![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/144923750/rectangle_large_type_2_2b691784593cf3e787b1fc8549037521.jpeg?width=1200)
ジェット燃料問題: 持続的成長に向けて増産よりもキャップ制を
ジェット燃料が足りなくて、海外航空会社の新規乗り入れ計画がキャンセルせざるを得ない状況になっているとか。
日本の航空会社がそういう状況なっていないのは、国内の石油卸売が優先的にジェット燃料を融通しているからのようで、上記記事は新千歳空港の事例だが元売りメーカーによると、羽田・成田などでも新規の対応をお断りするケースが出てきていると。
私は化学系の専攻ではないので詳しくはないが、そもそも石油製品というのは、原油に含まれる様々な成分の油を加熱して蒸気化し、液化する温度
の違いによって分けて取り出す蒸留による精製で、LPガス、ガソリン、灯油、軽油、重油などを得る方法で作られのが基本。ジェット燃料は灯油に近いものらしい。
つまり、原油の性質によって、取り出せる成分(精製製品)の比率は決まってしまうので、特定の石油製品だけの増産というのは難しい。もちろん、各石油井によって性質が異なるので、その時の国内事情などに見合った原産地の原油を輸入できるのが効率良いということになる。
昨今では重油の需要が減ってきており、どうしてもバランスが崩れがちのため、重油を分解して別の石油製品を生産する設備もできてきているようだが、設備投資が必要となるし、精製で取り出すのに比べてコストがかかるということになるので、限定的な模様。より、正確なことは、下記のサイトを見ていただいた方が良さそうだが。
https://www.paj.gr.jp/statis/faq/65
![](https://assets.st-note.com/img/1719064143277-mCCSeHdnxQ.jpg?width=1200)
この生産比率を見る限り、これまでジェット燃料の生産比率を増やすよう、業界としては努力してきているということがわかる。一方でこの比率を急に変えるのも難しい。つまり、メーカーの需要予測を遥かに超えて航空増便が進んでいるということだろう。
他の石油製品を過剰にだぶつかせないでジェット燃料だけ増産するのは結構手間だし場合によっては投資も必要になるだろう。手取り早いのは他国から輸入することだが、それは輸送費というコストがかかる。なかなかに難しい問題である。
ここまではジェット燃料の増産可能性の観点から考えてきたが、そもそも莫大な燃料を使いCO2を排出する航空需要を野放しにしていいのか、という問題にきちんと取り組んだ方がいい。使用するジェット燃料の量を国や航空会社などの単位でキャップ制を設けることを考えてもいいのではないだろうか。これにより、国内線のように陸地で行けるところであれば航空便数を制限することで鉄道の復権にもつながる。もしくは電動併用の航空機の開発などを促せる。国際線は当面航空機依存は避けられないが、オーバーツーリズムを防ぐ観点から、インバウンドコントロールをしてもいいのではないか。無論直近経済的にはマイナス影響かもしれないが、持続的な発展戦略を国として練るべきだろう。