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絵を描く理由と私のアート

「なんで絵を描くんですか?」と聞かれることがたまにあったんです。
大抵は「透明水彩絵の具か珈琲で描きますね」と答えて「いや、そうじゃなくてww」と突っ込まれるのですが、この「なんで」ってのが曲者でして。

私自身最近までこの「なんで」に対しての明確な回答を持ち合わせてなかったんですよ。
多分アマチュアで創作活動されてる大半の方はそうなんじゃないかと思います。
なんか、よく考えると、なんでなんだろ?的な。
「描きたいから」とか「楽しいから」とか「人に認められたいから」などなど、または一つに絞れないことも多々あるでしょう。

私もこの間まではそんな感じで、ただ漠然と「こんなの描きたいな~」とか「こう描いたらきれいだろうな~」とかくらいの感じで描いてたんです。

この絵を描くまでは。

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題:「祈り」 サイズ:F10号 画材:珈琲、画用紙

この絵を描いたきっかけは今でも思い出すと泣きそうになるんです。
2020年夏。猛暑の中、車内放置された幼い姉妹が死亡した事件のニュースが様々なメディアで取り上げられていた期間がありました。
TVでもラジオでもネットでもSNSでも耳に入らない日がないほど報道されていたんですね。
私は昔から感受性が高いらしく、よくワイドショーなんかでやってる殺人事件の状況イメージVTRを見るとたとえ青い人形みたいなCG映像でも脳内で鮮明に映像を作り出してしまい気分が悪くなることがよくあるんです。
それで例の車内放置事件のニュース。
もう聞いているだけで幼い姉妹がどれだけ苦しかったか心細かったかということを考えながら、事切れるまでの状況が目に浮かんでしまって…
もうどのメディアも見たくない!聞きたくない!という状態に陥り意気消沈してしまいました。
それまで欠かさなかったTwitterの更新もしばらく休みますと告知して距離を置きました。
事件のこともなるべく考えないように、忘れよう、と無心になりました。
そして一日経ち少し落ち着いた頃、客観的に自分が見え始めたときに気づいたんです。

「この感情を作品に向けないのなら表現をするものとして失格だ」

気付いてからはあっという間でした。
たまたま別の目的で紙が貼ってあったパネルに描画用の珈琲と刷毛だけで思いついた風景を感じたままに描きました。
亡くなった子供たちがどうか迷わず安らかに天に召されるよう祈りながら。

こうしてできたのが先ほどの作品です。
この作品を仕上げてから冒頭の「なんで絵を描くのか」という問いに答えが出た気がしています。

それは大きな括りで言うと「誰かのためになりたいから」という思いです。
「元気づける」「ほっとさせる」「すがすがしい気分にさせる」などポジティブな感情を持ってもらえる作品。
それが私の絵を描く理由であり基本理念です。
※作品固有のテーマによってはネガティブなイメージにすることもありますが…(笑)

前途の作品については亡くなった子供達に向けての感情を絵に向けました。
同じように様々な「思い」を作品に込めることができると気づいたんです。
そして見る人もそれをきっと感じ取れる。

それがアートってものなんじゃないかな~と未熟ながら感じております。

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