問題を解決したいという)目的なく情報を取り入れている場合は記憶に定着しないということである。
私自身、書棚に並んでいる“とりあえず読んでみた本”を一瞥し、その本の内容を振り返ってみると、他者に解説できるレベルのものは、残念ながら当然のようにほとんどない。
自分への戒めとして、書棚に並んでいる本の内容について、覚えていることをざっと書いてみることとする。
○「言葉にできる」は武器になる
思考は言葉の上澄み。言葉の解像度を上げることが推奨されていた。
○Think clearly(シンククリアリー)
現代をよりよく生きるために50程度の思考法が紹介されている。「思考の道具箱」とし手必要に応じて取り出す(読む)ことが推奨されていた。
○イシューから始めよ
与えられた問題をいかに解くかより、その問題は解くべき価値(バリュー)はあるのかを考えることが重要。
一言感想程度であれば、すぐに答えることはできるが、具体的な内容・行動指針までを答えることはできない。
自分に必要な問題解決のための読書ではなく、さらにアウトプット(実行・実践)を行っていないからである。
樺沢先生のいうところのまさに「ザル読み」である。
「読む」「聞く」「見る」ことによって、情報を得て、それを記憶にとどめる”ことがインプットの定義となります。
「なんとなく読む」のではなく、「注意深く読む」。意識して読む。ザル読みではなく「精読」「深読(議論できる水準で深く読む)」。
上記同書,p27
なんとなく読む「ザル読み」では記憶にとどめることができず、当然記憶にとどめられていないということはアウトプット(行動・実践)もできるはずがない。
これまで私が行ってきたインプットはザルどころかもはや穴あきどころか底のないバケツに水を必死に入れているようなものである。
何の成果も得られないのは残念でもなく当然の帰結といえる。
【より効率的なインプットを行うためには】
「深読(議論できる水準で深く読む)」は、具体的にはどの程度読むことができていればよいのだろうか。
本書では、10分でその本の内容を他者に説明できるか、あるいは飲み会などで10分~20分程度盛り上がれるレベルであると述べられている。
人が1分間に話す文字数はおおよそ300文字であるといわれているため、3000字程度、概要や感想を言えるレベルにしておかなければならない。
1冊1冊をかなり丁寧に読み込まなければ難しいだろうと感じる。
※ちなみに、このnoteが約4000文字のため、改めてなかなかのボリュームであると実感する。
では、より効率的なインプット(深読)ができるようになるためのポイントは何だろうか。
本書から個人的に重要であると考えられるポイントを2つに絞ってまとめることとする。
① 「インプット」と「目標設定」はセットで行うこと
② アウトプットを前提として読書を行うこと
【「インプット」と「目標設定」はセットで行うこと】
読書を行う際は「方向性」と「ゴール」、そして「期限」を設定することが学びの効率を深めるために必要であると述べられている。
“何のために読むのか”、“将来的にどうなりたいのか”、“いつまでに何をするのか”ということを考えて読書を行うことである。
例えば私が本書『インプット大全』を読む際は以下のように設定をした。
方向性:読書しても内容が身につかない自分を変えたい
ゴール:インプットの方法を改善する
期限:インプット(アウトプット)効率を高めるため、読書でのインプットを行ってから3日以内にアウトプットを行う(ことを継続する)。
【アウトプットを前提として読書を行うこと】
“アウトプット前提でインプットを行う(=AZ)”の重要性を樺沢先生は説いている。
インプットを行ったら、概要や感想をSNSやブログで発信したり、家族や友人に伝えてみようということである。
情報発信を行うことを前提にすることで、ある程度の緊張感をもってインプットを行うことになる。
心理的プレッシャーがかかり緊張状態となることにより、脳内物質のノルアドレナリンが分泌され、集中力(記憶力、思考力、判断力)が高まることを利用する形である。
私もアウトプットを前提として本書を読み直したが、なんとなく読んだ1回目よりも、AZを前提とした2回目の方が圧倒的に内容を覚えていた(もちろん、2回目というのもあるが)。
また、アウトプットを行うことにより、インプットした内容を整理し再学習できるという効果もかなり大きいと感じる。
【まとめ】
インプットを行う際は、以下の点に留意すると、より効率的に学習を行うことができる。
●自己の課題解決のために(目標設定をした上で)インプットを行う
●必要な情報を選択して取りに行く
→特に書籍を用いてインプットを行う場合は、自分の課題解決に必要な個所を読み込む。
●AZ(アウトプット前提)としてインプットを行う
●2週間に3回以上アウトプットを行う
→多くとりだされた記憶は、重要な情報として「側頭葉」の長期記憶に保存される。
【雑感】
感想をまとめて文字に起こす、家族や友人に伝えてみるということを前提にして読書をすることはかなり集中が必要で、大変ですがより学びが深まるということを体感しました。
マコなり社長も、読書は行動変容してこそ意味があるといっていた(気がします)。
インプットしたことを文字に起こすとなると、さらに読み直しも必要ですし、文書を推敲することも必要で、時間はかかりますがその分インプットした内容を整理できたように思います。
今後、過去に読んだ本もまとめて(再度インプットしなおして)いきたいと思います。
また、本を購入すると、“すべて読まないといけない”と思ってしまうところですが、意図的に取捨選択をすることも、実践していこうと思います。
今回、私は読書でのインプット方法を改善したいと考えていたため、「話の聞き方」や「ものの見方」、「インターネット活用術」といった項目は流し読みをしています(完全に捨てきれていないです)。
改めて必要になった際に、再度インプットしてみようと思います。
ここまで閲覧をいただきありがとうございました。
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