資産・権利を表章するトークンの法律上の論点整理
権利などをトークン化することが流行っています。
NFT(ノンファンジブルトークン)とかRWA(リアルワールドアセット)とか。
ST(セキュリティトークン)も、有価証券をトークン化することを指すことも多くなっています(どちらかというと、トークンが有価証券に該当する場合のことを意味する方が本来的な使い方な気がします。)。
これらのトークンの法律上の論点は、大きく分けて
①実体法の話
②規制法の話
に分けられます。
①実体法の話
資産や権利に関するトークンが発行されたとしても、トークンとその裏付けとなる資産や権利が一体でなければ、取引はうまくいきません。
検討すべき視点として以下の3つがあります。
1.トークンの移転のみにより権利移転の効力要件を充足できるか(効力要件の視点)
トークンを移転したからといって、当然にその裏付けとなる資産や権利が移転する訳ではありません。どうやってトークンの移転だけで資産や権利が移転するか、法律上の建付を検討する必要があります。
2.トークンの移転のみにより権利移転の対抗要件を具備できるか(対抗要件の視点)
トークンの移転だけで資産や権利が移転したとしても、それは当事者間の問題を超えて第三者に対して主張できるかは別問題なので、対抗要件についても検討が必要になります。
3.トークンの移転によらずに権利移転が生じ、その対抗要件を具備されてしまわないか(排他性の視点)
トークンが移転しないのに、その裏付けとなる資産や権利が移転してしまう場合の話です。トークンの保有者がトークンを移転させずに資産や権利を譲渡してしまった場合に、その資産や権利の譲渡を無効にできないかを検討する必要があります。
資産や権利に譲渡制限をつけることが考えられますが、どこまでその効力が認められるか(譲渡が有効とされてしまうことはないか)が問題になります。
②規制法の話
トークンが規制法上どのように扱われるかを検討する必要があります。
一番問題になるのは有価証券該当性で、有価証券に該当すると金商法の適用があります。
トークンの使われ方次第では別の規制法が問題になることもあります。
※「セキュリティ・トークン・オファリング(STO)の実務」(共著、金融法務事情2024年1月10日号(2225号))に記載しています。