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『くるりのえいが』~説得力はスピード~

ロックバンド・くるり初のドキュメンタリー『くるりのえいが』、10/13から3週間限定の劇場公開ということで、先日観に行ってきました。

今年のくるりはメジャーデビュー25周年。
10月に入ってからは、14thアルバムのリリース、主催フェス「京都音楽博覧会」初の2日間開催、そして映画の公開と、ファンからしたら最高で怒涛のラインナップです。

『くるりのえいが』の内容はというと、アルバムの収録風景を記録として撮影したドキュメンタリー。
先述の最新アルバム『感覚は道標』の曲作りのため、伊豆のスタジオを貸し切ってメンバーとスタッフが合宿をするわけですが、事前にその情報を聞いて感じたのは、「絶対退屈やん。。」ということ。
淡々とした映像を前に眠気必至の状況を覚悟しました。

しかし、そんな心配はどこ吹く風。
めっちゃくちゃ最高でした!!!!


今回のアルバムのコンセプトは、ずばり「原点回帰」。
結成当初のオリジナルメンバーである、ドラムの森信行を約20年ぶりにメンバーに迎え、音楽性だけではなく、若かりしあの頃の情熱をもう一度、この3人で蘇らせよう!というプロジェクトなのです。

僕自身はリアルタイムを知らない世代ですが、40代くらいの当時からのファンからしたら涙モノ。
だって、20年ぶりにまた再びメンバーを迎え入れるなんて展開、いろんなバンド見渡してもなかなかないですもんね。


レコーディングで、久しぶりに一堂に会する、岸田、佐藤、森の3人。
照れくささがありながらも、コミュニケーションを取り、確認しながら音を鳴らしていく姿が見ていて微笑ましかったです。
立命館大学時代の思い出を語り合って、爆笑している姿もよかったです(金が無くて古着しか買えなかったみたいな話)。
見た目はオッサンになったけど、中身はあの頃のまま。
また、47歳という年齢になっても、学生時代の仲間と同じものを作るということの尊さを感じました。そんな人間中々いないですから。

あと、曲が作られていく過程を見れて、シンプルに感動しました。
スタジオに入って大体の形を作ってから、本番の音をまた別のスタジオで撮り、アレンジの人に任せ、みんなで完成品を揃って聴く。
貴重な裏側を見れたので、今までの作品の裏側も見てみたくなりました。

新アルバムの制作過程の記録のみかと思いきや、しっかり過去の映像のフィードバックなどもあって、見ごたえがありました。

デビュー後、京都から東京に来た当初のインタビュー映像や、「ばらの花」を作った時の話など、ファンからしたら見逃せない聞き逃せない情報も多く、もちろん全然眠くなりませんでした。笑


この映画はもちろんファン向けの映画であることは間違いないですが、ファンならずともきっと心に響く言葉ばかりだったと思います。

一番印象的だったシーンは、「In Your Life」の制作風景。
まだ仮歌だった状態から歌詞をつける段階のところで、岸田さんがアイデアが降ってきた途端、「ちょっと書いてきますわ」とスタジオを出て、物置きでタバコを吸いながらスマホとにらめっこする姿を見て、「芸人とほぼ変わらんやん」と思いました。
さらに岸田さんが放った言葉が「説得力はスピードなんでね」がめっちゃ刺さりました。

何事も、思い立ったが即行動というか、その瞬間のスピード感が大事で、アツアツなまま記録しておくのが一番パワーがあるなと僕も思うのです。
生まれたアイデアを少しも寝かさず、すぐにスマホのメモに記録するという岸田さんの姿を見ると、頑張ろうとする全人間が胸を打つんじゃないかなと思いました。


それぞれのインタビューも考えさせられる言葉ばかりでした。

長年、フロントマン岸田さんと共に走ってきた佐藤さんは、バンドそのものをすごく俯瞰で見れてるんだろうなと思いました。
今のくるりは「いい意味での焼き直し」という言葉に納得させられました。

久しぶりに参加した森さんの「昔は“子供がやっていた”けど、今は“子供みたいにやる”」もジーンときましたね。
感慨深い言葉を残す同時に、冷静さも感じました。
再集結し、初期の音楽性に回帰した今の状況をゴールとせず、なんとなく「くるりは今この方向に向かっているのかな」と、変化の多いバンドの特色を冷静に分析しているような語り口でしたね。

岸田さんは、「遊び」と「仕事」について。
「ちゃんと仕事として出来ない。こういう形でしかバンドが出来ない」みたいなことを言っていました。
遊びの延長線上でいいものを作るという事だと思いますが、そのスタンスで25年やってきたという事は、それはそれで選ばれし人間だなとも思いました。やっぱりくるりってすごいなと。



いやー、とりあえずめっちゃくちゃ心に刺さる映画でした!
京都のライブハウス「拾得」でのライブ映像もめっちゃ良かったです!

これからもくるりを追い続けていこうと思う、そんな映画でした!


それでは、また!



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