さかなとたわむる 其の七 「うわっ!! まぶしいっ!!」

一時に比べると、ダイビングの器材も色々な物がリーズナブルな価格で流通するようになってきました。いわゆる“ダイビングアクセサリー”と言う奴です。当 然、皆さんの中にもいろいろと持っている方もいるでしょう。その中で特に皆さんの手に馴染んでいて、なおかつ使う機会が多いのが、水中ライトでしょう。

最近は、小型化が進み、その性能も、良くなり、光量も大きくなってきています。

で、このライト。確かに水中での対象物の色を見るときに非常に役に立ちます。当然、これは、いろいろな魚や甲殻類などに向けられていくのです。

さて、ここで問題です。特にこのライトが活躍する場というのはいったいどのような状況でしょうか?

正解は『暗いところ』ですね。この暗い所に潜んでいる生物をよく確認したいがために、このライトを使う状況が出てくるわけです。

我々、人間は、明るい所で活動すのが当たり前です。暗い状態で活動しようと思ったら、人工的な明かりの力を借りて無理やり昼間の状態を作っていくわけですね。

さて、ここで照らされる側の気持ちになってみましょう。いつも暗い所で活動している彼等は、活動するのに不向きな明るい状況下では、岩陰などに潜んで、暗 くなるのを待っているわけです。にもかかわらず、何やら余所から覗きに来た、得体の知れない連中にいきなり「ピカッ!」とやられるわけですね。この状況を 勝手に想像するに、私達が寝ているときに、いきなり顔に強力に明るいライトを当てられるようなもんでしょうか?そりゃぁ、きっとまぶしいと思いますよ!

かと言って、ライトを使わなければ、私達は水の中での生物達との出会いが一気に少なくなってしまいます。それはそれで寂しいもんです。

で、いったいどうするかと言うと、まず、生き物に謝ります。(いや、マジで、マジで・・・)

でもって、いきなり生き物を照らすんじゃなくて、明かりの弱い周りの部分から、ゆっくりと光量のある中心部で照らすように移動させていくんです。自分たちも、突然、目玉の前で明かりをつけられるより、だんだん明るくなるほうがストレスが少ないような感じしません?実際、このようにして明かりをあててあげた ほうが、生物も逃げていかないようです。あと、ライトをすばやく動かして、周りを照らす方を時々見かけますが、結局これも、急に彼等に明かりを浴びせてる のと一緒で、ストレスは大きそうですし、何より、同じグループのダイバーの視線に明かりが当ってしまう可能性もあり、結構思わぬ危険につながる可能性もあ るので、出来るだけゆっくりと動かすようにしたほうが良いと思います。

ダイバーのひとりよがりな理屈ではありますけど、基本的には僕達は、水中世界への侵入者です。せめて、彼等の領域に土足でズカズカ踏み込むような無礼者にならないように、最低限の礼儀というか、思いやりというか・・・、そんなものをもっていたいものです。

1999年~2002年に書いていたコラムに、加筆、修正をしたものです

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