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おもいで-エロとの遭遇
たしかあれは、家族で食事に出かけたときのこと。
すこし遠くの町での外食だった。
みるものすべてが新鮮で、嬉々として街中をみわたしていた。
だが残念なことに、このとき見たもののほとんどは覚えていない。
何を見たのか、それがどこだったのか、
なんなら何を食べたのかすら思い出せない。
それもこれも、きっとあの写真のせいだ。
信号でまっている間、ふとある写真に目を遣る。
ええええええ!?
そこでヤマギシが目にしたものとは...
オパイをあらわにしたLADY
豊満なボディをむき出しにしてなおこのドヤ顔
泰然自若として悪びれた様子を微塵も感じさせない
この乳房が目に入らぬか!といわんばかりの仁王立ち
なんやねんおまえ
ここで断言しよう、
この瞬間まで抱いていた感情の正体とは、間違いなく拒絶反応だった。
大のオトナが何をやってるんだ~~~!!
おまえなんでその状況でドヤ顔なんだよおい~~~!!服着ろ
にわかに受け入れられなかった。
この手の描写は、以前にもみたことはある。いわゆる、エロってやつだ。
だがこのエロに目覚めた人間が周りに少なかった時分、触れてはいけないニッチな趣味だと思っていた。
しかし本能とは恐ろしいものだ。
このときの激しい動揺が、まったく別のかたちで再び現れるとは、このときまだ予想だにしなかったのだ。
1 days later
あのとき見た光景が、どうしても頭からはなれない。
おれはおかしくなってしまったのか、、、こんな、、、こんなことが頭から離れないなんて、あいつらと一緒じゃねーか!
クラスではちらほらそういうものに関心を示す友達がいたがまだ少数で、俺たちはこぞって彼らをスケベ扱いして迫害していた。
それだからこそ、こんなことに関心を示している自分を認められなかった。
だけどもう気づいてしまった、
なんというか、、、なんというかもう、
またみたい!!!
そんな思いに突き動かされ、最大限の語彙力でグーグル検索をかけていた。
「あなたは18歳以上ですか?」 いいえ
あれ前の画面に戻っちまった!くそう
「あなたは18歳以上ですか?」
募る罪悪感...しかしここで引き返すわけにはいかないのだ!
よろしくおねがいしまああああああ
wow...
もう、何も考えていなかった。
それは、理性をも通り越してはるか昔からこの体にインプットされていた根源的な欲求...
細胞レベルでこの体が求めている。僕らが希求する幸福とは、ここにあったのだ。
ああ、まさに今それが満たさ
ガチャッ
まさか
ten minutes later
泣いた。
イレギュラーな時間帯に帰宅した母に、咄嗟にページを閉じたはずなのになぜか秒でバレてしまったのだ。
トモダチにすらいえないようなことを、まさか母にバレてしまうだなんて。
羞恥心と喪失感におされて遠のく意識の中で、静かに囁く母の声は、周波数の合わないラジオのように断片的にしか聞きとれなかった。
「まだ...には...早いよ...」
「"リレキ"って機能があってね...どんなサイト...みれるの...」
リレキ...かぁ...
また、この世界について一つ新しい言葉を覚えた少年は、ゆっくりと頭のなかで咀嚼した。
金輪際こんな思いはしたくない。
そもそも数分前までの自分はどうかしていた。
言うなれば、「カッとなってやった」の類いだ。
そして「だれでもよかった」
あんなのは自分じゃない。
純粋な気持ちで友達と野原を駆けずり回っていた自分じゃない。
更生したい。
更生して、また家族四人で暮らしたい。
娑婆の空気を吸いたい。
海外旅行したい
金がほしい
もう、二度としない。
そう、神に誓った。
3 days later
オッケイグーグル!
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