資金調達の裏話:どん底からの這い上がり
本日、ようやく1.3億円超の資金調達を達成したことを皆さまにご報告できる日を迎えました!!
今年の夏以降、IVS2024 KYOYO Generative AIピッチでの優勝など、皆さまに少しずつ良いニュースをお届けできていましたが、その裏側には想像を超える試練があり、今年の前半は「これまで生きてきた人生の中で最悪、まさにどん底」を味わっていました。。。
一時は会社を(清算等含め)どう着地させるか、なんて話もでたりした中、どのようにしてどん底から這い上がり、資金調達を成功させたのか、リアルな裏側の話を(公開できる範囲で)お伝えしようと思います。
私たちの事業:AVA Travelについて
まず、私たちの会社、事業について簡単に説明しておきます。
私たちは、生成AIと独自の観光データを活用し、約30秒で旅行プランを提案できるアプリ『AVA Travel(アバトラベル)』を提供しています。
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iOS / Android
『AVA Travel』は、「IVS2024 KYOYO Generative AIピッチ優勝」、「日本経済新聞社主催 GenAI/SUM 2024インパクトピッチ審査員特別賞」など、いくつかのピッチコンテストでも賞をいただいたりと、最近になり実績等が認められ始めています。
2018年の創業当初から「AI×旅行」領域で事業を行っており、コロナを乗り越えて生き残った旅行系スタートアップの1つです。
コロナを乗り越えることも大変でしたが、それよりも今回の資金調達を成功させる方が大変でした。
まさにどん底から這い上がった話、誰の役に立つかはわかりませんが、少しでもスタートアップのリアルをお伝えできればと思い、経験談をまとめさせていただきます。
資金調達のスタート:立ちはだかる壁
資金調達活動は年末から徐々に動き始め、本格始動したのは今年に入りすぐ、2024年1月頃からのスタートでした。いくつかのVC・投資家にアプローチしましたが、なかなか出資意向を得られない日々が続きました。
3-4月頃、一時的にキャッシュが底をつきかけたのですが、なんとかキャッシュを作ってランウェイを延ばし、再度資金調達活動へ。
しかしながら思うような結果が得られない日々が続き、減り続ける残キャッシュ、近づいてくる会社の寿命に心が疲れ果てる寸前でした。
「このままでは会社は潰れる、何か変えなければならない!」と思い、以下の3つのことを決め、徹底することにしたのです。
1. 資金調達活動に100%集中、それ以外の仕事はしない
小さいベンチャーの社長として、多くの業務がありますが、ここでは「資金調達以外の仕事をすべて断ち切る」と決めました。
事業のことはメンバーに任せ、その他経理など作業系業務はすべて外部に委託、資金調達に集中できる環境を整えました。これにより、約9割の時間を資金調達に充てられるようになり、結果として全力での挑戦が可能になりました。
2. 積極的に人に頼る
過去にも資金調達の経験はありましたが、今回はそれと比較しても圧倒的な難易度の高さ。
どうしたものかと考えた結果、自分と同じような、あるいは自分よりも大変な調達環境を乗り越えた先輩起業家はいるはずなのだから、そういった先輩起業家へ相談すれば何か良いアドバイスがもらえるかもしれない、誰か良い人を紹介してもらえたりするかもしれないと思い、積極的に相談連絡をしにいきました。
幸運にも、素晴らしい先輩起業家たちと過去に出会っており、ご相談の連絡をしたところ、皆さん忙しいにも関わらず真摯にご相談に乗ってくれました。
特に苦しい時、彼らの助言や紹介等があったからこそ、希望を持ち続けることができ、心折れずに進むことができたなと感じています。
3. 外に出て、人と話をする
精神的に追い詰められると、つい引きこもりがちになりますが、あえて「外に出て人と話すこと」を意識、心がけました。
状況や悩みを打ち明けることで、気持ちがとてもラクになりますし、特に同じようなフェーズのスタートアップ起業家仲間からは共感や応援の言葉をもらったり、誰か良い方を紹介してくれたりと、助けてくれる方も多く、一人で悩み抱えてるよりは精神的に、状況的にも改善すると強く思います。
それでも苦戦する資金調達:精神的な限界とそれを乗り越えるための工夫
5月に入り、心身ともに限界が近づき、とあるメンタルヘルス診断ではうつ病と判定されるほど追い詰められていました。それでもなんとかこの苦境を乗り越えるため、自身の生活に関しても以下の3つを変えていきました。
1. ストレス発散に「禁酒と運動」
実は調達活動に本腰を入れると決めた3月くらいから「調達が終わるまでお酒を飲まない!」と決めて行動していました。
つらいとき、ついついお酒で気を紛らわしたくなる気持ちもすごくわかるのですが、とある方に
「辛い時、お酒に逃げるとマイナスでしかない。でもサウナとか筋トレとかで気を紛らわせれば、それは身体にとってもプラスになって返ってくる。」
とアドバイスをいただき、その通りだなと思った私はすぐに実行。やるならとことんやろうと思って、一切お酒を飲まず、飲みたくなったらジムに行くという生活スタイルに変えていきました。
2. オフ=仕事のことを考えない時間をつくる
資金調達のプレッシャーに追われ、夜はなかなか寝付けず、寝ても夢の中でまた仕事してる、時には会社が倒産した夢で目が覚めてしまう、そんな日々を過ごしていました。
これではまずいと思った私は、先に書いたストレス発散法で実施していたジムでの運動に、「限界まで走り込む」を追加しました。
限界まで走り込むことで、何も考えられないくらい疲労させ、仕事のことを強制的に忘れさせる、考えられない時間を強制的に作るようにしたのです。
結果的に身体も疲れるので、夜はぐっすりと眠れるようにもなり、この方法は一石二鳥だなと思います(笑)
3. 食べたいものを食べる
精神的に負荷がかかり続ける日々でも、食事は自分を労わる時間とし、「食事はできるだけ好きなもの、そのとき食べたいものを食べる」ことを心がけました。
以前は「なるべく安く済ませよう」などと考えながら食事を決めていましたが、「高くても食べたいものを食べる」、「UberEatsなどのデリバリー手数料も一切気にしないで食べたいものをオーダーする」を心がけ、辛い日々の中でも自身に対して飴を与えるように意識していました。
資金調達の逆転劇
ここまでメンタル系の話ばかり書きましたが、そんな苦境を実際にどうやって乗り切ったのか、肝心の資金調達の手法についても、ここから話していきます。
いま振り返ると、今回の資金調達を成功させたカギは次の3つだったと感じています。
①とにかく諦めないで行動しまくる
②アプローチ先の変更
③紹介でなく、直接熱意を込めたDMを!
あくまで今回の私の話であって、すべての場合に当てはまるとは思いませんが、順番に説明します。
①とにかく諦めないで行動しまくる:調達は半分決まったら一気に決まる
次のグラフは、今回の資金調達活動において、出資意向をいただけた日付と金額の推移です。(最終的に今回のラウンドに出資いただけた方のみをカウントしており、意向はいただけたけど、条件等が合わずお断りしたところは除外しています。)
このグラフを見ればわかるとおり、7月の前半で一気に調達金額が4倍近く跳ね上がっています。(私も改めてグラフにしてみて驚きましたw)
何が言いたいかというと、「資金調達は順調になだらかに決まるのではなく、最後に一気に決まる。目標金額の半分を超えたら一気に決まると思って良い。」ということです。
つまり最後の最後でどんでん返しが起こり得るので、最後の最後まで諦めないことが大事ということです。
実は私も、最後ここまでどんでん返しが起きるとは思っておらず、6月の株主定例では、「今回の調達の着地予想は3000万円、良くて5000万円くらいだから、一旦それで1stクローズし、引き続き調達活動を進めていきたい」などと報告していました。
ところが今回、当初の目標金額1億円に対し、5000万円を超えたらその後わずか1週間足らずで1億円を突破、最後まで諦めないことがとても重要だと感じています。
実際私も、何度「諦めたら楽になるだろうか、会社が倒産したらその後の人生どうしようか」なんて考えたりしたこともあるのですが、本当にスタートアップは社長が諦めたらそこで終わり、まさに「諦めたらそこで試合終了」だなと強く感じています。
②アプローチ先の変更:フォローからリードの順へ
スタートアップの資金調達においてよく「リード投資家が決まったら一気に決まる」と言われたりします。その通りだとは思いますが、当社の今回の資金調達の場合、フォロー投資家を先に確保する戦略に変更しました。
具体的には、フォロー投資家として、まずは決断スピードの速いエンジェル投資家にアプローチし、フォローを固めてからリード投資家に交渉しに行くという方法です。
理由はいくつかあるのですが、「限られた時間の中で、まずは出資意向をなるべく早く、多く取りにいきたかった」というのが大きな理由の1つです。
実際、アタック先をエンジェル投資家に変更してから一気に進み、「すでにいくら集まってます」、「こんな著名な方、すごい方が当社へ出資すると言ってくれています」などとアピールできることが増え、最後一気に資金調達を加速させることにも繋がったと実感しています。
③紹介でなく、直接熱意を込めたDMを!
これもよく聞く話かはわかりませんが、「投資家へのアプローチは、なるべく知り合いから紹介してもらった方が角度が高い」という説があります。
知り合いからの紹介であれば、ある程度の信用もありますし、場合によっては紹介経由でないと検討しないという投資家の方もいますので、その通りだとは思います。
しかし、今回の当社の調達活動において、圧倒的に紹介よりも直アタックの方が結果に繋がっているということをお伝えさせていただきます。
あくまで今回の当社の場合の話として聞いていただきたいのですが、紹介を依頼したとしても、紹介してくれる人=仲介者も忙しくてつい後回しになってしまったりだとか、紹介先にも気を使いながら話をしにいったりすることになると思います。
それに対し、自分自身で直接アプローチすれば、スピードや連絡の管理も自身で行うことができますし、何より自分の言葉で直接、熱意を込めて出資相談の依頼を行うことができます。
私は今回、全く面識のない、初めましての人でも、FBメッセンジャーで直接熱意を込めたDMにてリーチし、出資に繋げています。
もちろん、見ず知らずの人からいきなりDMがくることは不快に思う方も多いと思うので、私としても決して失礼のないよう、きちんとした自己紹介から入り、丁寧かつ熱意こめたメッセージとなるよう気を使いながら行動しました。
がむしゃらにDMする文化が流行ってもまずいかなと思い、正直この方法はここに書いて良いか迷うところもあったのですが、今回の私の場合、この方法でなければ調達を成功させることはできなかったと思うため、正直にお伝えさせていただきます。
新たなスタートライン:生成AI×旅行の未来へ
「諦めたらそこで試合終了」、「死ぬこと以外かすり傷」、これが今回の資金調達活動において常に私の頭の中にあった言葉です(笑)
色々苦労はしましたが、沢山の方に支えられ、無事に目標金額以上の資金調達を成功、なんとか這い上がることができました。
とくに、どこまでも信じてついてきてくれた、支えてくれたAVAメンバーには感謝しかありません。メンバーからは「いままでも何だかんだ最後は決めてきてたから、最後は必ず結果出すやつだって信じてた」と言われました笑
今回の資金調達は私たちにとってゴールではなく、生成AI×旅行分野での挑戦をさらに加速させるスタート地点です。
当社AVA Intelligenceは、旅行の未来を変えるために、技術と情熱を注ぎ込んでいきます。旅行が好き、生成AIの可能性に共感していただける方、当社の成長や実現しようとする未来に少しでも興味を持ってくださった方がいれば、ぜひ一緒にこの旅路を歩んでいきませんか?
ということで、当社で募集中の職種一覧リンクを貼っておきます!笑
また、記載のない職種でもカジュアルに話したい!であったり、これから起業したい方、資金調達を目指す方には、ここでは書けないさらにリアルな体験談もお伝えできるかもしれません。
私のFB、Xのリンクも貼っておきますので、何かあれば気軽にフォローやメッセージ等ください!
https://www.facebook.com/yuichi.miyazaki.779/
https://x.com/ymike3839
最後に、今回ここでお話したのは、経験のごく一部です。まだまだ書ききれないハードシングスやTipsも沢山あるので、今後私のX等で少しずつ発信していこうと思います!
今後とも、AVA Intelligenceを応援よろしくお願いいたします!!
P.S.
今回の資金調達を成功させたピッチデックはXで無料配布してます!
欲しい方は遠慮なくご連絡ください!!