【兎草子】EV化・脱石化燃料に向けて(24/09/05)
ボルボ(VOLVO)が2030年までに販売する車を全てEVにするという計画を撤回しました。まあ、そりゃそうだよなと思います。ヨーロッパはあまりに急激に脱石化燃料を掲げて突っ走ろうとしていましたが、ウクライナ紛争などに伴うエネルギー危機であっさり撤回というわけです。
もちろん脱石化燃料は着実に進むでしょうが、数年で無くすというのは土台無理な話です。特にEVの場合はガソリン車やハイブリッド車に比べて航続距離がまだまだ大きく見劣りしますし、バッテリーチャージに要する時間が課題。市内輸送のバスやトラック、買い物カーであれば問題ありませんが、今のガソリン車の代替にはならないのです。
とは言え、日本はEV普及があまりに遅すぎる感じはします。ハイブリッド車が先に普及してしまったのとT社さんのプロモーション力にみんなが洗脳されているからだとは思いますが、国産車メーカーが多数あるのにN社以外はEVの商品化と普及に真面目に取り組んでいる気がしないのは情けないです。
おかげで、バス・トラック分野は確実に中国メーカーに侵食されつつあります。気がついた時には市場は焼け野原になっているかもしれないですね。
燃料電池が本命だろうって???
燃料電池は先ほど書いたEVの弱点をカバーしますし、燃焼時は水しか出さないクリーンさが売りです。ただ、ちょっと待ってください。燃料電池で使う水素はどうやって作られるのか、そこではカーボンニュートラルなのかということについてはまだ十分に解決できていないのです。本当にクリーンな水素をどうやって作るか、得るか、この課題解決にはまだだいぶ時間がかかる気がします。
そういう意味では、再生エネルギーで作った電気のほうがまだ確実にクリーンなんですよね。
話がずれていってしまいましたが、脱石化燃料に向けてエネルギー転換はしなければならないけれど、5年でなんとかしようということではなくて、10年20年というスパンで着実に転換をしていきましょうということです。
日本の場合、太陽光と風力の再生可能エネルギーはまだまだ得られるはずなので、それをうまく使うことはしたほうがいいでしょうね。
ただ電気にも課題があります。
発電量と消費電力。日本はとにかく各種のモノや工場などの節電が進み、特に東日本大震災以降は節電意識も高まって、必要な電力量が減ってきていたのですが(だから原発が稼働できなくてもなんとかなっていた)、ここのところ反転して電力量が増えていく方向です。
EVの増加も一部にはありますが、一番の原因はデータセンターの使用電力です。特に生成AIの利用が本格化しつつある中でこれが爆発的に増える方向です。以前は原発廃止を主張していた河野太郎代議士が原発再稼働に舵を切らざるを得ないほどの喫緊の課題になりつつあります。
現在データセンターは首都圏に集中しているので、放っておくとつまり首都圏の電気が足りなくなるかも、という話です。
もちろん、昨今データセンターは冷涼な気候と再生可能エネルギーが使いやすい北海道への新設計画が増えていますが、あちらはあちらで送電網が貧弱とか課題がありそうです。
電力に関しては、発電量増加と送電網の増強の両方をどんどん進めないといけなさそうです。少なくとも日本経済が今の立ち位置を少しでもキープするためには最低限の投資と言えるでしょう。