さかなとたわむる 其の四 秘技!何もしない?!
魚を間近でじっくり見たい・・・。」きっとみんながそう思っていることでしょう。そこで、見つけた魚にずんずん近づいていくと、負けずに魚もずんずん離れていってしまう・・・。そんなことって多くないですか?
そりゃあ大抵の場合は、自分よりデカイ見知らぬ生き物が近づいてくれば怖くて逃げ出したくもなるでしょう。ところが、前にも書きましたが、水中生物の世界 では、自分よりデカイ連中が常に、その辺にゴロゴロいて、いつもビクビクしているとまともに暮らせなくなってしまいます。
で、彼らがその辺をどう解決しているかというと、「危なそうなものなら逃げる」と「危なくなさそうなものならば特に気にしない」という感じの反応をしているように思います。
じゃあ、その「危ない」と「危なくない」の違いはいったいどの辺なのでしょう?(あくまでも経験上から考え付いたことなので、「それ違うぞ」という方はどんどん指摘してください。)
全般には、まず、明らかに自分に接近しているかどうか。その行動が早いか遅いか。と言ったところでしょうか。だとしたら、魚にググッと接近するには、上記 2点に注意すればいいことになります。この結果導き出される行動は、「秘技!?なにもしないでジーッとしている??」なのです。
もちろん、エントリーしてず—っとジーッとしていろと言っているのではありません。魚の居る場所、居た場所、居そうな場所でジッと魚を待つのです。動くと きも、ソーッと、ソーッと魚に近づいていくのです。決して殺気立ってずんずん行ってはいけません。動いているのかいないのか、わからない程度ににじり寄っ ていくのです。
そうすると、最初はチョットビクビクしながら様子をうかがっていた魚達も、だんだんリラックスしてきて、きっと、いつも通りの生活を見せてくれます。(ミ ノカサゴの捕食シーンを見てもらうととてもよくわかります。そっと接近することで、餌となる小魚の警戒心を刺激しないようにして、捕食のチャンスをうか がっているのです。逆に回遊魚の捕食を考えてみると、彼らはスピードにまかせて餌となる小魚に突っ込んでいきます。これも一つの接近方法ではありますが、 フィッシュウォッチャー向きではないし、そもそもダイバーにはそんなスピードがありません)
そうすれば、思いのほか、魚に近づけるはずです。ただ、この接近法は、とても時間がかかります。気の短い人にはチョット辛いかもしれないし、ガイドさんの性格如何では、こんなことをやっていると怒られたり、おいていかれたりするかもしれません。(笑)
慌てず、ノンビリ、じっくりと・・・。これがフィッシュウォッチングの大原則かもしれませんね。
1999年~2002年に書いていたコラムに、加筆、修正をしたものです