癌サバイバーとなった私〜命を繋ぐ3
治療に向き合うと決心したが、
まだ自分の中で生きようという意欲は薄かった。
だけど生きたかったのは間違いはない。
「なんで俺ばっかり…」という思いにとらわれていた。
2021年2月8日、最初の抗がん剤治療が始まった。
この時は初めてということもあり、3日間の入院となった。
入院なので同じような境遇の方とは会えず、わたしは、
なぜ自分ばかり…という思いに支配されていた。
実はこの時、家庭でも色々と問題が起きていて、
別居している妻と上の息子との関係が悪化していた。
私は抗がん剤治療のために入院しないといけないのに、
妻は、息子の面倒を見ろと言ってくる。
明日から入院なのに、そんなことできるはずもないのに、
こちらの事情はお構いなし。
息子は私と居りたそうにしている…がそれはできない。
妻は気が狂ったように、私に面倒を見ろと…
どうしてこんな目に…なんで俺はこんなに苦労せんとあかんのか?
情けなかった。
幸い、ギリギリに息子の面倒を義母が見てくれることになり、
わたしはなんとか予定通り入院できた。
入院して1人で病室のベッドに横たわり、ようやく落ち着いた。
翌日から抗がん剤投与が始まった。
看護師さんから色々と説明を受ける。
聞くこと全て初めてのことばかり。
病院にいるので特に不安などなく過ごした。
3週間ワンクールとして、3週目は休薬期間。
第2クールからは通院での点滴になった。
憂鬱な気持ちで、惨めな気持ちで化学療法室へ入った。
そして驚いた。
同じように抗がん剤治療してる人がいっぱいいるではないか!
明らかに自分よりも若い人もいる…
ショックだった。
皆淡々と点滴を受け、普通に帰っていく。
街中ですれ違ったとしても、そんな事情は分からない。
そうか、見えないだけや!
なんだか腑に落ちた…
俺だけじゃない。