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オライリーの Designing Voice User Interfaces を読んでいる(序章)

Voice User Interface(VUI)についてまとまっている情報が少ないので、とりあえず数少ないVUI本の「Designing Voice User Interfaces」についてまとめる。

オライリーから2016年末に発売された「Designing Voice User Interfaces」という本がある。

http://shop.oreilly.com/product/0636920050056.do

この本はVUIの歴史から最近の活用事例、デザインTipsなどがまとめられている。

著者Cathy Pearlは1999年からVUIに関わる仕事に携わっており(すごい)、当時からするとまさかコンピュータが "checking" や "saying" の発話などを認識できる日がくると思わなかったそうだ。

序章ではポール・グライスの会話の格率について紹介がされている。これは簡単にいうと言語哲学者ポール・グライスによる「会話/対話の鉄則」である。VUI系のMeetupではわりとよく紹介される。

会話の格率は以下の4つに分類される。


- Quantity

いわゆる「会話の量」についての格率で「必要なだけの情報を話しなさい」というもの。

例として “Please listen carefully, as our options may have changed.” なんていちいち会話の頭につけるな。というのが挙げられている。

この例だけについて考えるとケースバイケースな気がしなくもないが、後に出てくる "Quality" も含めて考えるべき格率だと思う。


- Quality

いわゆる「会話の質」についての格率で「正しいと信じられることだけを話しなさい」というもの。

例としてホテルの予約機能しかない音声アシスタントに "How can I help you?" なんて広すぎることを言わせるなというのが挙げられている。自分のできることを正しく表現したことを言いなさいという格率。

この格率は "Quantity" にも関わると思っていて、曖昧なことをもごもご言おうとすると必ず予防線を張ってしまうので、会話に不必要な情報が含まれてしまい、 "Quantity" も破ってしまうことになる。


- Relevant

いわゆる「会話の関連性」についての格率で「今の会話に関係あることだけを話しなさい」というもの。

例として購入機能のある音声アシスタントとユーザーさんが会話をしているとして、まだ何も買う意思がないのに返品ポリシーの話なんてするな。というのが挙げられている。

この場合は「まだ何を買うか決めてないしそもそも買うかも決めてない」というシーンにあった会話をするべきということだと思う。商品のオススメをするとか、欲しいもののヒアリングをするとか。


- Manner

いわゆる「会話の明晰さ」についての格率で「明確に他人にわかる言葉で話をしなさい」というもの。

例として会話の中に技術用語を散りばめてユーザーさんを混乱させるな。というのが挙げられている。

要するに「平易な」言葉で話そうということ。あと「明確」さについて言及するなら曖昧な表現はしない、多義的な言葉を使わない、聞き間違えるような単語選びをしない。なども挙げられそう。


また、著者はこの格率を全て満たした時、音声アシスタントは「本当に」ユーザーを理解したと言えるのか?という質問を投げかけつつチューリング・テストや中国語について触れている。

哲学は対して詳しくないからわかんないけど、人々は会話をする際に何を拠り所に相互理解をしているかというを考えるときにここら辺の実験は参考になるのでは。と思う。メラビアンの法則とか。


序章はこれで終わり。

次回は第一章についてまとめます。

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