むし歯の話していい?
今年、院内MTGでスタッフにむけてむし歯(以下カリエス)の話をしました。
それをほぼそのまま(スタッフに話した通りに)記録として書き残しておきます。
ではさっそく
まず二次カリエスとは
一度カリエスになって治療した部分がふたたびカリエスになったことを指します。
つまり、むし歯治療したところがなぜ再びむし歯になるのか。
について今から説明していきます。
カリエス(という病気)の話をする際に、やっぱりその病気の定義を知っておいたほうがいいです。
実は、カリエスの定義って意外と歯科医師でも知らない人が多いんですよ。
大学ではカリエスの病気そのものよりも治し方について多くの時間を割いて教えられるので。
この「Essential of Dental Caries」によるとカリエスの定義は、
歯の表面の限局的、化学的な溶解。
何が引き起こすかというと、歯面をいつも覆っている細菌の堆積(デンタルバイオフィルム)の中の代謝活動によります。
じゃあ次に、
歯の表面の溶解って具体的にどんなことが起こっているのか
歯の表面では常に「脱灰」と「再石灰化」が起こっています。
口の中には無数のカリエス原因菌が潜んでいます。
その原因菌が食事のたびに酸をだします。
その酸によって歯の成分は溶け出します。これを脱灰といいます。
それだけだと歯は溶ける一方なので、それを補填するために唾液が一役買います。
つまり唾液の成分から、溶けた歯の成分を補うのです。これが再石灰化。
お金に例えると、お金を使うと財布からお金はなくなりますよね?(再石灰化)
で、給料が入ると財布がうるおう。(再石灰化)
これと同じ構造です。
ここで言いたいことは歯の表面が溶けること事態は別に病気ではないということ。お金を使う=赤字ではないのと同じです。
では「歯の溶解」を脱灰と再石灰化を使って説明すると
脱灰と再石灰化のバランスが崩れている状態 です。
給料よりもお金をたくさん使ってしまって赤字の状態になっているんです。
バランス状態が崩れると、歯が溶け出す量 > 唾液からの補填 となり結果的に歯に穴があきます。
この穴をみて初めて、我々はむし歯ができたと認識するのです。
では、上の写真の歯に空いている穴
これはカリエスでしょうか?
ここでカリエスの定義をもう一度思い出してみましょう。
カリエスとは
歯面をいつも覆っている細菌の堆積(デンタルバイオフィルム)の代謝活動によって引き起こされる歯面の限局的・化学的な溶解
でしたね。
じつは、カリエスの定義に歯に穴があくことは書いてありません。
え、じゃあこの穴はなに?
歯に穴があくという現象には原因があります。
それは、砂糖を摂取し細菌がそれを分解して酸をだす。これが再石灰化よりも頻繁に起こることです。その結果、歯に穴があくとう現象が起こります。
つまり歯にあいた穴というのは、カリエスという病気になった結果できたもの
なんですね
で、いわゆるむし歯治療というのは
この現象に対するアプローチだから、根本からの解決になっていないわけです。
だから!!
(最初の質問にもどりますね。長々と説明してきましたが・・・)
なぜ治療したところがまたむし歯になるのか に対する答えは
それが、カリエスという病気の結果に対するアプローチしかしておらず原因に対してアプローチしていないから。
となります。
じゃあ次に原因、特に甘いものと細菌についての話にうつるんですが
それは以前に書いたことがあるのでそちらを読んでいただけたら嬉しいです。
カリエスを治すには原因もその結果もどちらのアプローチも必要です。
カリエスを治すのは難しい。一筋縄ではいかない。でも不可能ではありません。
信頼できるかかりつけの歯医者や衛生士とともにコツコツやっていきましょう!!
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