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30歳ではじめて髪を染めた

2年前、30歳になるまで髪の毛を染めたことが無かった。

中学生のころに茶髪にした同級生にあこがれて、だんだんと髪の色が抜けていくスプレーを薬局で購入したのだが実行する前に母に見つかり、私の目の前で液体が水道に流されていった。

「大学生になったら、金でも銀でも虹色にでも染めていいから、今はやめようね」

「あと、黒が本当に似合うからもったいないよ」

プチ反抗期の私だったが、この時は珍しく母の言うことを聞いたのだった。

無事に大学生になると、別に茶髪や金髪は珍しいものではなくなった。
ピンクとか青とか本当に虹色みたいな人もいた。

そうなってくると逆に「このまま黒髪を貫いた方がかっこいいのではないか まあ似合うらしいし」とあまのじゃくな性格が出てきてしまい虹色の髪の毛は実現することなく、学生生活が終わった。

そうして社会人になると、周囲は黒髪もしくは暗めの茶髪といった感じでもはや「髪を染める」という選択肢は私の頭の中にはなくなっていた。
短いか、長いか。まっすぐか、パーマか。たまには、トリートメントでつやつやにしてもらおうか。その範囲の中でヘアースタイルを楽しむ。
このまま白髪染めまでは黒髪だろうなと思っていた。

転機は「インナーカラー」と「コロナ禍」だった。

「インナーカラー」という髪の毛の耳周りなど、表面ではなく内側の一部の髪の毛をカラーリングしている人をテレビや街でよく見かけるようになった。
インナーに入れるカラーは人それぞれで赤や青や緑など、好きな色や推しカラーにすることで自分を表現しているのが素敵に思えた。
これなら自分の黒い髪の毛をベースにできるから、挑戦しやすいかも知れない。
久しぶりに髪を染めてみたいという気持ちがやってきた。
ただ、職場にはもちろんインナーカラーをしている人はいなかったのですぐに染めてみようということには至らなかった。

そんな中で、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務ベースとなり出社の必要が無くなった。
職場の人に姿を見せる機会はWeb会議の映像くらいになったので、これだったら会議中は髪を結んでしまえばバレないのでは・・・というアイデアが浮かんだのだ。

いまだ、やろう、やるしかない。

そう思ってからすぐに、普段通っている美容室ではなく、カラーリングが得意で有名な美容室を予約してインナーカラーをした。

丁寧なカウンセリングのあと、1回ブリーチをして、そこからネイビーのカラーリング。
ネイビーにしたのは、黒髪に馴染みやすそうなのと、寒色系が好きだからと、色が落ちてくると緑色っぽくなっていくとのことで、その過程もいいなと思ったという理由からだった。

真っ黒な髪の毛にたった一筋の鮮やかなラインが入るだけで、グッとお洒落になった気がして気分が上がる。

しかも仕事モードの時は隠しているから「ヒミツの武器」みたいな感じでかっこいい。

やりたいことをやっちゃおうという自分らしさも、この髪の毛に表れていて、すごく気に入った。

久々に会う学生時代の友人からも「黒髪のイメージがあったけどすごくいいね」と言ってもらえたし、母親は「会社は大丈夫なの~?」と驚きながらも「まあ、染めたいって昔言ってたもんね。なかなかしないと思ったら今なんだ。」と笑ってくれたのでホッとした。

まじめに働いているように見せつつ遊べるこの「インナーカラー」という大発明のおかげで、遅めの髪染めデビューを果たすことができ、とても感謝している。

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