見出し画像

「補助金」と「減税」

参院選が公示日を迎えたそうだ。盛り上がりに欠く選挙戦と言われているわりに、Yahoo! ニュースには政治の記事が増えた。戦争による物価高騰があり、喫緊の景気対策が選挙戦の争点とみられている。与党は補助金を中心とした対策案を打ち出す一方で、野党の主張には消費税減税を主張している。

「補助金」と「減税」というのは、対立する考え方だ。国が国民から税金を集めたうえで配り直すのが「補助金」。国が税金を集めるのを減額するのが「減税」。どちらも国民の所得が増えるのは同じだが、その過程は真逆だ。そしてこれは、政治の根源的な問題にも繋がっている。

補助金という政策には、政治家や官僚という存在が不可欠だ。誰にどのようにお金を届けるのか、必要な人間に申請書を書かせ、口座に金を入れる。必要となる工数がふえるほど、彼らの必要性が高まる。

反対に、減税政策を採ることは、政治家や官僚の仕事の不要さを認めるということだ。減税により事業が停止するのは、事業の優先順位が低さを世間に喧伝しているようなものだ。そして携わる人間の必要性も、同時に脅かされる。

政治や行政という事業は、人間の手によって取り行われている。彼らにもプライドもあれば、生活もある。だとすれば、彼らのアイデンティティが、日本という国の方針を歪めるという事態もありうる。苦痛で仕方なかった去年の暑い夏から、もうすぐ一年が経とうとしている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?