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ペンギン(エッセイ)

流通センターは電車を乗り継いでも1時間近くかかる場所にあった。山手線から浜松町でモノレールに乗り換え、コートの下に籠った熱に耐えながらホームを歩いた。

文学フリマの会場は人でごった返していて、落ち着いて歩くのも難しかった。出店者と目が合わないように歩いて、結局3000円くらい使った。帰りは大森駅まで30分ほどかけて歩いたが、電車代はさほど変わらなかった。

家に帰り、昨日あった漫才の特番を途中まで観た。芸歴の長い芸人が競い合う、加齢臭のする番組だった。筆の荒々しいフォントが暑苦しかった。ネタの質のわりに客席が温かく、全体的に生ぬるい大会だった。

温度のあるものがどんどん苦手になっていく。温もりや熱気と距離をとるようになってしまった。熱さを忌避し続けている自分は、南極のペンギンのようなものなのだろう。私は自分をそう思うことにした。

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