題... 率先垂範というのは難しい
◆ 子どもは、親の背中を見て育つ。
これは、含蓄のあることばだと思います。子どもは、親のことばからだけでなく、毎日の生活の中で無意識のうちに親からさまざまなことを吸収します。
四六時中一緒に生活している親のやっていることを真似ていれば、子どもは、自分の居心地が良くなることを本能的に理解するのだと思います。[#本能的理解]
双方にことさら教えるとか学ぶという意識はなくても、自然にそうなる。つまり、子どもは“親の背中を見て育つ”ものなのですね。となると、親は責任重大です。
◆ 似たような趣旨のことを示すことばに、“率先垂範”というのがあります。
率先垂範とは、“先頭に立って模範を示すこと”。現場指導者の心得のようなものだと思います。“規律”を重んじる軍隊などでは、それが特に強調されます。[#率先垂範]
多くの現場監督的立場の人は、みんな、率先垂範の大切さを頭では理解しています。ところが、これは、けっこう難しい。“言うは易し行なうは難し”です。
人は、上段の“自分の居心地が良くなることを本能的に理解する”特質があるので、自分にとって都合が良いことから優先的に真似てしまうのです。
要するに、人というものには、真似てほしくないことから先に真似る習性のようなものがあるのです。
◆ 私の派遣先の職場に“がんばり屋”の係長氏がいますが、先日、職場で興味深いことがありました。
係長氏が早く帰った日の残業中に、作業が一段落した頃、職場の主だった人たちが“たばこ休み”に行くのです。ちなみに、私の派遣先の職場は男女とも喫煙者が多い。
こんな光景を見たことがなかったので、私は、妙な気分になりました。派遣作業者としては、そんなことは、絶対にあってはならない類のこと。
でも、その職場では、労使双方の“暗黙の了解事項”のようでした。誰もが認めるがんばり屋の係長氏がそうしているので、みんなそうするのです。[#暗黙の了解事項]
彼らには、それは悪いことという意識はないようでした。
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