【旅の雑感】JRが往復乗車券・連続乗車券を2026年3月までで廃止(24/12/02)
すでにネット上でだいぶ騒ぎになっていますが、JR各社が2026年3月までで往復乗車券と連続乗車券の発売を終了すると発表しました。
理由は電子チケットなどの普及によって発売数が減少しているためとのことですが、もともと一部の人にしか知られていない連続きっぷはともかく往復乗車券(という制度)を廃止するのはなんだかなぁという感じです。
国鉄民営化に伴い、利便性は低下させないというやくそくのもと、国鉄時代の旅客営業規則を引き継いできたJRですが、どうやらそろそろ本格的に見直しモードに入ったのかもしれません。
ところで、この往復乗車券、連続乗車券は、利用者にとってどんなメリットがあるのでしょうか。整理しておきたいと思います。
往復乗車券とは、そのメリットは
通常のきっぷはA駅からB駅までというように片道乗車券となっています。でも、多くの人は最寄駅からどこか目的地に行って仕事や観光などの用を済ませたら最寄駅に戻るというパターンが多いと思います。この帰りのきっぷを最初からまとめて買えるようにするというのが往復乗車券です。
つまり、A駅→B駅のきっぷとB駅→A駅のきっぷがセットになったものです。乗客はA駅で乗るときに往復乗車券を買えば、行きと帰りの2枚のきっぷを手にすることができ、帰りにB駅できっぷを買う手間を省くことができます。
これが往復乗車券の基本ですが、実はJRの往復乗車券には、これ以外に2つのメリットがあります。
・ きっぷの有効期間が2倍になる
往復きっぷは「行き(往路)」のきっぷと「帰り(復路)」のきっぷがセットになりますが、有効期間が片道きっぷの2倍となります。
例えば、隣の駅までのきっぷは有効期間は当日限り(1日)ですが、往復きっぷでは2日となります。つまり、帰りのきっぷを使うのは翌日でもいいのです。近場の友人宅や観光地に一泊して帰る時でも往復きっぷを買っておくと手間が省けることができます。
これが、長距離になると、例えば東京〜大阪では片道きっぷの有効期間は3日ですから、往復きっぷでは有効期間が6日間となります。大阪で2,3日仕事をしたり遊んでも有効期間の範囲内です。タイトル画像のきっぷでは有効期間が10日間になっています。時間のある人であれば、途中下車制度と併用して途中駅で観光しながら最大10日も旅することができます。
・長距離の往復きっぷには、往復割引がある
短・中距離の往復きっぷのねだんは片道きっぷの2倍ちょうどですが、片道601キロ以上の長距離きっぷでは、往復割引が適用されます。割引率は1割です。
ジパングクラブの割引率2割/3割には及びませんが、大人の休日クラブミドル(おときゅう)の割引率が5%なので、乗車券単体の割引制度としてはかなり大きなものと言えるでしょう。
連続乗車券とは、そのメリットは
JRの片道きっぷは、複雑なルートのきっぷを作ることができますが、同じ駅を2度通ると片道乗車券は打ち切りになります。
連続乗車券は、同じ駅を通るような行程を組んだきっぷを作るための制度です。
例えば、東京から北陸新幹線で金沢経由敦賀へ、さらに在来線特急を乗り継いで名古屋、さらにそこから東海道新幹線で東京へ、そこで乗り換えて成田空港へ向かうとします。
このルートでは、始発駅の東京駅に一旦戻ってきてしまうため、片道乗車券は、東京駅で打ち切りとなり、「東京→金沢→名古屋→東京」「東京→成田空港」という2枚の片道乗車券となりますが、連続乗車券は、この2つの片道乗車券をまとめてセットで発券するものです。運賃は、片道乗車券どうしの単純な足し算になりますが、往復乗車券のところでも出てきた有効期間は、2つのきっぷの有効期間を足したものが、全体の有効期間となります。
この制度、昔から時刻表の運賃案内ページには掲載され続けているのですが、実際に利用するのは余程の通か鉄道ファンくらいのものです。
昭和の頃、国鉄のきっぷを旅行会社で手配するのが当たり前だった時代は、行程を見て、ベテランの旅行会社の社員さんが連続乗車券として手配・発券してくれるという例は多々あったようですが、それも今は昔ですね。
そんなわけで、往復乗車券や連続乗車券が作れる、使えるのはあと1年4ヶ月となりました。機会があれば、便利なきっぷではあるので一度使ってみるといいかと思います。