やまぶ記 二十三夜 〜傷ついたものたち〜 ※ゴジラ-1.0感想

こんばんは、おひさしぶりです。

最近Amazonプライムでゴジラ-1.0を見ました。

今回の記事はかなり重大なネタバレが含まれ‪ますので気をつけてください。

また、ネタバレには触れますがストーリーなどをなぞったり丁寧に説明するものではありません。

ゴジラや歴史対してあまり知識のないものの感想と妄想ですので、「違うな」と思う部分があってもどうかお手柔らかに捉えていただければと思います。

なんか…身体小さくない?

lneyaはゴジラ映画はあまり真面目に見たことがないのでその辺の素養はほとんどありません。

比較的最近のものだとシンゴジラも一応見たはずですが、恥ずかしながらほとんど覚えていません。

そんなlneyaでも見ればちゃんと楽しめる、置き去りにされないような塩梅なのがありがたかったです。

その典型として開始数分で主人公とゴジラが対峙します。しかし…随分小さい。

ここで「ハハァ〜時代背景が少し古いからゴジラもスケールダウンしてる訳ネ!」と早合点しました。後で絶望する事になります。

傷ついたものたち

作中に登場する人々は皆戦禍によって何かを失い、あるいはトラウマに苦しみ傷ついていました。

それぞれ理由は異なりますが自分は何もすることが出来なかったと考え、内心生き残った事に罪悪感を感じています。

主人公もその1人で、復興を遂げつつある日本で生活を持ち直しつつも「まだ戦争は終わっていない」と助けられなかった仲間の悪夢に苦しんでいました。

(もしかして、ランボーのオマージュかな?)

また、ゴジラもアメリカによる海上での原爆実験の被害者です。

強い生命力故に生き延びたものの、身体は巨大に変容し苦しんでいるように見えました。

原爆実験は戦後のことなので一括りにするのは少々ランボーかもしれませんが、主人公とゴジラの境遇はとても似ているのです。

ゴジラ vs 大日本帝国

以下では主に戦中の我が国やその精神性を帝国、戦後を日本国と表現を分けます。

そのような表現は正しくないかもしれませんが、便利なのでザックリそうします。

最初にゴジラのテリトリーを侵したのは帝国側でした。

物見やぐらの破壊があるので微妙ではありますがその時にゴジラに明確な敵意はないように見えますし、戦闘は恐怖を感じた兵士達の先制攻撃から始まっています。

これは特に後述の内容に関係しない話ですが、何となく示唆的なものを感じました。

その戦いから数年後、原爆実験によって住処を追われたゴジラが日本国を襲います。

諸々の事情で米軍や日本政府は動けず、迎え撃つのは旧軍の戦艦と海神作戦に同調する帰還兵達、帝国の残火と言っていいでしょう。

なぜゴジラは東京を襲うのか

正直言うとゴジラが東京に上陸したシーンでlenyaは

「ゴジラを苦しめた原因はアメリカなんだからアメリカのどこかに上陸してくれれば良いのに」と思ってしまいました。

確かに上記で述べたように最初にテリトリーを侵したのは帝国側ですが、結果はゴジラの圧勝でした。

あくまでゴジラが元の住処を追われたのはその後の原爆実験の影響のせいです。

したがって「テリトリーを侵された神なるゴジラの怒り」みたいな大義名分は成り立たちません。

そうなるともう善悪がどうこうではなく、帝国が自身の都合で他のアジアに伸長したように、ゴジラもまた(作中で語られるように)縄張り争いのために日本国を襲ったのではないかと考えてしまいます。

昨今の情勢や歴史を見てもかつての被害者が加害者になるような構図はままありますので、ついそのような穿った見方をしたくなってしまいます。

(そもそも怪獣に大義名分だとか、なに人などとぶつけても仕方ないですけど…)

巨大化だけじゃないゴジラの変化

序盤と日本上陸後のゴジラは色々と大きく異なっていますが、一番気になったのは直立二足歩行です。

序盤は恐竜っぽい挙動でしたが、再登場したゴジラは昭和平成ゴジラのイメージ通りのしのしと歩いていました。

前述した理由とあわせて考えるとこの直立二足歩行は、「神でも(人間以外の)動物でもなく、人類と同じレベルで競り合う」という意味を見出したくなります。

街を破壊しながら首都に前進したり、熱線で無辜の民を吹き飛ばす様はまさに第二次世界大戦で人類が行った所業の再現と言えるのではないでしょうか。

ゴジラ vs 新生日本

そろそろ、ゴジラという圧倒的な力に前に立ち向かった人たちについて考えたいと思います。

ここからは特に重大なネタバレになってしまいますが、ラストシーンで主人公は秘密兵器の震電に乗り込み敵目掛けて体当たりして勝利します。

まるで戦中末期のプロパガンダ(lenyaのイメージですが)から出てきたような大決着ですが、彼はある仕掛けによって無事に生還します。

話が前後しますが、決戦前仲間達は犠牲者を出さないことを目標としていました。

ただ、口ではそのように語るものの若い仲間に未来を託し実行者から外すなどある種の一貫性のなさがあります。

(もちろん物事は目論み通りいくとは限らないので、現実的な落とし所だとは思いますが)

決死の覚悟で戦いに臨む彼らを帝国の残火と表現しましたが、その結果は先の戦争とは大きく異なるものとなりました。

結果としてゴジラに勝利することができたのはもちろんですが、死ではなく生に美徳を見出す価値観を打ち立てたのです。

前述したように人類と同じレベルに進化したゴジラに対する勝利というのは過去の人類への勝利、つまり歴史の前進を意味しているのだと感じました。

おわりに

ゴジラ-1.0はストーリーがシンプルだったため、かえって想像が膨らみ楽しかったです。

ゴジラが海から登場する際の恐ろしさや熱線攻撃など迫力などいくつか惹かれるシーンもありかっこよかったです。

正直言うと良いシーンがあるだけに逆になんかチャチだなと思うシーンもあるにはあり目立つ気がしましたが、そこもまあご愛嬌だと思います。

グダグダと喋りましたが、楽しい映画でした。また見ます。

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