漫画のネーム講座に私たちは何を求めるべきか。
・漫画ネーム原作者
・商業用完成原稿を目的としたネーム作成
何を目標にするかで、求めるべきものは違うと思います。
もしネーム原作を目指したいのならば、そのネームを見た人に伝えたいことを伝えられるクオリティで十分ですが、商業用の完成原稿を目的としたネーム作成なら、ネームを完成させた後の「完成原稿での絵のクオリティ」を、もっと真剣に考える必要があると思います。
ネーム講座を受講することで成長できる人って、いると思います。
それは、ネーム原作者になりたい人、もしくは既に一定のレベルの絵が描ける人。その二つのタイプの人だと思います。そういう人はネームのクオリティを上げることのみに集中できるので、非常に効率的にネームを上達できると思います。
一方でネーム講座に向いていない人もいると思います。それは「商業に向けた完成原稿を目指しているのに絵のクオリティが掲載レベルに達していない」人。とにかく講師に誉めてもらいたくて講座の界隈に依存していき、一方で、一向に結果が出せないという危険性が高くなると思います。
「商業用完成原稿を目指しているが絵のクオリティが掲載のレベルに達していない」場合、ネームをいくら頑張ろうと、同時に「絵の練習」をしなければ本末転倒といいますか、むしろ、伸ばすのに時間のかかる絵の練習のほうを優先すべきはずなのですが、そう考えている漫画家志望者は、某ネーム講座界隈には皆無でした。
ネーム講座が用いていた手法、「誉めて伸ばす」という方針は、方法論としてはありえます。しかし、編集者からダメ出しを受ける根本原因を伝えず、ただただネームに関してのみ、誉められる点を見つけ出して誉めて、結局は絵のクオリティという根本原因は改善されない。
そういう受講者は漫画編集者や周囲から厳しいことを言われ続けて、その度に漫画講座を再度受講して再度根本原因を避けたところを誉めてもらって、それを繰り返すことで受講者は依存していき常連化する・・・それは一種のビジネスと捉えられても仕方が無いですね。
もっとも恐ろしいのはそういう講座に依存してしまう事だと思います。講座側にとってはお得意さんになってくれた訳でビジネス成功だと思いますが、受講者にとっては迷宮に足を踏み入れたことになります。
漫画編集者や周囲の人から厳しいことを言われ続けて、つらいので漫画講座の先生にお金を払って誉めてもらって、妙に自信をつけて、また編集者に厳しいことを言われて・・・の繰り返しの人の多くは、自分のレベルを客観視できていないと思います。と言いますか、現実を知るのが怖くて、ただただ客観視したくないだけなのかもしれません。
私は四年前、漫画の世界を目指そうと思った際に、今の自分の絵のクオリティでは、掲載は無理だと悟りました。
なので二年間、オリジナル絵を描く事を封印しました。そして、キャラや背景画のクオリティが非常に高いアニメ作品を選んで、その一場面を白黒でプリントアウトして、何日もかけてペンで模写をし続けました。表現に限界を感じてくるとペン画の本を買って読んで勉強したり、トーン差をペンでどう表現したら良いかを試行錯誤しながら、二年間ほど模写を続けました。
当然ですが、漫画の完成原稿の絵のクオリティ向上が目的なので、必ずペン入れをすること、そして色は絶対に着けない、それをルールにしました。
気をつけた点として、いくら時間がかかってもいいから、これ以上描けないほどに描ききること。その感覚を自分自身で体感できるようになったら、描ききった絵を想像して、そこから引き算をすることで、見せたい場面の演出が可能になると思いました。
模写のみを続けた二年間は、今の絵の基礎力を培えた期間となりました。
ただ、アニメの一場面の模写は、オリジナル漫画を描く上で必要な演出を学べないので、成果は直ぐには出せませんでした。ペン入れ絵の基礎力は培えましたが、その後本格的に漫画を描こうとした際に、ネームの基礎知識が必要だと感じました。ですのでネームの講座を受講しました。
ネームを書くと、背景も意識し始めます。その時点でやっと、私には風景を描く技術を全く持っていないという現実に気付きました。
そこでtwitterを開設して、見てもらうという意識を持てば、きっと練習を続けられるだろうし、客観視できるし、楽しく続けられるだろうと思いました。二年半ほど風景の練習を兼ねた絵をtwitterに上げ続けましたが、その絵を見た漫画編集者さんに声をかけて頂いて、担当になってもらったりして、少しずつですが、自分のやりたいことをしつつ前進してこれたかなと思っています。
最後に。
ネーム講座に依存する人たちもtwitterを開設している場合が多いですが、描いた絵をtwitterに上げる人はほぼおらず、絵の練習をしている人は皆無です。依存は、自分で物事を考えて決断する意志をも消失させます。私も人に物を言う立場では無いので、自分の事に集中していきたいと思っていますが、数年後、結果で、お互いに信じたことを伝えられたらと思います。
こんな私を応援して下さる皆さまには、心から感謝しております。
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