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旅をする木/著・星野道夫

確か、母が星野道夫さんのファンだったような気がします。(←ハッキリと覚えてない^^;) 実家に写真集があって、星野道夫さんが撮影した真っ白いぬいぐるみみたいな愛らしいアザラシの写真が幼い頃大好きでした。 写真展か何かに行って、ポストカードも買ってもらったような記憶もぼんやりとですが残っています。

そして、星野道夫さんが亡くなったニュースを見た時に、母がショックを受けていたのもいまだに記憶に残っています。

そんな自然写真家・星野道夫さんのエッセイ集「旅をする木」を読みました📖✨

この1冊に星野道夫さんという1人の人間が、いかに自然を愛し、人を愛していたのかが、伝わってきます。星野道夫さんの澄み切った感性が、語りかけてくるような優しい言葉を通してそのまま私の脳裏に浮かぶ感じ。圧巻でした。

私はもちろんアラスカのような過酷で壮大な自然の中で生きているわけではないけれど、 故郷・神戸よりも自然豊かなスコットランドの田舎に住むことで、時々、星野道夫さんが感じていたのと似たような気持ちになることがあります。

私の住んでいる自然豊かなスコットランド


自然の美しさや、雄大さ、強さ、そして恐さ……。日本は自然災害が多い国なので、自然の恐ろしさは私たち日本人の身体に染み付いてるところがあると思いますが……。 星野道夫さんの言葉を借りるのであれば、本当に 『人間と自然との関わりとは、答のない永遠のテーマ』です。

ユーコン川の周りに見える無数の名前さえついていない湖沼を 『人間の世界とは関わりのない、それ自身の存在のための自然』って表現しているのが本当に素敵。 人工的に作られたわけでもなく、人間に名前をつけられたわけでもなく、ただ自然に形成された未踏の存在🏞

結局のところ、私自身もただの自然界に生きるひとりの人間で。

自然界にあるあらゆる命が有限であるように、人間一人ひとりの命も有限で。

『私たちは、カレンダーや時計の針で刻まれた時間に生きているのではなく、もっと漠然として、脆い、それぞれの生命の時間を生きてい(※本書より引用)て。

『時の流れの中で、人の暮らしもまた変わり続け、絶え間なく動く雲のように、私たちの姿も二度と同じ形に戻ることはない(※本書より引用)のかもしれないな、なんて思いながら読みました。

素敵なお話がいっぱい詰まっていたのだけれど、北極圏の村アンブラーを小型飛行機で飛び立ち、フェアバンクスへ向かう時のお話にとてもほっこりしました。

お世話になった友人のイヌイットの家族から、フェアバンクスのアラスカ大学で学ぶ娘に渡してほしいと頼まれたのは、まだ温かいカリブーのスープ。小型飛行機が揺れるたびに、こぼさないよう両手でバランスをとりながらスープを届けた星野道夫の姿が魔女の宅急便のようで思わず笑ってしまいました🧙🧹


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