芸人引退から、一年経って感じたこと。
芸人を引退して、早いものでちょうど一年が経ちます。
いや〜、びっくりです。ほんまにあっという間でした。
そう感じるのも、毎日が充実しているからだろうと思います。
というわけで今回は、この一年で感じた、芸人時代と比べての生活面や精神面での変化を書いていきたいと思います。
・仕事
まずは仕事面。
芸人時代から続けていたバイトをそのまま続けているだけなので、仕事に関しては本当に何も変わっていません。笑
本来ならば、同じようなケースでセカンドキャリアを考えている人のことを思って書くならば、この時点で新たな仕事を始めていて、新たな肩書で再スタートを切っていた方が参考にもなるかなと思いますが、実際は何も変わっていません。なんかすみません。
正直この一年は、「遊ぶ」ということに振り切って考えていたので、「就職するぞ!」とはなりませんでした。
だから、夢を追いかけてる系の人で、その夢をあきらめてすぐに就職する人とかほんまに偉いな~と思います。
かといって、自分自身この生活を死ぬまで続けようとは思っていないので、ぼんやり「どんな仕事が合うかな~」とかは考えてはいます。
なんか「なんでも出来る!やってやる!」と変な自信がある故の、逆の悩みというか、そんな感じです。
赤裸々に語ると、芸人を辞めてすぐの時は、「マジで働けたらなんでもいい」と思っていたのですが、この一年でいろんな人の話を聞いたり、いろんな人の姿を見たりしていると、「やっぱり楽しいと思うことでお金を稼ぎたい」という考えにシフトはしています。
やっぱりそっちの方が生きてて楽しいかなと。
もちろん結婚とか、家庭を持つという責任を背負った上でですが。
自分の中でそのバランスを上手く取りながらどんなことしようかな、、と積極的に悩んでいる感じです。
あとは、「芸人であったこと」を活かせる仕事に就きたいな、、とか思ってますかね。
現状はそんな感じです。
・お金
収入はもちろん多くなりました。
ネタ合わせとかの時間を全て働く時間に割けるので、収入が多くなるのは当然のことです。
ざっくり30代の平均月収くらいは稼いでいます。
ただ、稼ぎの多くを海外に行くための貯金に充てているので、生活水準に関してはそこまで変わっていません。
いい暮らしをしすぎたら、貯金出来ないので。当たり前の話ですね。
僕に近しい人や、SNSをフォローしている人からしたら、しょっちゅういろんな所に行って楽しんでいるように見えますが、結構毎日ちゃんと働いています。
久しぶりに会った芸人の後輩からは、しょっちゅう海外に行っているので、なんかヤバい仕事しているのかと思われていたようですが、決してそんなことありません。笑
ズル無しで、地肩でコツコツ稼いでいます。社会保険とかもちゃんと払っています。
朝から晩まで働いていたりすると、体は結構疲れますが、精神はめちゃくちゃ安定しています。
やはり目標があると、人はイキイキするのかなと思います。
つくづく健全な生き方をしているなと思います。
決定権が全て自分にあるので、責任も伴いますが、誰からの圧力も何もないし、ストレスが本当にないです。
好きに生きてるな~と毎日思うし、好きに生きられていることにありがたみを感じています。
・人間関係
人間関係もだいぶ変わりました。
変わったというか、芸人時代ではあまり会えなかった人たちにたくさん会えた、という言い方が正しいかなと思います。
芸人時代は、芸人とばっかりいました。
面白いことは芸人の世界で常に起こっているし、仕事につながることは、劇場や飲み会といったある種の「職場」にあるので、芸人は常に芸人といた方がいいというのは当然の思考かと思います。
良くも悪くも閉鎖的なので、芸人以外の人種とはあまり交わることがなかった10年。
なので、辞めてからはしがらみがなくなり、分け隔てがなくなったので、学生時代の友達や同じく芸人を辞めた元芸人たちと、たくさんご飯に行くようになりました。
バイト先の飲み会とかも積極的に参加するようになりました。
そこで、いろんな人に会って、いろんな人の話や意見を聞いて、「なるほど、そんな世界もあるのか~」と刺激を受けまくりました。
そういう時間によって、自分の考え方も変わったりしたのでいいことだと思います。
新たに知る世界も多く、視野が広がりました。
物理的な話をすると、とにかく予定が立てやすいです。
今まではいつどんな仕事が入るかわからないし、ライブがなくてもネタ合わせをしなくちゃいけないとかで、1か月2か月先の予定なんて立てられませんでしたが、今はシフトも自由という事もあって、好きに予定を立てられます。約束守りまくれます。
これがあまりにストレスフリー。この一年会いたい人に会えまくれたのです。
・芸人
「芸人」という存在の位置づけも、当然大きく変わりました。
今までは「ライバル」だった存在が、「応援すべき仲間」に変わったので、テレビのネタ番組に出ている同期などを、心の底から応援できます。
また、芸人時代より何も考えずにテレビを見れているので、バラエティーを観る機会も今の方が増えたと思います。バラエティーめっちゃおもろいです。
「賞レース見ると、また自分もやりたくなっちゃうんじゃないか問題」もありましたが、今のところ、芸人に復帰したいという気持ちは全くありません。
正直、「いいな」という気持ちもあります。
自分が目指していたところ。例えばM-1準決勝進出であったり、芸人としてお金を稼いでいい暮らしが出来たり、、など。
それを実現し始めている仲間を見ていると、「おれもこの世界線はあったのかな」とかは考えます。
でも、「今からもう一度そこに向かって挑戦したいか?」と聞かれたら、答は「NO」です。
イメージしてみると、「いや、無理無理!しんどい!大変すぎ!辞めてよかった~」の繰り返しなのです。
それに、この一年での経験は辞めたからこそ得られた経験ですから。
久しぶりに友達に会ったことも、タイで見た仏像も、ニューヨークの街並みも、全て辞めたからこそ見られた景色だと思っています。
芸人を続けていたら得られなかったし、もし経験したとしても感じ方が全然違ったと思います。
SNSを通じて見る同期の活躍に対して思うことは、「この世界はつくづく上手くバランスが取れているな」という事です。
自分は「芸人で飯を食う」という戦いから降りました。
だからこそ今、ノンプレッシャーでノンストレスな世界で生きています。
好きな時に好きなところに行けます。
ただその分お金はめちゃくちゃは稼げないし、当たり前ですが、不特定多数の人からちやほやされたりもありません。
その点、頑張って賞を獲って仕事を増やした同期は、人気もあるし、大金も稼げています。うらやましいなと思うこともあります。
でも彼らは彼らで、好きなタイミングで好きなところに行けないし、有名になればなるほど抱える葛藤や悩みもあるし、常にプレッシャーの世界に身を置いて生きています。
僕が彼らをうらやましいと思うと同時に、僕みたいな生き方をうらやましいと思う人もいるのだろうなと思います。
だから、この世界は常にないものねだりで、上手くバランスが取れているなと思うのです。
全てを上手いこと手に入れている人はいないのです。
全てを上手いこと手に入れている人はいない——。
これは、ほかの業界、また先ほど書いた仕事やお金の話すべてに繋がるなと思うのです。
・時間がある→好きなところに行ける→その分大金は稼げない
・拘束時間が長い→好きなところには行けない→大金を稼げる
やっぱり何かを犠牲にしないとお金はもらえません。
大企業の社長だってそこに行くまでの苦労があっただろうし、華やかそうに見えるYouTuberだって編集は大変だし、プライベートの切り売りなんか犠牲以外の何物でもないですもんね。
因果応報。
頑張ってきた者に社会は評価を与えます。
資格がある人が給料が高いのは、頑張って勉強をしたから。
芸人の世界で賞を獲ったらギャラの単価が上がるのは、頑張って賞を獲ったからなのです。
という、よくよく考えたら当たり前の社会の常識を、芸人を辞めてから痛感した一年だったというお話でした。
かといって特に絶望していませんし、何とかなる精神は今もなお健在です。
自分の道がカチッと決まるまでは、また主体的に悩んでいこうかなって感じです。
この一年で感じたことをまとめると、
「世の中上手いこと出来てる」
ですかね。
それでは、また!
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