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[28本目]大阪市廃止・特別区設置住民投票、反対多数で否決

2020年11月1日、大阪市廃止・特別区設置住民投票が行われ、賛成反対接戦の末、反対票が多数となり否決された。敗戦が決定的になった後に行われた記者会見、大阪維新の会の松井代表(大阪市長)は任期限りでの引退を表明し、吉村代表代行(大阪府知事)はいわゆる大阪都構想に再挑戦する考えはないと語った。2015年に続き僅差で住民投票過半数を取ることができなかった、維新の看板政策は完全に暗礁に乗り上げた結果となった。

今回の住民投票、維新政治に対する評価を問う投票にしかならないと考え、それならば現時点での大阪における維新に対する支持を考えれば賛成多数という結果となるはずだった。あの激しくやり合った公明党までも賛成に鞍替えさせ、さらには公明党の山口那津男代表が大阪入りし賛成を訴え、万全の体制で挑んだはずだった。

住民投票の開票結果
賛成: 675,829票(49.4%)
反対: 692,996票(50.6%)

その差は17,167票で、前回よりもその差は広がっている。今回の結果は二つの事実を表している。

一つは、大阪維新の会を支持しつつも、大阪市を廃止し特別区を設置することは賛成しない人たちが一定数いるであろうということ。府議会では過半数、市会でも公明党も含めた与党として過半数を獲得している。5年前と比べても大阪政治においては力を増しているにも係わらず、過半数の賛成を得ることができなかった。たぶん、賛成多数になったとしても僅差だったと考えられるし、そもそも、この大阪市廃止・特別区設置住民投票は大阪市民の分断を大いに深めることは必至であり、それを問う事は極めて困難な結果しか生み出さない投票だったと考えられる。

そして、もう一つは公明党の限界だ。出口調査を見る限り、公明党支持層の52%しか賛成に票を投じていない。党として賛成の意思を表明しているにもかかわらず、党を支持している有権者は52%しか賛同していない。この事実は極めて大きい。公明党と言えば、自民党より遙かに精密な票読みで日本全国の議会に勢力を持っているが、その衰退が顕著になったと考えられる。もちろん、党の方針にただ従うだけではない、支持者以上に大阪市民としての意思を表明したにすぎないが、今後このような状況が拡がる可能性は否めない。

もちろん、大阪維新の会や、日本維新の会への影響は計り知れない。いわゆる大阪都構想は、維新の看板政策。看板政策というか、もはやそれが目的であったとも言える。吉村府知事の(意味不明な)人気で、今回の住民投票を乗り切り、本格的に国政や日本全国に支持を広める構想は崩れ、今後の党運営は困難な状況に陥るだろう。

そして、今回の結果は衆議院の解散総選挙にも大きな影響を与える。解散を急ぐかそれとも任期満了に近い所まで遅らせるのか、菅総理大臣にとっても難しい判断が迫られる事になった。維新が混乱しているこのタイミングで解散を選択するか、菅総理の決断を注意深く見守りたい。

個人的には大阪が元気じゃないと日本はダメになると思っている。そのために維新の政治が必要なのかは私には分からないけど、大阪市を廃止しなくてもそれは可能だと信じている。そして、2回の住民投票で生まれてしまった分断を一刻も早く修復し、大阪のそして関西が再び輝く街になってほしいと心から願っています。

※写真は住民投票が行われている最中、大阪に行った時に御堂筋線梅田駅で見かけた広告宣伝掲示板。やっぱ、ここにはもっと大阪っぽいものを掲示して欲しいよね。2025年には万博も行われる、大阪にはこれからも注目し続けたいです

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