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ちゃんと言葉を使おう

職場の一つ下の後輩とご飯に行った。
2人で面と向かって話すのは初めてだった。
周りに心配されるくらい一生懸命で真面目で、いつも疲れているように見える彼、話ができたらいいなと思い誘った。

仕事が辛い、らしい。というよりも、会社員であることが辛いらひい。遊びに行きたい!と思い立った日に遊べない、時間に縛られることに疲れる。自分がYouTuberとかだったら、好きに遊びに行けるのにと言った。???

少し関わりづらいPAさんはいる?と聞いたら、
「〇〇さんに注意されて『うぜえな』とは思いました」と言った。うぜえな。???

それからの時間、彼の職場での姿と、目の前の姿のギャップについていけず、『うぜえな』が頭から離れなかった。注意の内容は、明らかに彼の不足だし、そのPAさんは新入社員の彼のために真っ当な指摘をしただけ。ああ、PAさんのことを下に見ているんだな、と思った。そもそも、人に対して「うざい」という単語を軽々しく口に出せるその神経に、その配慮の無さに、悲しくなってしまった。

その後も彼の話を聞いていると、「やばい」「だるい」「うざい」が次から次へと出てくる。
何がどうやばいの?と聞いても「いや、やばいんすよ」しか出てこない。???


家に帰って、彼氏に電話で一連の話をした。
「もしかしたら、本当に語彙がないだけかもしれませんね。それに世間的に見たら、僕たちが色々考えて話したがる性質なだけで、その後輩みたいな人の方が多いのかも。」と言った。


注意されて、悔しい•腹が立つ•情けない•見返したいを全てひっくるめて「うざい」
面白い•イタい•滑稽•楽しい•くだらないを全てひっくるめて「やばい」
性格が悪いのでも、感情が安直なのでもない。自分の心の動きを捉える力と、それを表現するために必要な語彙、言葉の引き出しを持ち合わせていないだけ。「うざい」と心の中で思ってしまった時、今どうしてうざいと思ったんだろう、と考える人は少数派なのかもしれない。

それから、その後輩と上手く話せなくなってしまった。明るい社会人をしているその奥に「うざい」「だるい」があるかと思うと、怖くて言葉が出てこない。でも、たった一回食事で話しただけで彼はこんな人、と決めつけるのは、一度注意されただけでPAさんをうざいと位置付けた後輩と、やっていることが同じだ。

決めつけず、期待しすぎず、私はちゃんと言葉を使って、関わっていかなければと思った。

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