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スポーツと暴力(エッセイ)

家に帰るとWBCの特集がやっていた。スポーツをとりまく環境とは不思議なもので、まったく生産性の無い遊びが社会的に尊ばれている。洗濯機を回しながら惰性で見る。

改めて見ると、スポーツとは規格化された暴力の発露なのだと思う。ものを遠くへ投げ、棒で球を叩く。方向性の定められた暴力がパズル状に組み合わされ、競技が成立している。そして観客は熱中する。そういえば昔、私は運動部だった。

スポーツに観客が燃え上がるというのは、社会から暴力が排除されていることの裏返しだ。暴力とは過剰な力であり、人間の根源的なエネルギーそのものだ。暴力の漂白された社会は快適で住みやすいけれど、物足りなくもある。ディオニュソス的なものは、まだ自分の中にあるだろうか。

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