旅のきろく(2025新春)②

2日目

朝。空が広い。

寒さで水道が凍結してしまった。それでも沢に汲みにいけばいい。
寒そうにしている山根の人(朝比奈つとむさん)
現地の人は準備が雑でも平気そうにしているイメージがある

朝、厳しい寒さのなか、目を覚ました。薪ストーブに薪をくべ、火をつけるとだんだんと暖かくなってくる。炊事能力はまだそれほどないので、久慈市街のスーパーで買っておいたパンを食べる。水道が凍結している。仕方がないので沢に汲みに行く。と、八屋尚樹さんと朝比奈つとむさんが迎えに来てくれた。湯をかけて直してくれる。生きていく知恵を山根の人は持っている。

山では車が頼りになる。
車の中は暖かい。

八屋さんの牧場についた。馬、ヤギ、犬たちがお出迎え。
ゆるゆると豆腐づくりがはじまる。
八屋さんは年始に豆腐づくりをする習慣があるそう。

動物は解き放たれている

エンジンは気持ち次第。
合図しながら作業していく。
さながら師匠と弟子である。


尚樹さんに山根を教えた尚樹さんのじいちゃん
かっこいい90歳
混ぜるなと教えられたが、最初は混ぜるのが尚樹さん流
部屋の中は熱気がすごくなってくる。
合間に田楽豆腐をいただく
豆腐絞り腕立て伏せ10回!
雪原に遊びにいこう
山根六郷研究会と山根の人々がつくった水車ひろば

ゆかべが豆腐になるまで寝かせているあいだ、私たちは山の上の方へ歩いていった。こういう風に必然的に時間が生まれる。おかげで雪合戦をする大学生を見ることができた。
下りてくると、今度は端神の水車広場に連れていってくれるそうだ(山根六郷研究会と山根の住民が水車まつりやくるま市をやっていたところ)。人影はないが、きれいに保存されている。またここが使われるときが待たれているようだ。

水車小屋のなか。牧場で見た石臼がある。
たぶん現役で動くのだろう。こんな大きなのは見たことがない。
大きな桂の木の下で~
急に吹雪、、、これはこれでいい写真
熊野神社
おみくじには妙な信憑性がある

山根には有名な木がふたつある。一つは水車広場の桂、もうひとつは熊野神社の欅である。山根では初の詣で。山暮らし研究会の活動が実るように祈った。
戻ってくると、豆腐ができていた。いつも脇役の豆腐をはじめてこんなに美味しそうだと思った。山根では主食に近い感覚で食べられていたのだ。いったいどんな感覚だっただろう。

牛舎で牛の餌やり
同じに見えるが、個体ごとに気性が違う。餌の食べ方にも彼らの生存戦略が発揮される。

豆腐を干す作業まで終わると、日課の牛の世話を手伝わせてもらった。
晩飯ができるまで、ゆったりした時間が流れる。今日は一日があっという間だった。いい感じの疲れが体に溜まっている。
晩御飯ができるころには小屋に我々4人と、大学生の山尾くん、八屋さん夫婦、つとむさん、馬内さんが集まっていた。山根の陶芸家にもらった鮎に、つとむさんの鴨、ジビエの汁物。落ち着く空間、豊かな時間。自然と話も深まり、夜が静かに更けていった。

猟でとられた肉を器用に切り分ける東京の大学生。
私たちよりもずっと山根になじんでいる。山根の人だ。
食べ物と炭火を前にすると、自然と本音が出る。



(文:伊藤好太郎)


いいなと思ったら応援しよう!