スペイン#6 (エッセイ)

その日にあった出来事を思い返して、いくつかを選び、それを言葉に換えて並べる。記録にならないように、自由に書く。けれども、実は何も書けていなかったのかもしれない。現実は言葉と全然接続されていない。

今朝のタクシーは女性のドライバーだった。加速は緩く、交差点では隣の車に声をあげていた。運転が母親に似ておばさんくさかった。

イベントの広い会場内の隅に、一人でいられる椅子を見つけた。同僚は他人と談笑し、私は周囲を遮断して、自分を整える。誰とでも仲良く喋れればいいが、そんな人生ではなかった。

コミュニケーションを放棄し、スマホで動画を流した。ZOCのドキュメンタリーを見て、結成して5年経つことを知った。

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