インストラクターは体験ダイビングとファンダイビングどっちをしたいのか?
あえて言えばってことで・・・・。
あくまで印象だけど・・・。
生き物が好きな人はファンダイビングガイドがしたい。
人が好きな人は体験ダイビングがしたい。
って感じだったりなのかしらと。
まあ、けっこう無理筋(ということにしておいてほしい)な話なのは承知で読んでいただきたく。
体験ダイビングっていうのは、どうしても同じこと(ダイビングの説明部分とコースとか・・・。)の繰返しになることが多く、しかもその行動範囲が大きく制限されます。
(もう四半世紀以上前に「えのきださん。ジャングルクルーズのお兄さんみたい!」とか言われたことが何度もありました。いま思えばなるほどなと思うこと少なからず。そりゃもう声張って連日体験ダイビングやってましたからなあ・・・。本人は大変ありがたい誉め言葉として受け止めております。何なら今でもそうありたいと。)
ぶっちゃけ行動や活動に制限が多い体験ダイビングは、あまりイントラさんには人気がないかもしれません。
一生懸命探した生き物を活動エリアの都合とかあるいはゲストさんの技量の都合で紹介できなかったり、仕込みのネタを活躍させることなくゲストさんの不安を払しょくすることに執心して終わってしまったり、特にスクーバのフィッシュウォッチングやカメラ派ダイバーさんに特化していると生物に向き合える時間の少なさなんかも相当不満だったりするかもしれません。
まあ、ここいらへん不完全燃焼なのもわからなくはないです。
あちこちのお店の様子を見たり聞いたりする限り新人さんの仕事だったり、あるいは、合間のやっつけだったりということがなんとなく伝わってきたりすることもあったりなかったり・・・。
体験ダイビングというのは、当然全く初めての人がその大多数を占めるわけで、カード講習というフィルターを通していない全くの素(まさに不特定多数からの抽出)の人間が、自身の適正とはほぼ無関係(認識なし)に初めて海中に顔突っ込んで水中で呼吸をして動き回るという一大イベントに挑戦するわけです。
受け止めるインストラクターにはそこいらへんの参加者を見る目と対応するスキルが要求されるんです。
の割には、体験ダイビングを見下してる人って決して少なくないんじゃないかと思ったり。じつは、僕も若い時期にそういうことがなくもなかったんです。
ガイドしてる先輩がうらやましくってうらやましくって、自分が下に見られてるんじゃないかとか。(ま。今思えば、技量としては実際そうだったんだと思います(泣))
あるいは業界全体の暗黙の了解として、体験ダイビングを下位のものとしてみてはいないかと。
良くも悪くも、ある程度整った環境下であれば、体験ダイビングで死ぬという最悪の結末を迎えることは(本来)まずありえない。そしてその上で各潜水指導団体がその叡智を集めた体験ダイビングのカリキュラムに則って進めていけばプログラムとして立派に成立します。(全然悪いことじゃないですよ。むしろインストラクターは確立した指導基準や制度によってレベルを担保され、ゲストはどこにおいても一定以上のレベルのプログラムに参加できるという完成されたシステムだと思います)
さらに言えば、特に体験ダイビングなどの初心者、未経験者対象プログラムにおいては、知識と技術の教育に主なリソースが向かうわけで、残念ながらその(インストラクターにとっての)自由度は低下することはどうやっても否めません。
そしてダイビングを体験するということが目的化されているので、とんでもないリクエスト(レアもの見せろとか、とんでもない環境に行かせろとか)みたいな難易度の高いニーズっていうのもあまりありませんし、うるさくない、コントロールしやすいゲストさんである可能性も高いので、若いインストラクターのお仕事になっていくのもそこは至極合点が行くわけです。
インストラクター未満のステイタスでも体験ダイビングができるという位置づけも出はじめているわけですし。片手間に単価の悪く無いゲストをこなせるとか、何もわからないゲストをテキトーにさばいて売り上げようとか。
ひゃあ、なんか暴言になってる気がする(笑)
話を軌道修正しましょう・・・。
そうそう。体験ダイビングというプログラムを、そのイントラが好き好んで楽しんでやってるのか?って話ですけどね。
ファンダイビングのほうがリピーターさんになる可能性は高そうだし、こっち側の努力(こんな生き物見つけたぜ!とかね)をちゃんと理解してくれる可能性も高い。技術的(指導という意味でね)あるいはサービスとしての手間ががぜん少ない(はず)。
なによりガイドの思考や行動に近い立場の人が多い(そこを見て集まってくる)のも事実でしょう。
などなど。
僕個人は、体験ダイビングっていうのはそれ単体でアクティビティとして完結できる、とても完成度の高いプログラムであり商品だと思っています。
ダイビング=ファンダイビングだったり、ダイビングをするってこと自体あえて、講習ってとこまで行かなくてもできるんじゃないの?とも思ったりしてます。体験ダイビングの枠内で海の入り口をどこまで楽しく安全にできるかというのがまたイントラさんの腕の見せ所。そしてその反応がものすごくストレートにイントラに伝わってくるのもまさに醍醐味なわけで。
希望的には、出版関係について言えば、ダイビングの初心者向け雑誌は、スクールの紹介雑誌でなく、体験ダイビングの紹介雑誌であるべきだと思うくらいです。実際にそのくらいのアクティビティとしての販売規模はあるはずなんですけど、なぜかその割に体験ダイビングが掘り下げられたりピックアップされたりすることはあまりないよなと。
ちょいと飛躍しちゃいますが、この考え方を突き詰めていくと、カードをとったらレベルに見あったダイビングをしようよ。とか。カードの発行自体がもっとその技術を担保するレベルであるべきだよな。とか。本来のC-カードのシステムやダイビング教育の本質的な部分にたどり着いてしまいます。
体験ダイビングのレベルから見てOWはこうでなくちゃいかんだろう。って感じだったり、カード取得したらもちろん体験ダイビングより楽しめる状況が出来るよね!とか、
もっと明確にカードを取得したメリットを語れる環境になるはずだと思うんです。
こう言っちゃなんだけど、どこの指導団体のカードかなんて本質的な問題じゃないんですよ。