お酒の日
お酒の日。断片的で連続的な。ゆるやかに乗り越えていく。
マックスバリュで買った一番安いビールとお惣菜。
電車の音。とても長い電車。高架線の下、枕木を越えていく。自転車で駆け抜ける、あそこの駐輪場は今はもう有料なんだっけ。冬の寒い1日。
駅前の大きなゾウの掛けられたカレー屋さん。特別な日に家族で食べに行った。もう今はなくて、多分隣のプラモデル屋さんもやってなくて、大通り沿いのファミコン倶楽部ももうなくなってる。
小学校の2階から見える花壇と。1階の学童から見える植木のゴーヤと。空を見上げると自衛隊の飛行機が空に文字を書いている。
夏、静岡のおばあちゃんの家に行った時に一度だけ受けた河合塾の統一模試。リノリウムの床とセミの鳴き声。オレンジ色のマークシートと湿った空気、夏休みの匂い。ペンギンの絵がプリントされている、綺麗な青色の半透明のペンケース。
扇風機が向く。期待しているようで鬱陶しい周期性。パラパラと紙のめくれる音。
朝、部屋の電気は点けないで、机の電気だけで、茶畑が見える窓際の勉強机に着席する。青い部屋。毎日のように鼻血が出ていた受験期。エアコンの風のせいなんだとか。
雨の日、小学校で、学校の教室。昼間に重く暗い鼠色の外、蛍光灯に照らされた黄色い教室。教壇に立っているのは教頭先生。算数の授業。
電車の音。短い電車。高架下、3.9m。飯田橋の歩道橋。フラッシュを焚くと七色に光る反射板が暗がりで浮遊しているみたいでとても綺麗だった。
因果律を越えていく。
駅中のスーパーで指を差す子供。ひらがなしか読めないから、ひらがなだけを読んで。そんなことをなんでかずっと覚えている。聞かれても出てこない話。赤いランプと橙色に照らされる壁面と。