2024年ベストアルバム
今年は年末に年間ベストをつけると決めて、1年間過ごしてきた。そして途中で決心が揺らぐこともなく年末を迎えられた。新譜にアンテナを張ると、音楽の幅が広がっていくのを実感する。いいね。
⑩トリプルファイヤー「EXTRA」
バカバカしさの中に神々しさすら感じる、けれどもやっぱりバカバカしいボーカル。タイトな演奏と掛け合わさって、聴いているうちに戦慄する。
⑨田中ヤコブ「ただようだけ」
新世代のギターヒーローっすね。00〜10年代Jロックの一番美味しい部分を引き継いでくれている。聴いててワクワクする。家主のライブ行きたい。
⑧椎名林檎「放生会」
前作「三毒史」と対になるようのだろうか、女性視点での死生観を描いている。楽曲のバラエティの豊富さと、各曲の仕上がり具合は抜群。そして名越由貴夫氏のギターはいつ聴いても大好き。コラボ相手への眼差しは恋そのもの。
⑦BUCK-TICK「サブロサ」
おかげさまでバクチクに入門しました。ダークで寓話的な歌詞がカッコ良くてヤラレています。来年はあっちゃん時代の作品を少しずつ掘り進めていきたい。
⑥有田咲花「貍」
女性宅録シンガーソングライターのデビューアルバム。シンプルながら捻くれたサウンドと、情念を煮詰めたようなボーカル。RCの引用にはガツンと喰らった。
⑤大森靖子「THIS IS JAPANESE GIRL」
長年、弾き語りの能力に比べてバンドの演奏力が追いついていなかった感じがしていたが、四天王バンドと出会ってやっとサウンド的な自由を獲得したように思う。ZOCやプロデュース業も含めて、これまでの仕事の総決算のような充実作。彼女の功績の偉大さは計り知れない。
④OGRE YOU ASSHOLE「自然とコンピューター」
初めて行ったオウガのライブで、アンコールで告知されたアルバム。踊るにしては怖すぎるが、怖い割には安心感がある。精神が死んだ世界で、機械に身体を踊らされるよう。聴いているうちに瞳孔が開いていくのがわかる。
③柴田聡子「Your Favorite Things」
徹底して情景を描写する歌詞からは、安易な共感を回避する毅然とした態度が感じられる。文学が腹の底に響いて、渇いた心のまま身体を踊らされる。岡田拓郎のベストワーク。
②The Wisery Brothers 「その前夜」
ワイズリーはスランプ真っ只中だ。もう二度と楽曲を仕上げられないかもしれない。音楽になる手前の、手癖と戯れながら迷走していく音に、なぜか救われたような気持ちになった。
①豊田道倫「戦争と痴態」
ブン殴られるような衝撃。愛情と変態と戦争が一直線に結びつけられ、とんでもないところに連れて行かれる。チープな録音と下手な歌唱が芸術的。ギターの音がとにかく素晴らしい。
そのほか
折坂悠太「呪文」
Dos Monos「Dos Atomos」
寺尾紗穂「しゅー・しゃいん」
んoon「FIRST LOVE」
優河「LOVE DELUXE」
こうして順位をつけると、自分の好みが可視化されておもしろい。私の好みでは「歌詞」と「歌」の要素の比重が大きく、その上新しい表現はなるべく評価したいと思っている。
というわけで、来年もよろしくお願いします。オススメの新譜があったら教えてください!