天の邪鬼’ @わが国は獣医師の絶対数はむしろ多すぎる
◆ 私も、このコラムの指摘に同感です。
~~< 以下 引用 >~~ ■ 加計学園問題に関する単純な疑問「日本では獣医師が不足しているのか?」:データでみる国際比較 ⇒ http://bit.ly/2uRQyDR ■ 国会の閉会中審査でも議論の中心となった加計学園の問題。この問題はもともと、獣医師不足と規制改革の問題に端を発したものでした。 「特に地方で獣医師、とりわけ検疫などを行う公務員獣医師が不足しているのに、獣医師会の反対で何十年間も獣医学部の新設が実現しなかった。その規制改革のため、特区制度を活用し、獣医師が不足している地域の大学に獣医学部を創設する」という議論だったはずが、その手続きのなかで総理の旧知の友人の大学が(少なくとも結果的に)選ばれたことで、問題がこじれました。 安倍総理による「権力の私物化」があったのか、文科省官僚による忖度があったのか、といった証明のつけにくい問題は、ここでは置いておきます。むしろ重要なことは、総理をはじめ、獣医学部新設を進める立場の人々が展開する、「獣医師不足を解消するために、それを阻む『岩盤規制』の打破そのものに意義がある」という主張です。 確かに、地方、なかでも獣医学部を備えた大学のない四国では、とりわけ検疫などに携わる公務員獣医師の不足が深刻です。しかし、データで国際的に比較すると、「日本全体では獣医師は不足していない、むしろ多いくらいである」ことが分かります。だとすると、問題は獣医師が特定の地域や職種に偏っていることにあるはずですが、獣医学部の新設という「供給の増加」で臨むことは、解決策としては疑問が大きいといえます。 ▯ 獣医師の各国比較 ▯ ▯ 動物に対する獣医師の割合 ▯ ▯ 配置のアンバランス ▯
◆ 実は、昨日、あるニュースに対するコメントを投稿したところ、私の投稿としてはかなり大きな反響がありました。
つまり、“雨後の竹の子のように増えた『法科大学院』が軒並み廃止や募集停止に追い込まれている”という主旨の記事[→ http://bit.ly/2vZjtpM ]。
私は、“わが国は優秀な弁護士は不足していると思うが絶対数が不足しているわけではないので『法科大学院』を増やしてもうまくいかない。それは、獣医師も同じだろう”という主旨の投稿をしました。
すると、かなりの反応が。“愛媛県の実態を知らないのか”という主旨の反応が目立つ。私は、当然、そんな反応もあるに違いないと読んでいましたが、案の定。[#案の定]
そんな意味では、“閉会中審査”で加戸前愛媛県知事に連綿と持論を展開してもらい、人々の感情に訴えるという安倍政権の作戦は、一応は成功している印象。(→ 注1)
◆ 私は、感情に訴えるやり方は研究者や行政がやるべきではないと思っているので、そのことをデータで示した研究はないかと調べたら、ありました。
それが、上記のコラム。私は、この研究に説得力を感じました。要は、“わが国は、獣医師の総数としてはむしろ多すぎるほどだ”という主旨の結論のようです。
私も、基本的に同感。何か新しい取り組みの必要性を感じたら、まずは問題点をデータで示す。データで示すことは研究者の心得ですが、それは、行政でも大切なこと。[#データで示す]
行政の基本的役割のひとつはデータ収集(→ つまり、統計をとること)。ところが、この件に関しては、農林水産省も厚生労働省も基礎的データを誰も示していません。
それなのに獣医師を増やすことが大切だという主張には、無理がある。特に、地方行政担当者は、獣医師養成学校をつくることよりも、もっと他にやることがあるはず。
獣医師の絶対数は多すぎるほどなのに、“なぜ、愛媛県などの特定の地域に公務員獣医師が不足しているのか”をもっと深く掘り下げて考えることが大切です。
◆ 要は、“その仕事が魅力的ではないから”ということにつきると思います。
どうしたらその仕事を魅力的にできるかが大切。魅力的な仕事ならみんなやりたがる。もっとも、みんなが何をもって魅力的と感じるかは、人それぞれ。[#魅力的仕事]
公務員獣医師の報酬を増やしてやるのが大切かもしれないし、畜産専門の獣医研究所のようなものをつくって意欲的な獣医師を全国から募集するのも方法かもしれません。
やり方はいろいろあるはずです。私は、むしろ、なぜそんな取り組みをしなかったのかが不思議なのです。
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●(注1) “閉会中審査”のようすなどについては、2017.7.26のブログ 『ズルズルと首相をやらせてもロクなことにならない』をご覧ください。[→ http://bit.ly/2uRIJy9 ]