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スピリチュアル

とりあえずまず。昨日AVの例えを出したときに「男性の方々はご理解いただけるだろうか」ということを書いて、つまらないことを書いてしまったと思った。世間には多様な欲望があるということを無視した記述で、書いたあと後悔した。客側のリテラシーとどこまで寄せるかの話はまた今度考えたい。



彼女に連れられ、スピリチュアル系の店に行った。界隈では有名らしい。店内には珍しい石や仏像がわちゃわちゃと並んでいる。有名人のサインも飾られており、有名店というのは本当のようだった。彼女はパワーのあるシールを注文していた。数百円程度のもので、ぼったくりには見えなかった。

店内をぐるりと廻り帰りしな、隕石に触っていきなと案内された。通路の奥に行くと、イノシシぐらいの大きさの黒い石が鎮座している。おそるおそる手を載せるとヒンヤリとした感触が返ってきて、何か判った気がした。



その後、時間があったので新宿御苑に入った。苑内ではさまざまな植物が季節を表現していた。それにしても、樹の形というのはひとつひとつ異なっていて面白い。私は無性に樹触りたくなって、そっと触った。



スピリチュアルといえばいかがわしい響きのする言葉に聞こえるが、それは自然のことではないだろうか。

舗装された道を歩いて会社に向かう。既製品の服と靴を履き、真っ平らな壁に囲まれた部屋で一日を過ごす。自然と人工物を厳密に区別することはできないけれど、文明生活はついに人工物のほうに囲まれきってしまったように感じる。

スピリチュアルとは自然を求める気持ちで、それは人間性の回復のように感じるのだと思った。自然が欲しい、生活の抜け穴として、それが記号であっても。彼女は買ったシールをひと組みくれて、私はそれをスマホに貼った。

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