旅のきろく(2025新春)③

寝袋で寝泊まり。日の光が入ってくる。
開放感があり、暖まりづらいが、ギャラリーとしてはとてもいいつくり。
雪が光を放っている

3日目

3日目は、日の出の後だというのに遅くまで寝ていた。薪ストーブでパンを焼くことを覚えた私たちは、一日前よりも向上した食事をすることができた。一日前は凍りそうなほど冷たい牛乳が体に沁みるようだったが、今日は温かいスープがじんわり沁みわたる。今日はゆっくりしてからいこう。

11時ごろ、尚樹さんたちが迎えにきてくれた。交通の足はいつも頼りっきりだ。しかし車は速い。30分で山根から久慈までいけるなんて。昔は野田村からこの山根の木売内まで、塩の道を歩いて来たんだと。道路村長とよばれる昔の山根の伊藤千助村長の功績である。この道路がなければ、今頃山根に人は住んでいないか、またはかなり自立した生活が営まれていただろう。

nanamaruni coffee

山を下りたところの久慈には、ユベントス以外にも人気のカフェがある。nanamaruni coffeeという。店主は馬内さんの友達の嵯峨さんという人だ。馬内さんもユベントスができるまではここで働いていたという。嵯峨さんはコーヒーと同じくらい、カフェという空間を愛している。実際、カフェはとても雰囲気がいい。ユベントスと違うおしゃれさで、どっちもいい。

まもなく、電車に乗る時間になった。名残惜しい気持ちで、尚樹さんたちに手をふりながら久慈を後にした。

人がいちばん少ない場所から、人がいちばん多い場所に戻ってきた。渋谷スクランブル交差点。大荷物でファミリーレストランに押しかけ、腰を下ろした。やはり、東京に帰ってくると、山根とは違う安心感がある。それは、「頼りになる」という安心感である。街はいつでもどこでも明かりに照らされ、ものに溢れ、お金さえ持っていれば何も困ることはない。そのようなことに安心感を覚えるのは、都会人だけであろうか。

後日、尚樹さんから連絡が来た。
すっかり乾燥し、吊るされた凍み豆腐。
出来上がりを食べるのが楽しみだ。

いいなと思ったら応援しよう!