5年の月日。
5年ぶりに母方の祖父に会った。
インターホンを鳴らして、待っている時間が長く感じた。
返事もなく気配もなく、帰ろうと階段を下りた時に祖父が出てきた。
一瞬時が止まったようにお互い無言になる。
誰かわからないようだったので焦って名乗ると、すごく嬉しそうに迎え入れてくれた。
昔、家でたくさん遊んでくれたり、イトーヨーカドーでキティちゃんのポップコーンを買って一緒に食べてくれた祖父、今まで見てきた笑顔と変わらなかった。
久しぶり。元気にしてたか。
あれからずいぶん大変だったんだ。と。
糖尿病、高血圧、脳梗塞後の祖母を介護していた話を聞いた。
会っていなかった空白の5年間で、
みるみる動けなくなった祖母。自宅内も歩けなくなり、最後は床を張って生活していた。その後、特養に入所したそう。
祖父と孫、よりか。
患者家族と看護師のような時間。
話の中の祖母は、一緒に遊んでくれていた面影は全くなかった。
施設入所前にデイサービスに通っていた祖母、デイサービスの職員と一緒に写っていた祖母は、まぶしいくらいの笑顔だった。
今は月一しか面会できず、定期的に甘いコーヒーを差し入れしているよう。
自分が見てきた寂しさを訴える利用者さんと祖母が重なって見えた。
コロナだけじゃない。
いろんな理由があって会いに行かなかった。
後悔しているというか、自分が会ってきた利用者さんと同じように寂しい思いをさせてしまったのかと思うなんだか複雑な気持ち。
長女の私が確実に、一番お世話になってかわいがってもらったはずなのに。
今度は私が、コーヒーを差し入れしに行ってみようかな。
祖父に伝えると、変わらない屈託ない笑顔で笑っていた。
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