妖精 (エッセイ)
分厚い睡眠から目覚めると午前9時だった。頭が重く寒気がする。自力で帰ろうと思っていたが、母親に促され、結局車で送ってもらうことにした。朝食に何かと、自分で買ってきたお土産を少し食べた。
母親の運転で高速を走るのは久方ぶりだった。車線の中で車体がふらふらと揺れ、何度か目を瞑った。新木場、新宿と何度か現在地を口に出しながら走っていた。着くと、私はアパートの前に車を停めさせて、部屋で休ませてから帰した。
会社から連絡が入り、同僚がコロナだったとの報せを受ける。夕方検査に行くと私も陽性だった。病院の帰りに上司と家族に報告して、恋人には仕事終わりに電話で話したいと送った。電車の中で早く病院に行っていればと後悔した。