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【兎草子】ネット活用選挙の功罪(24/11/19)
兵庫県知事選挙の結果には驚きましたが、選挙期間中の状況を事情通のかたから聞いていたので、やっぱりそういう結果になってしまったか、と思ったのもまた正直なところです。
今回の知事選挙は、県議会による全会一致での不信任決議を受けた失職に伴うものですが、それ以上にドロドロとしたものが横たわっていて、そこに立花ドラえもんがまたもや法律の抜け穴をついたような活動を展開したことで混乱に拍車が加わったようです。
不信任決議の本質は、知事のパワハラであり、これに関する真相解明と公益通報を不当に扱ったことの事実解明は、引き続ききちんと行われるべきでしょう。
それとは別に、今回の選挙では、斉藤知事の対立候補、さらには県議会で知事を追及した県議会議員とその家族に対するデマや誹謗中傷をネットで拡散するという暴挙が進行しました。さらには、立花ドラえもんは当該県議の自宅に選挙カーで乗りつけ、怒鳴りつけ、脅迫まがいのことをしたということも明らかになっています。
ネットを利用した相手候補への嫌がらせ、誹謗中傷というのは、早くからネット利用解禁をしてきた国ではすでに当たり前に起きていることです。
韓国では10年以上前らか国政選挙や大統領選挙のたびにいろいろなスキャンダルが拡散されるようになってきていますし、米国大統領選挙も今年はもちろん、遡れば最初にトランプ氏が大統領に当選した8年前の選挙からかなり激しくなってきていました。
欧州で右翼が台頭していることも、選挙でのネット活用と無縁ではないと思います。
日本では、ネット解禁が遅かったせいもあるでしょうが、既存政党はネット活用を十分にできていなかったこともあり、れいわ新選組、参政党、立花ドラえもん、石丸氏といった新しい人たちとそれを支持する人たちによって、ネットの効果的な活用がようやく始まったというところなのだと思います。
ただ効果的とはいえ、今回のようなやり方は、それが倫理的に正しいのかというと疑問です。政治資金について倫理が求められるように、選挙活動についても倫理とそれに基づく規制が求められてもいいのではないでしょうか。
とはいえ、選挙活動、つまり立候補して選挙活動することは民主主義の根幹なので、この倫理と規制のあり方は、国会等でもしっかり議論していただきたいところです。とはいえ、既存政党の国会議員の先生方はネット選挙の本当の怖さを多分知らず、軽視しているでしょうから、まだそういう議論がきちんとできるまでには時間がかかるのかもしれません。
今回の兵庫県知事選挙のような出来事が、何度も繰り返されてようやく、国会議員やマスメディアも本当の問題と、議論すべきことに気づくのかもしれませんね。